第二章
よく晴れた8月の中旬。
僕は少女を見た公園で日光浴をしていた。
普段家に引き篭もりがちな僕は、意識しなければ日の光を浴びる事などない。
高い気温、強い日差し、少し今日は無理をしたかな、とそんな事を思って居ると、
隣のベンチに誰かが座った。
あまり凝視するのは気が進まないので、横目で見ると向こうはこちらを見ていた。
向こうがこちらを見ているなら、と僕もそちらの方を、見た。
此間の少女が、表情の無い顔でこちらを見つめていた。
僕がすぐに気になったのは頭につけている犬耳だった。
ついで気になったのは少女の容姿だった。
僕は普段、若い女と接点はなく、若い女だというだけで緊張してしまうのだが、
その少女は今までに見た、どの女よりも綺麗だった。
少し手入れを怠っているように膨らんだ黒髪、
背筋をぴっと伸ばし手も控えめにおいているが、改まった印象は感じさせない。
真っ直ぐな青い茎に、可愛らしい白い花びらを付けた、美しい花のようだった。
そんな美しい少女に見つめられて僕は「な、何?」と緊張しながら声を出した。
少女は何も喋らず、僕の顔を見つめている。
僕は恥ずかしくなってしまい、少女から目を逸らし、少しの間前を見つめた後に
立ち上がった。
「待って」
と鈴の音のような声がした。
優しく風吹き、少し涼しくなるような、そんな気さえする可愛らしい声だった。
僕が少女の方を振向く前に、少女は僕の服の裾を掴んでいた。




