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あの、わたし事務なんですけど  作者: Tongariboy
2−2.魔人の務め

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83/124

83. 青の魔法少女

「ショウ王子殿下、お帰りなさいませ」

「ああ。ご苦労。大臣は中だな?開けてくれ」

「はっ」

「大臣はいるか」

「私よきらめけー、まじかるまじっくまじけー」


「殿下、如何がなさいましたか」

「いやすまない。勢いよく閉めてしまったな。なんでもないんだ。はは。中にいるのは魔法大臣だな?」

「はい、そのはずです」

「そうか。そうだな。ふぅー。何も見なかった。よし。テイク2だ。開けてくれ」

「はっ」


「大臣はいるか」

「王子、どうなさいました」

「いや。なんでもない。なんでもないんだ」

「そうでしたか。おかしな王子ですなぁ」

「そうだな、ははははは」

「ほほほほほ」



「この件は騎士に調査させて。おやこれは面白そうな論文ですな。おおリーメ殿か、なるほど。催眠導入による魔法行使における実践的術式。面白いことをしておるのぉ。ん?ふむ、今視えた光景は。この未来は野放しに出来んな。さてどうするか。うーむ。王子、ご相談がございまして」

「なんだ、珍しく改まって」

「実は数日休みをいただきたいのです」

「そうか。ああ、休みといい。お前には休みが必要だろう。しっかりと休暇を取ることを薦めるよ」

「ありがとうございます。では急ではあるのですが明日からでも構いませんか?」

「明日と言わず今日からでもいいんだぞ?無理をするな。お前は休め。もっと、そうだな好きなことをするといい」

「いえいえ、さすがに今日からなど。随分お優しいですね」

「いや、思えばお前には随分苦労をかけた。気づいてやれず、すまなかったな」

「いえ。気がかりは、ニーナ殿は大丈夫でしょうか」

「あいつなら問題ないだろう。業務も一通り覚えたみたいだし、1人でやらせた方がいい時もあるさ」

「ではお言葉に甘えまして」

「ああ、数日と言わずもっとのんびりしてきてもいいからな?な?」



「さてと。マジカルマジックマジケーショーン。これでよし。しばらくはミサキのままでいられそうね。やっぱり若い身体の方がいいわねー。おじいちゃんだとすぐ疲れちゃうし。うん、わかってる。この世界の平和は私が守ってみせる。昨日視えたのは悪王一味だった。まさか城に乗り込んで来るなんて大胆ねぇ。こちらの戦力はハモン君と、アスミか。ポテンシャルだけで言えば十分なんだけどなぁ。私ががんばるしかないか。まったくもー。とりあえず視えたものを整理しながら対策を練ろう」


「まずはヒカルとクロ。こっちはハモン君とアスミでいっか。となると私はダグとマルマルかぁ。ちょっと大変ね。うーん、マルマルはきっと逃げるわよね。そうなると足止めに入るのはヒカルとダグかしら。うん、決めた。ヒカルは私でダグはアスミ。ハモン君には2人を追ってもらいましょう。どうせ北にいるだろうからいいんだけど、詳しい潜伏先まで追えたらラッキーってところか。けど彼じゃねぇ。期待はしないでおこう。よーし、次は目標の設定。今回もきっと研究資料か関連のものを狙って来るだろうから。1、潜入の阻止。2、目的遂行の阻止。3、逃走の阻止。4、被害拡大を防ぐ。段階的な目標はこんなところかしら。あとはそれぞれどう対策するかねぇ。皆をどう動かすか。何か面白いものでも視えたらいいんだけど。気分転換も兼ねて街に行ってみよーっと」



「ふっふっふーん。まじっくまじっくまじかるしょーじょ。せかいをすくう、まほーつかい。それは、だれ?それは、わたしっ!ミサキだよー。なんちゃってー。この通りっていつも誰もいないからつい開放的になっちゃうわねぇ。ふっふっふーん」

「随分とご機嫌ですね」

「あらら、いたの。また見られちゃった。こんにちは」

「こんにちは。その品、気に入っていただけたようで何よりです」

「何のことかしら」

「先日購入いただいた杖のことですよ。おじいさん」

「あなた、何者なの」

「ただのしがない露店商ですよ」

「ふーん」

「あと赤い方も持ち主が見つかりました」

「そのようね」

「ご存知でしたか」

「ええ。誰が手にしたの?」

「それは言えません」

「商売人として守秘義務があるとでも?」

「いえいえ、もっと当たり前な話しですよ」

「当たり前?」

「はい。簡単なことです。魔法少女の正体は?ひ、み、つ。ですよね、おじーさん」



「ふぅ、この数日で一通り回っちゃったわね。結局何も閃かなかった。この姿でいるのは楽しかったけど。どうしよう。とにかく頑張るしかないかぁー。騎士が沢山来るのはちょっとやだしなぁ。かといって万一、プラン4以上のことにでもなれば目も当てられない。はぁ平和を守るって大変ねぇ。この感じ、今夜か。覚悟を決めるか。がんばれ私!」



「青の力を使いこの世界に真の姿となりて顕現しよう。プリティーモード!青の魔法少女ミサキ!先を見通しここに参上!悪王一味、暗殺者ダグ。観念なさい!」

「変な奴が出てきたな、なんだよプリティモードって」

「かわいいでしょ?」

「どこが。適当にかわいいとかいってんじゃねーよ。かわいいっていうのはなぁ、もふもふしてて、こぉぎゅっとしたくなる。そういう奴なんだよ。お前ぎゅっとしたくならねーじゃん。変なかっこしてるし」

「そんなことないもん。かわいーでしょこのかっこう」

「はっ、お前とはどうにも話しが合いそうにないな。どっちのかわいいが本物か勝負だ」

「望むところ!とはいえ時間はかけられない、速攻でいくわよ!」

「ふん、すぐ終わるさ」

「ん?今視えたのはかなり嫌な未来ね、何これ」

「とりゃ!」

「きゃっ、今のは何?壁が裂けてる、見えない刃?」

「避けた?勘のいい奴め。だが2度目はないぜ。うりゃ!」

「ふっふーん、種がわかればなんとかなるわ!」

「ちょ、おい!なんで見えない刃を避けられるんだ!」

「私には未来が視えるから軌道がわかっちゃうのよー」

「未来がみえるとかずるいだろ!ちゃんと戦え!」

「勝てばいいのよ、勝てば。それ、プリティスラーッシュ!」

「くっ、面倒な奴だな。ヒカルと合流した方がいいか。やっぱこういう真っ向勝負はおれ向きじゃねーな。マルめぇ、今度からはあいつに押し付けよう」



「今度は悪王ヒカルか。とりあえず計画通りね。悪王、覚悟なさい!プリティスラッシュアーンドウォーターソード!」

「こ、こいつ、普通に魔法使うのかよ!」

「ふふ、どうかしらこれ。ハモン君の剣。見様見真似なんだけど中々上手くいってるわね」

「ちっ、なんでこうも、俺の前にこうも俺より強い奴が出てくるんだ」

「あら、実力をあっさり認めるのね」

「うるせーよ。くそっ、くそっ!強くなってるはずなのに、何が足りないんだ。アレを使う前に自分の力で上を目指したかったが。くそっ!」

「まっすぐ過ぎる故に間違えるとどうにもならなくなる。彼の未来を変える方法はないのかしら。あなた、このままいけば本当に引き返せなくなるわよ」

「それこそうるせーよ。お前には関係ねーだろ。黙ってろ」

「そう。またセツカさんが悲しむわね」

「あいつも関係ねーだろ。ちっ、やる気が削げちまったな。面倒だし、もうそろそろいいか。おい魔法少女、あばよ」

「ちょっと!いきなり逃げるな!」



「はぁー、とりあえずなんとかなったわね。プラン4まで来ちゃったけど。未来って変えられないものなのかなぁ。なんか疲れちゃった。王子が言うようにもうちょっと休暇取ろうかな」

「待たれよ、そこの変わった格好をした怪しい少女」

「前触れもなく突然なーにー?あら、騎士ピックァリィン」

「ほう。我が名を知っているのか。益々怪しいな」

「さすがに名物騎士はみんな知ってるわよ」

「わけのわからんことを。世を正すため平和のため。不審者は、斬る!」

「あいにく私も平和のために戦ってるのよ。あなたに斬られることしてないわ」

「問答無用!受けよ、我が光を道標として天へと昇れ。ライトァップ!」

「う、見えない刃より見れない剣のが辛いわね」

「ちぇぇぇぇすとぉぉぉぉ!」

「ならこっちも!青の力よ、煌きの刃に愛を以下略、プリティプリズムストラーイク!」

「むっ、やたらに眩しい。おのれぇぇぇ。あ痛っ」

「勝負は一瞬で決まるもの。殺傷能力はないから安心なさいって聞こえてないか。まったくもー。ハモン君の友達ってこういうのばっかりなのかしら。今度会ったら文句言っとこう。というかいきなり斬りかかるって危ないじゃない。まったく。ふふっ、それにしても私って強いわねぇ、うふふ。魔法少女ミサキ、私が主人公よ!なんちゃってー、ふっふっふーん」



「ぁ、あの、わたし事務なんですけどぉ、むにゃむにゃ」

「んー?きゅーになぁにぃー?ねぼけてるのせつぅ、もー。ってなんか重いと思ったらノラか。もぉ」

「うにゃうにゃ、うひひ、にんげん、おもろいにゃぁ、うにゃうにゃ」

「むー。抱き枕の刑に処す」

「うー、くるしいよぉ、うにゃうにゃ、てんしになっちゃうよぉー」

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