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あの、わたし事務なんですけど  作者: Tongariboy
1−4.ギルド、そしてモンスターパレード

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50/124

50. モンスターパレード

「わたしたちは東側なのね」

「ええ、でもセツカさんなら北の最前線でも問題ないかと思いませけどねぇ」

「わたしってどういう存在になってるのよ」

「素晴らしい戦士として皆に認められておりますよー」

「この王国の人間ときたら」

「素敵でしょ」

「反論する気が起きないほどにね」

「いい顔ですね、ははは」


「しかし、大山羊の話では今日が一番多いのですよね?思っていたより少ないなぁ」

「もう大半が移動してるのかもしれないですね。だとしたら楽だ。やたー」

「セツカさんと一緒にいて楽が出来るとは思っていませんけどねぇ私は」

「ブンドウさんと一緒に活動したの一回じゃないですか。そこまで言われることですか」

「あなたは騎士の中でもかなり有名なんですよ」

「その話、聞きたくないです」

「おやそうですか。あのメイ殿に師事し、他にも武闘派の元騎士に弟子入りしているとか。何よりあのトラド殿が認めたほどだぞ!と、皆がいつも話しております」

「嬉しそうに言ってくれちゃって。みんなでって騎士は暇なんですか。そういえば前から聞いてみたかったんですけど」

「なんです?」

「トラドさんがすごいのはわかるんですが、騎士って何か位みたいなものあるんですか?」

「位というと騎士団長など一部のまとめ役くらいなものですよ。まぁ実力を分けるため下級とか中級など勝手に呼んでたり、あと私なんかは秘密騎士なんて呼ばれてます。もちろん私の仕事を知っている人だけですが」

「秘密騎士って秘密を知っているわたしは」

「さすがセツカさん!」

「やはりそうくるか」


「あ、ナミチさんだ」

「ブンドウさん。こっちの隊員がモンスターの一群を発見した。まだ遠いけどかなりの数だって。殺気立ってるってほどじゃないけどちょっとピリピリしてるみたい。おそらく南から北上してきた一団だと思う」

「ほらね」

「なぜこうも試練ばかりが降り注ぐのか」

「何のこと?」

「平和の訪れはずっと先って話です」

「楽できなくて残念ってことか。働きがいがある仕事でよかったなー。で、どうする?」

「交通課に習って彼らの行軍があまり広がらないように誘導し、もし王国民の目に入ったら我々が管理出来ているように見せましょう」

「ははっ、平和主義か。いいなぁあんた。よーし!だったら任せろ」

「騎士は交通課の指示に従うように言っておきましょう」

「ああ。そのかわり戦闘になったら、だな」

「はい。その時は私達が盾になり全力で皆さんをお守りします」

「うっし、セツカちゃん行くぞ!」

「あの、わたし事務なんですけど」

「わかってるって。ちょっと手伝ってもらうだけだ」

「セツカさーん、がんばってくださーい」

「ローさん、早く帰ってきてぇ」


「すごい数ですね。まるで壁が押し寄せてくるみたい」

「ああ、腕がなるってもんだろ」

「同意求められても」

「私らは行進からはずれたモンスターを列に戻したり、万一その中に人間が入らないように取り締まる

のが主な担当業務だ」

「はーい」

「にしても南の連中は何やってんだ?連絡くらいよこせよ、まったく」

「そうですね。もしかして南側で何かあったのかな」

「南は大丈夫だろ。緋色のシユとウチのマークがいる」

「2人とも歴戦の、というやつですか?」

「ああ、緋色は近衛騎士並だって言われてる。それにマークだって凄いんだ」

「騎士並ですか?」

「いや、大臣級だ」

「え!と驚いてみたもののよくわからないです」

「どんな強面のモンスターにも立ち向かい必ず交通ルールを守ってもらえるようにしてしまうんだ」

「すごーく強いんですねぇ」

「ん?別に強いくはないぞ。話し上手なだけだ」

「つまり交渉に長けてるから大臣級か、なんだ。いや、すごくまともじゃないのか、わたしは今なぜあんな反応を」

「さすが武闘派」

「おおお、なんということだ、わたしとしたことが。洗脳とはこういうものか」

「洗脳されてたらそのことに気づけないから素でそう思っただけでしょ。緋色はまだ若いんだけど、北と西にトラドとポールなんて2強がいるからあっちに回ったんだろうがあいつらと同格といって差し支えない。南に何かあったとしても非戦闘員を守ることくらいは簡単だよ。そんなに心配しなくてもあんたの知り合いはきっと無事さ」

「はい。まあ、何よりニーナちゃんならどうにでもなるか。真の勇者だし」

「勇者?」

「いえいえ、ちょっとした隠し設定ですから」

「若い子ってよくわからないなぁ」


「ヒャッ!チベタイ」

「ごめんねー、ヒンヤリしたくなかったらあっち行ってねー」

「ヒンヤリハイヤダカラシカタガナイ」

「ツメタイヤツ」

「ツメタイヤツダ。ヒャッ!チベタイ。ナニスンノヨー」

「余計なこと言わずにまっすぐ行ってー」

「コウツウカはイツモチカラワザダ」

「パワーシンジャメ」

「ノウキンカトヤユサレルノモシカタガナイ」

「シカタガナイ」

「パワーシンジャメ」

「はいはい、わたしは違うからね。じゃ、みんな運動会がんばってねー」

「ハーイ」

「ふぅ。もー、まっすぐ歩くだけなのになんでぶつかってくるのかしら。セツはどうしてるかな」


「ニーナさん、大丈夫ですか?」

「ブルバラさん!参加されていたんですね」

「え、ええ。メイ殿にその、頼まれまして。ニーナさんと面識があるからと」

「そうなんですか。ありがとうございます」

「いえいえ。どうも想定以上の数が動いているようです。まさか南にこれほどの数が潜んでいたとは驚きです」

「森が多いからですかね?」

「そうかも知れません。東の獣の森とは違いこちらは、なんというか奔放な意思を感じさせる土地ですからね。入り組んでいるから隠れやすいですし、彼らにしてみると過ごしやすいのかもしれません」

「そんな子も行かないといけないなんて大変だなぁ」

「縦社会というものはどこだって下の者の意思など気にかけませんから。仕方がありません」

「騎士みたいな?」

「王国といった方がいいでしょう」

「もっと上手くいくといいですね」

「ええ、心からそう思います。先程の話を少し聞いていたのですが、ここいらのモンスターは東ほど流暢に話さないんですね」

「そうかな、みんな同じに感じるけど」

「東側は人間と大差ないほど上手に話しますよ。もちろん全員がとはいえませんが」

「ふーん、そんな違いがあるんですね」

「そうですよ、先程の話にもかかりますがやはりモンスター間の接点が少ないのでしょう。だからあまりコミュニケーション能力が育まれていないのでしょうね。しかしこの数は本当に多いですね。東西に別れるようにすると指揮官は言ってましたが、この動きは東側に寄ってますね」

「安全な土地だからですか」

「ええ、西はモンスターといえこの地に巣食う者達にとっても近寄りがたいのでしょう」

「うーん、こんな大群来たらセツは。きっと駆り出されるわね。うふふ」

「ニーナさんはやはり、メイ殿の」


「この力を得たのは今日この時のためと知った」

「いい感じの悟りだな。じゃあセツカちゃん、風使ってがんばってねー」

「うおおぉぉぉぉぉぉぉぉ」

「いいぞー、ふぁいとー、よーし押し返せー!」

「うおぉぉぉ、ちょっとあんた道に戻りなさいよぉぉぉ!」

「ナンデストォー!」

「わざわざ脇に逸れる必要ないでしょー!」

「アンタドコサワットンノー!マケルカァ、フヌゥオォォォ!」

「押せ押せ!でぃふぇんす、でぃふぇんす」

「くぅ、ぅぉぉぉぉおおお」

「いいぞぉ!そのちょうしー!」

「あの、わたし事務なんですけどぉぉぉぉおおおお!!」

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