06. ニーナちゃんからの贈り物
「マル、獣の解体は済んだわよ」
「よーし、今日のところはこの辺で野営にするか。明日からは森に入る。各自準備しておいてくれ」
「セツカちゃん、お疲れ様。向こうに水場があるから簡単に身体拭いておきましょ」
「いいですね、行きます。サシロサさんも行きませんか?」
「はい。一緒に行きます」
「だいぶ歩いてきたけどセツカちゃん、慣れた?」
「はい、さすがに慣れました。けどみんなに付いて行くだけで精一杯」
「ごめんね、みんな足速いから大変よね。背中拭いてあげる」
「どうもです。じゃあ、わたしがサシロサさんの背中拭いてあげる」
「ありがとうございます」
「サシロサさんは歩くの平気なんですか」
「シロでいいですよ。材料集めで歩いたりモンスターと戦うこともあるので慣れているんです」
「へー。インドアな感じなのにアクティブなんですね」
「インドアと言えばそうですけど、研究に必要なものがありますから。だから街の外まで出るんです」
「そうなんだ」
「だけどたまに街で人間を」
「え?」
「ああいえ。人間と協力して集めることがあるんですよ」
「人間と」
「セツカちゃん、それ以上聞いちゃダメよ」
「はい」
「はー、身体がきれいになると身が軽くなるような心地ね。あら、セツカちゃんそれ何?」
「友達がくれた塗り薬。靴擦れにいいんだって。身綺麗にできたし塗っておこうと思いまして」
「靴擦れに。ちょっと見てもいい?」
「どうぞ」
「ふーん、特に匂いはしないのね。ん?裏側になにか書いてある、けど。あー、これは自分で読んだほうがいいかもね」
「裏側?どういうこと?」
「はい」
「ども。裏側、これか。病は気から。って靴擦れが思い込みで治るか!ニセモノ渡しおって。ニーナちゃんめ、帰ったら覚えてろよ!」
「さっきセツカの気合が入った声が聞こえたけどなんかあったのか?」
「ええ。友達からのプレゼントで元気が出たみたい」
「へー、そりゃよかった。よっぽど仲良いんだな」
「ふふ、そうだと思う。お互いのことわかってるって感じね」
「親友ってやつか。それはいいな。なんとかして帰してやりたいものだ」
「人情を抜きにしても、彼女には必ず帰ってもらわないといけないしね」
「ああ。すまんな」
「まだどうなるかなんてわからないでしょ」
「そうだな。少なくとも俺が生きている内にお前達を犠牲にはさせないさ」
「嬉しいけどリーダーは最後まで残らないと。マルは私達よりずっと大事な役目を背負ってるんだから」
「俺はそこまで重要じゃないさ。そうだな、みんなで帰ろう」
「ええ」