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おじいさんのたからさがし なか


  俺たちは見つかったその地図を片手に、おばあさんの家を出た。もう片方の手には、お土産にもらった豆大福を持っている。


「……もにゅもにゅ、おもちおいし」

「もにゅもにゅ、おいしいねー」


  俺とみづきは豆大福をもにゅもにゅ食べながらるなとりんについていく。


「もにゅもにゅ……りん、こっちであってるの?」

「もにゅもにゅ……たぶんこっちや。これ、しょうてんがいのことやろ?」


  りんがバッと地図を広げてみせる。俺とみづきは大福をもにゅもにゅ。


「ひなちゃん、もうちょっとまじめにせーへん?」

「まひめ、わはひまひめはよ。もにゅもにゅ」

「これきょうのひなちゃんぽんこつや。るなちゃんだけがたよりやで」


  むう、心外だな。俺はいつだって真面目だぞ。……これを食べ終わるまで待って欲しいけど。

  みづきも口ももにゅもにゅ動かして、大福を頬張っている。小さい口を一生懸命動かしていてかわいい。


「いや、わたしちずみるのにがてだし。りんがんば」


  そういやるなって昔から、地図見るの苦手だったっけ。一回行った場所は覚えてるから方向音痴ってわけじゃないんだろうけど、初めて行く場所だと結構迷うんだよな。

  もにゅもにゅもにゅもにゅ……ごくん。おいしかった……。

  豆大福を全部食べ終わった俺は、早速りんの持つ地図を見てみる。

  地図はどれも抽象的な絵が描いてあり、アーチを描いた入り口のような絵。その周りには野菜や魚の絵も付いている。その後は少し小高い山の絵。それから何軒か家の絵が集まった後に、長い階段の絵と、狐と神社の絵。最後にお宝の絵が描いてあった。

  多分、これの順番の通りに行けってことなのかな?


「これしょうてんがいっぽいね。とりあえずそっちにいってみようよ」

「ひなちゃんがもとにもどった……よかった……」


  なぜか泣きそうな感じですがりつくりん。そんなにボケだらけって厳しかったのか。そうだったら普段もうちょっと落ち着いて欲しい。

  そんなりんを振りほどき、みづきの手をとってスタスタと歩き出す。りんはまっていけずぅと後ろをついてきた。その後ろに、豆大福をもにゅもにゅさせながらるなも付いてくる。

  てくてく歩けばすぐに商店街は見えてくる。商店街は今日も活気に賑わい、あっちこっちで商品を進める声が聞こえてくる。その中をてくてく歩いて行くと、それは見えてきた。


「これだー」

「うん、まちがいないで!これが、しょうてんがいのあーちや!」


  いつもは反対側から入ってくるから、裏側から改めて見るのはちょっと新鮮なんだけれど、保育園の方から来た時に入り口になる商店街のアーチだ。

  今じゃああんまり見れないけれど、なんとなく懐かしいような感じがして、俺は嫌いじゃない。


「これをすぎたら、つぎはおやま?」


  もうアーチには興味がないようで、るなは次はどこかと地図を見た。まじまじと見ている様は、なんというか子どもだ。いや、子どもの見た目をみんなしているけれど。


「そうやね、おやま。なにかのたとえかな?」

「そんなふうにはみえないけど」


  るなもりんもうーんうーんと悩ませている。俺もこれはちょっとわからない。うーんうーん。

  みんなで悩んでいれば、俺の袖をくいっ、くいっとみづきが引っ張る。


「どうしたの?」

「……あれ」


  みづきが指差す方向には、ちょっとこんもりとしたお山。あれって、保育園の裏山?秘密基地のある裏山だ。


「もしかして、あのやまってうらやまのこと!?」


  そんな単純でいいのか。いやいいのか。……いいのか?


「ほかにおやまもみつからないし、とりあえずいこっか」

「ほな、いくでー!」


  そう言うと、るなとりんは我先にと走っていく。


「ま、まってー!」


  俺もみづきの手をとって2人の後を追いかけていく。

  とたたたたー、とたたたたー。

  あっという間に裏山の前にやってきた。


「ここをのぼったらひみつきちだけど」

「きょうはいかへんよ?」


  次は家がたくさんの絵だけど。これは向こうにある住宅街かな。そこまで考えなくてもいいかもしれない。それよりも。


「かいだん……そんなのあったっけ?」

「うーん。みたことない」


  俺とるなが悩んでいると、りんが手を挙げた。


「うちしってるで。むこうにな、おきつねさんのじんじゃがあるんよ」

「……こんこん」


  お狐さんと神社。それってゴールのことでもある。


「じゃあさっそくいってみよう!」


  今度は俺が先に立って進んだ。てくてく歩き始めると。


「ひなちゃん。みち、こっちやで」


  ……俺は顔を真っ赤にして、みんなの元に戻っていった。

  それからそう時間もかからずに神社の前の階段にやってきた。

  ずらーっと並ぶ石段に、俺は登るのが大変そうだなぁなんて、どこか他人事のように考えていた。


「さいしょは!」

「ぐー!」

「じゃんけん!」

「ぽん!」


  なんかるなとりんがアホなことやり始めた。なんで急にじゃんけん……。ちなみにるながちょき、りんがぱーでるなが勝った。


「くう、負けた……」

「へへーん!ち、よ、こ、れ、い、と」


  るなが掛け声に合わせて1歩ずつ階段を登っていく。うわ、すげー懐かしい。子どもの頃やった気がする。

  じゃんけんに勝ったら、勝った手の形に応じて階段なんかを登っていくゲームだ。ぐーならグリコ。ぱーならパイナップル。ちょきはチョコレートだ。今はるながちょきで勝ったからチョコレートの掛け声で6段階段を登った。


「じゃんけん!」

「ぽん!」


  今度はりんがぐーで勝った。


「ぐ、り、こ、っと」

「ぷぷー、せっかくかったのにまだそれだけー!」

「きー!すぐぬいたるで!」


  そんな風にはしゃぐるなとりんを横目に、疲れて眠そうに目をこするみづきの手を引っ張り、ゆっくりと階段を登り始めたのだった。



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