あるマッチ売りの少女 Episode1
初投稿の初心者です。 お手柔らかに
雪が降る真冬の真っ只中、街の中心。
小汚い布を着て、素足で、埃が絡まってしまった髪の毛…そんな姿で凍えながらマッチを売っている少女がいた。 あまりにも見るに堪えない姿であった。 彼女は通りすがる人々全員にマッチを勧めた。
「マッチは、マッチはいりませんか。」
「すみません。マッチはいかがですか。」
「せめて一つでも買ってくれませんか?」
だが皆、少女の言葉に聞く耳を持たず、そそくさと行ってしまった。 小さな身体から大きなため息が漏れる。…… 「もう何日食べ物を食べてないのだろう」とか「いつ帰れるんだろう」とか「今日はどこで寒さをしのごう」 …なんてことを考えていたらいつの間にか涙が滝のように溢れ出してきていた。つらい。悲しい。 お腹が空いた。寒い。さっきまで思い出さないようにしていた感情がぶわっと溢れてきてしまったみたいだ。
少女は路地裏に入り泣いた。1人で。目元や頬、鼻が赤くなり顔は涙と鼻水でくしゃくしゃになった。
少し暖かい太陽の日差しを感じて気がついた。 いつの間にか泣き疲れて眠ってしまってしたようだ。眠い目を擦りながら考えた。 ついさっきまで見ていた夢の事。 綺麗な服、綺麗な靴、サラサラな髪の毛。優しい両親、行けなかった学校。 その全てが実現してしまった。そんな夢。マッチ売りなんかしなくても幸せに生活していける人生を彼女は望んでいた。その願望が夢に現れたのだろう。 少女は考えるのをやめた。そんな夢の事を考えている間にマッチを売り切って家に帰ろうと思った。売り切れれば母も認めてくれると考えた。それに高い理想を思い描く度に苦しくなる。
路地裏から大通りに出てマッチ売りを再開した。 かすれた声で何度も呼びかける。
「マッチはいりませんか」
必死に呼びかけていると、1人の男性が近づいてくるのに気がついた。
『マッチを1つ貰えるかな?』
「はい!1つ50円になります。」
『ちょうど出したよ。頑張って』
そう言って去っていった。 少女は報われた気がした。 その男性がマッチを買ったのを境に跳ぶように売れていった。 そしてついに売り切れた。
少女は浮かれて歩いていた。母親に認められるかもしれない。褒めてくれるかもしれない。何より、母が優しくなってくれるかもしれない。そんな希望を抱きながらついに家の前まで着いた。相変わらず汚く古い小屋だったが、それでも愛おしく思えた。
勇気を出して扉を開ける。
「お母さん、ただいま。」
ウキウキして帰ってきたが、いざ家に入るとやはり腰が引けた。やっぱり今すぐ出ていこうかななんて思った。
その時、部屋の奥から足音が聞こえた。おそらく母だろう。足音が近づいてくる。




