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あの、わたし事務なんですけど  作者: Tongariboy
1−3.セツカさんの日常

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40. 類は友を呼ぶとはどういう理屈か

「セツちゃん着いたわよ。起きて。この辺りでいいかしら」

「ふぇー?あー城門か、はいここでいいです。パンダ3ありがと」

「じゃあ、また来てね」

「いやです」

「大丈夫、もうあそこには行かないから。しばらくは」

「風の魔法についてだけ教えてくれるなら行きます」

「わかった、しっかり教えてあげるからぜひ来てね。それじゃあまたねー」

「はいはーい」


「ああーつかれたぁ。もうなにもしたくないわね。うわーこの部屋あっつ。そうよ、こういうときにこそ風魔法。ふへへ。集中してぇ、ぐるぐるをイメージ、ってうわぁー!なにこれ!ちょっと、ああ部屋が散らかってしまったよ。なんてこった、これはしばらく外で練習ね。うへーなんかしんどいー。もういいやぁ、明日は休みだし。明日片付けて、どこかいいとこ探してやってみよ。今日はもう寝ちゃおー」


「うーん、朝かぁ。うぅだるー。でも魔法練習したいし。とはいえどこで練習しようかな。部屋でのことを考えるとあんまり人も物もない広い場所がいいか。あーそうだ、勇者の剣がある辺りがいいわね。行ってみよーっと」


「よしよし見事に閑散としてるわね。ここで練習しよう」

「あれ、あなたは」

「うん?」

「こんにちは」

「どうもこんにちは。どこかでお会いしましたっけ」

「はい、以前お会いした時に商品をいくつも買おうとなされていたのですが急に足元がピカーっと光ってそうしたらあなたが消えてしまったことがありました。生きてたんですね」

「あー、あー!思い出した!あの時変なもん売ってた子だ。ってさっきわたしが沢山買おうとしてたみたいなこと言ってなかった?どさくさに紛れて代金請求するつもりでしょ!」

「鋭いですね。じゃあ今回の品物はいかがでしょうか」

「いらん」

「そうおっしゃらずに」

「そうねぇ。じゃあわたしがこれからやることに耐えられたらちょっと考えてもいいわ」

「ちょっと考えるだけですか。ちなみにどんなことを」

「魔法の練習よ」

「どんな魔法です?」

「風の魔法」

「なるほど、それでしたらこの品物はいかがでしょうか。だれでも魔法が使えるようになる腕輪。これがあれば」

「いやもう使えるのよ」

「じゃあ魔法の威力がとっても強力になる指輪」

「逆に小さくしたいからいらない。ていうかそんな物あるなら騎士にでも売りつけたら買ってくれるわよ」

「わたしのような身分では商品の質が良くても買ってはくれないのです」

「あっそ」

「冷たい」

「まぁとりあえず見てなさい」

「はい」


「風よー、吹けー」

「へぇ、ちゃんと使えるんですね」

「ふふふー、すごいでしょー」

「でも荒れ狂ってます」

「だから練習に来たのよ。実際どのくらい危険なのかわからないから実験台になって」

「では本日は店じまいとさせていただき、また後日よろしくお願いします」

「逃げなくてもいいじゃない。ちょっと風に巻かれるだけよ」

「ただでは済まないことはしない主義でして。しかし善良そうに見えて人権無視したコトしようとするとは。侮れませんね」

「え、あー。そう言われるとそうね。まさかあの姉妹のせいで思考が歪んでしまっていたとは。だけどあなたには言われたくない」

「ではー」

「まったく、ほんとどうしてわたしの周りってこんなのしかいないのかしら」

「類は友を呼ぶ」

「じゃあ気を付けて帰るのよ。怪我なんてしてしまってはよくないもの。それではごきげんよう」

「はい、ではー」

「なんか悔しいわね。はぁ、魔法の練習しよう。わたしはいつか空飛ぶんだもーん」


「なかなか思うようにいかないわね。魔法を使う感覚は身についてきたけどコントロールが全然できない。アンさんに聞きに行くのもなぁ。どこかにいい先生いないかしら。優しくてわたしのこと大切にしてくれる人格者。ん?あそこにいる人、どこかで見たような。誰だっけ。休憩がてら近くに行ってみるか」


「あ、思い出した。ターナさんを紹介してくれたおじいちゃんじゃない。あのー、こんにちはー」

「お、おお、なんだあんたか。びっくりさせやがって」

「それは、すみません」

「いやいいんだすまんすまん。ちょっと気が立っててな。ほら、普段森ん中だろ?だから人の多い所にくるとどうも落ち着かなくって。それはそうと元気そうだな。よかった」

「はい、元気とは言えませんが無事にすごして、はいないか。とりあえず生きてます」

「なんか妙な返事してんな」

「えーと、そういえばおじいさんの名前知らないですね、なんて呼べば」

「ああ、チェスタだ。改めてよろしくなセツカちゃんよ」

「はい、よろしくです。わたしの名前覚えててくださったんですね」

「まあな。あの村の連中みんな気にかけてたんだぜ」

「そうなんですか?そんな1日だけしか滞在してなかったのに」

「閉鎖的な環境だからな。新鮮で生きの良いのが来たらそりゃーな」

「なんか食材みたな扱われ方ね。あ!そうだお金、実はお弁当に結構な額が仕込んであったんです」

「あれか。皆がそれぞれあんたに気を使ってなぁ。結果ああなった。助けになったか?」

「それはもちろんです。とは言えないか。その、まだ使ってなくて部屋に置きっぱなしなんです」

「そうか。じゃあ遠慮なくそのまま貯金しときな」

「さすがにそんなこと出来ないですよ、お返ししないと」

「気にすんな。もうセツカちゃんにあげたんだし今更返されても誰も自分が出した額なんて覚えてねぇんだ。どうせ老人ばかり、財を貯めても仕方がないだろーからむしろもらってやってくれ」

「うーん、わかりました。一旦預からせてもらいます」

「ああそれでいい。それで、セツカちゃんはここで何してんだ?」

「わたしですか?わたしは今魔法の練習してたんです。全然思うようにコントロール出来なくて」

「はーん、魔法か。やっぱりただもんじゃなかったか」

「いや、ちょっと風を起こせるくらいですから。部屋が散らかるくらいの風ですよ。というのを自分の部屋でやってしまいました」

「ははは、そうかそりゃ災難だったな。そうだなぁ、村に行けば教えてやれるやつを紹介できるが今はちょっとな」

「何かあるんですか?」

「ああ今はな、あ。いや、すまん、やっぱ気にするな。村のことだからよ、気にすんな」

「わかりました。2度も言われると気になるわね」

「じゃあ俺はお使いの途中なんでな、ここで失礼させてもらうぜ」

「はい、またいつか遊びに行きますね」

「お、おう。まぁその、気を付けてな。じゃーな」

「なんかさっきから気になるわね、まあ別にいいけど。気にしたらまた巻き込まれるし。練習再開するかー。そういえば最近知り合いによく合うような気がするけど偶然かな?」


「ふぅー、まさかセツカちゃんに見つかるとはな。さすがに焦ったぜ。しかし黙っておくのは気が引けるなぁ。お、来たか。よお。頼まれてたものだ。渡しといてくれよ」

「ええ。たしかに受け取りました」

「よろしくな。さて俺はさっさと帰るかな。こんなとこいたら疲れっちまう」

「彼女に会ったのですか」

「ん?ああさっきな」

「怪我など無く元気でしたか?」

「本人は死にそうな顔してたが元気いっぱいだったよ」

「そうですか。それはよかった」

「そうだな。まだあの辺にいるから探しに行ってみたらいいんじゃないか?」

「そうはいきません。仕事がありますので」

「そうか。まあ顔を見られるわけにはいかんか。フードなんか被ってあんたも難儀なもんだな」

「いえどうぞお気遣いなく」

「そうかい。そんじゃ俺は失礼させてもらうぜ」

「はい。どうぞお気をつけて」

「ああ、ありがとよ」

「では私もこれで」

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