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あの、わたし事務なんですけど  作者: Tongariboy
2−3.悪王一味の活動日誌

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97. クロ、今こそ愛を語る時

「ヒカル。この間は悪かったよ」

「クロが過ぎたことで謝るなんて珍しいな」

「僕だって過去の過ちを認めることくらいあるよ」

「へー。んでなんの用なんだ?」

「話が早い。ヒカルに足りていないものを僕なりに考えてみたんだ」

「そーかい」


「ありがたいんだがよ。前に皆で色々考えてくれたろ。あれでもう十分なんだ。もう」

「諦めるのかい?」

「いちいちそういう言葉で括るんじゃねーよ。諦めるとか、よく聞く言葉で勝手にまとめんな!」

「悪かった、すまない」

「はぁ。お前が素直な時は何も考えてないか打算がある時だ。一体なんなんだ?」

「本当に君が強くなることに協力したいんだ」

「だからなんで。そこが知りたい。お前にメリットなんてないだろ」

「君が強くなれば僕らの活動は安定する」

「俺が強くなれば。俺達の活動?」


「お前に言われて思ったんだ。これが自分の限界なんだって。それが結果」

「やっぱり諦めるんじゃなか」

「うるせーな。そろそろ違う目標を探してもいいのかもしれない。そう思っただけだ」

「魔獣化するときに強さを果てを、ということをいっていたばかりじゃないか」

「気分屋なんだよ、俺は」

「そうか」


「わかったよ。じゃあ新しい目標を見つける手伝いを」

「お前にとって強くない俺にメリットはあるのか?」

「仲間だ」

「はははっ!お前が仲間か。いいぜ、わかった、言ってみろよ」

「うん。そうだな。よし、これがいい」

「あん?」

「愛だ」

「は?愛?お前、本当にクロか?」

「もちろん僕はクロだよ。僕が僕以外であるわけないじゃないか」

「口ぶりは確かにクロなんだが、頭でも打ったのか?」

「僕は正常だ。疑う余地もない」

「いやいや、余地ありだろ」


「で、えーと、愛?」

「そう愛だ」

「何すればいいの?俺」

「だから愛を求めて」

「求めて?」

「うん。求めて。どうしよう」

「ほら、柄にもないこと言うから」

「待ってくれ。こういうものは、そうだユミに聞いてみよう」

「いいけど、皆引っ越しの準備で慌ただしいから答えてくれるかなぁ」



「愛!ヒカルが、愛!しかも言い出したのがクロ!ふふっ、くくく、あはははは」

「笑いすぎだろ」

「そうだ。僕らは真剣なんだ」

「いや真剣ではないけど」

「違ったのか」

「いいじゃない、真剣になりなさいよ。うふふ」

「なんかムカつく」


「ヒカルは今後どうしたらいいと思う?」

「簡単よ。ねぇヒカル。それはあなたもわかっているんじゃないかしら」

「なんのことだ?」

「ふーん。そうねぇ、ずっと戦うことばかり考えてたものね。自分にとって大切な人ってだーれ?って言われてぱっと思いつくのは?」

「師匠」

「身近な人でよ」

「えー?いるかそんな奴」

「私らを前によく言い切ったわね」


「もっとよく考えなさい。じゃ、私片付けあるから」

「助かったよユミ。僕では答えがでなかった」

「今の答えになってたか?」

「頑張りなさい。見守っててあげるわ、ヒカルの、愛。ぷぷっ」

「お前なぁ」



「ユミって最近よく笑うよな。魔獣化の影響か?」

「かもしれない」

「あいつ何をくっつけたんだっけ」

「悪魔だ」

「お笑いの悪魔?」

「漫才を極めた人みたいに聞こえるね」

「適当な素材使うとあーなるわけか」

「うーん。確かどこかで拾ってきたものだって言っていた。間違いなく悪魔だと」

「拾ってきたって、それでどうして断言出来るんだろうな」

「名前が書いてあった」

「素材に?」

「うん」

「どういうことだよ」


「おそらく僕と同じ研究をしていた者が作ったのだと思う」

「そんな奴いるのか?」

「大昔にね」

「へー。ちなみになんて名前だったんだよ」

「研究者は誰なのかわからない」

「いや悪魔の方」

「悪魔の方か。それには悪魔ソラって書いてあったよ」

「ふーん、聞いたこともないなぁ」

「ずっと前だからね」


「よし。ヒカル。愛について考えよう」

「真面目な顔してよくそんな言葉言えるな」

「どういうことだい?」

「いやいいんだ。クロに羞恥心なんてあるわけないよな」

「まるで僕が人間じゃないみたいな言い方だ。確かに僕は人より感受性が低い。でも僕にだって愛を語ることは出来るさ」

「ほー。よし言ってみろよ。そうだな。相手はダグにしようか」

「ダグ?こういう時はシロじゃないのか?」

「いいからいいから」

「うん。わかった。やってみよう」


「クロいるかー、ちょっと相談があってよぉ」

「おお、ダグ。愛しのダグ。君は、実にもふもふで、そう、ステキだ。この気持ちは、言うなれば、愛だ」

「え」

「あ」

「うん?」

「あ、愛?おれを?クロが?」

「違う。すごい誤解だ。困った。どうしようヒカル。どうしよう。今僕はかつてないほど困っている」

「そりゃよかった。クロでもこういう場合は焦るんだな」



「急に何言い出すのかと、焦ったぞ」

「ふぅ、誤解が解けてよかった」

「ユミとシロに知られなくてよかったな」

「まさしく。非常に危険な状況だったね」


「なぁ」

「ああ、そういえば僕に用があるんだったね。なんだい?」

「実はこの毛、切っても切ってもすぐ伸びるんだ。しゃべると口に入るし、ちょっと邪魔になってきた」

「なるほど。すごい再生能力だ。これは面白い」

「なんとかしてくれねーか?」

「サンプルをとってもいいかな」

「もちろん。いくらでも取ってくれ」

「これは素晴らしい。ありがとうダグ」

「愛してる、ってか」

「ヒカル、それは言わない約束だよ」

「ははは、さっきまで熱く語ってたんだからいいだろ。事実だ」

「確かに言ったが僕に言わせたのはヒカルだ」

「ダグもお前を必要としてるじゃないか」

「おいおい、おれまで巻き込むなよ」

「はっはっはっ」



「今の聞いた?」

「聞きました。シロ聞いてしまいました」

「禁断の愛ね」

「はい」

「どうするの」

「もちろん応援します。ユミさんは」

「私も応援するわ」

「ですよね。ふっ」

「ふふっ」

「こんな面白い話を放おっておくわけにはいきません」



「この再生能力は僕が求めていたものだ」

「まさか自分にも植え付けるとか言わないよな」

「改良して植え付ける」

「クロって、自分で色々試してるけど、実際どうなってんだ?」

「そうだね、複雑になってきている。複数の特性を持ち合わせているし、もう人間とは呼べない身体かもしれない」

「キメラだな」

「合成中か」


「以前出会ったスフィンクスを思い出すよ」

「あー懐かしいな。マルを仕留めた奴だったか」

「あれも色々混ざっていた。シロが焼かなければ今頃素材として使っていたよ」

「すげー魔力だったしな」

「あん時は俺が答えに困ってたところをセツカが割って入ってきたおかげで助かった」

「懐かしいなぁ」


「そういえばあん時、なんでスフィンクスは魔法を使わなくなったんだ?急に逃げ出しただろ?」

「自分が弱いって露見したからじゃなかったか?」

「うーん。クロはどう思う?」

「さあ。わからない。あの時はセツカがスフィンクスに魔法を使うなと言った。それに従ったのかもしれない」

「その必要あるか?まーいっか」


「セツカかぁ」

「へへっ。ヒカルくんはどーしたのかなぁ?」

「あん?なんだよ。きもちわりーな」

「いやぁべっつにー。最近セツカにまったく会ってないから、もしかして寂しーんじゃないかなぁってな」

「はぁ?おいダグ、何言ってんだ?」

「ヒカルはセツカに会えないと寂しいのか」

「んなわけねーだろ。変なこと言うな」

「へいへい」


「いいかクロ、これが愛だ」

「なっ、どういうことだ。僕にはさっぱりわからない。会えないことが、愛?」

「ああそうさ。恋愛ってのは書いて字の如し。会えない時は恋しくて、会ってる時は愛おしいって思う気持ちだ」

「そうか。そうか、なるほど。ユミが言っていたのはそういうことか。僕にも理解できた」

「おいお前ら、何こそこそ話してんだ」

「ははっ、気にすんな」

「ぁんだよ。ったく」


「なるほど。ヒカル、わかったよ」

「何が」

「君の弱さが」

「何だよ急に」

「君は誰かに依存したがる。師匠とやら。それにセツカ。君は孤独なんだね」

「なっ、なんだよ、なんなんだよ急に!別に」

「君が求めているものは自分の中に無いんだ。そうか、だからヒカルは強さを求めつつも追いきれない。なぜなら、それはヒカルが求めるものではないから。そうだ。だから簡単に諦めた。なるほど。いつも勝てないのはそういうところが敗因に繋がっているんじゃないかな」

「全然かんけーねーだろっ!ちっ、俺は部屋に戻る。片付けがあるからな」

「そうか」


「はぁ、あんまりいじめるなよ?」

「事実だ。それに、ああやって逃げるのも彼の弱さの現れだ。依存する対象を消したら彼は強くなるだろうか。依存対象、ふむ。やってみるか。問題はどうやって」

「おいクロ。その辺にしとけよ」

「そうだね。僕も研究室に戻るよ。ダグからもらった素材を分析したい。要望に応えられる物ができたら報告する」

「ああ。楽しみにしてるぜ」



「急になんだよ。俺の弱さなんて。急によ。ったく。あー片付けるか。だりぃ。つってもあんまり私物はないけどなっと。ん?これは、ペン?なんで俺がこんな物。いやこれ、セツカからもらったやつか。依存。あいつが言う通りなら、俺は。俺が求めてるものってなんなんだ?」

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