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あの、わたし事務なんですけど  作者: Tongariboy
1−3.セツカさんの日常

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32/124

32. ニーナの査定

「こんにちは」

「大臣さんこんにちは。今日もセツカはいませんよ」

「そうですか。実はまた査定の依頼をしたかったのですが、残念ですね」

「それってどんな内容なんですか」

「査定対象ですか?今回は簡単な依頼です。城周辺にある村の1つに届け物をしてほしいというもの」

「そんなの自分で行けばいいのに。ただのパシリじゃないですか」

「最近物騒ですからね。モンスター達も以前より気が立っていることもあるようですから」

「ふーん。査定って、難しいんですか?」

「どうでしょうか。人によると思いますよ」

「査定対象によるということです?」

「それもありますね。評価する側はきちんと対象の動きを追って理解して分析しなければなりません。中々難しいですよ」

「へー。それをセツはいつもちゃんとやってるんだ」

「最初は酷いものでしたよ。しかし段々要領を得て今では彼女以外に頼みたいと思わないほどにまとめてくれています。ただ、それではだめなのです」

「なぜですか?」

「今後大勢の戦士達を査定するのに彼女1人では手が回りません。今でさえ困っているほどですから。ですのでもっと査定できる人間を増やしていくことが現在の課題となっています」

「そうなんだ」

「やってみますか?」

「わたしがですか」

「ええそうです。あなたは王子とも面識があり、セツカ殿にも近しい方です。別の視点で見てくださる方がいればもっとよくなることでしょう」

「わたしが、ですか」

「いやですか」

「えーと。やります。それ、わたしがやります」

「わかりました。王子には私から言っておきましょう。評価表については簡単にレクチャーしましょう」

「わかりました」

「ではニーナ殿。よろしく頼みましたよ」


「ここね」

「こんにちは。あなたがセツカさんですね、噂はかねがね」

「ああー、ごめんなさい。わたしはセツカではなく、代理で来たニーナと申します」

「そうでしたか、私はブルバラです。よろしくお願いします」

「はい、よろしくお願いします」

「道中危険なことは起きにくいルートを通りますが何かあれば身を潜めておくようにお願いします」

「わかりました」

「では行きましょうか」

「はい」


「村まではどのくらいかかるのでしょうか」

「数時間といったところでしょう」

「そうですか」

「今日はセツカさんお忙しいのですね」

「はい、中々事務所にいることも少なくて」

「そうでしたか」

「あの、セツカはそんなに有名なんですか?」

「ええ、私達の間ではとても。セツカさんが評価してくださるおかげで私のような末端の者でも相応の報酬が手に入ります。例えば今回の依頼もちょっとしたお使いです。かつては評価されることはありませんでした。依頼主からも周りからも」

「そっか。セツってみんなに必要とされてるんだ」

「あなたはセツカさんの同僚ですか?」

「はい、セツカ以外でも同様の査定が出来るように、ということで今回」

「それはいいですね。大勢が喜びます」

「セツと同じようにとまでいかないかもしれませんが、きちんとみますので」

「ふふ、ええよろしくね」

「何かおかしなこと言いました?」

「いえごめんなさい。セツカさんとは仲がいいんですね」

「あー、はい」

「あまり気負うような依頼ではありませんから、もう少し気を楽にして行きましょう」

「はい」


「ニーナさん、少し脇に行きましょう。モンスターですね」

「どうしますか?」

「急ぎの案件ではありません。少し様子を見て判断します」

「わかりました」

「安心してください。あのモンスターなら対処できます。最悪荷物は諦めてでもあなたは守りますよ」

「そんな、わたしは本来依頼とは関係ないのに」

「あなたは私が雇ったようなものです。そして一緒に旅する仲間です」

「そうですか。わかりました」

「でもどちらも守りますよ」

「見ています」


「中々動きませんね」

「ええ、何をしているのかわかりませんが」

「何か作ってませんか?」

「そうかもしれませんね。仕方がありません。さすがに暗くなる前には終わらせないと受け取る方が心配しかねませんので行きます」

「はい、お気をつけて」

「ありがとうニーナさん」

「あの、そのまま行くんですか?背後に回ってとか」

「しないわ。彼らは何かを作っている。つまり知性があるということ。もしかしたら話し合いで片付くかもしれない。万一戦闘になっても勝てるわ」

「は、はぁ、そうですか、どうぞお気をつけて」


「ねえあなた達」

「あん?人間だ」

「こいつ強者だ」

「ドラマがきた」

「歴史に残る戦いの幕開けだ」

「いえ、残念だけどここを通りたいだけなの。いいかしら」

「仕方がない」

「強い者には従うしかないのだ」

「胸たぎるドラマしたい」

「またの機会にね。ニーナさん、大丈夫よ」

「はーい」

「な、なんだこいつ」

「人間がまた出てきた」

「ドラマだ、ドラマがきた」

「なんか気が合いそうで嫌ね。あの、何を作ってるんです?」

「あん?これか」

「バカ、言うな」

「これは戦いの準備だ」

「おいー」

「戦いの準備ですか。それは見過ごせませんね」

「相手は人間じゃない」

「ふーん、よくわからないけど戦うなら気をつけてね」

「お、おお!」

「これが気づかい!」

「胸熱い!」

「なんなの、こいつら」

「ふふ、ニーナさん気にいられてるわね」

「もー、ブルバラさん早く行きましょ」

「はいはい。まあいいか」


「この項目は、貢献度って1人の場合当てはまらないんじゃ。それにここはどうしたらいいんだろう。うーん」

「人を評価するって難しいわよね」

「うん、あ、はい」

「いいですよ、そのままで」

「それじゃあ。これって大臣さんにも言われたけど見る人によって変わっちゃうけどいいのかな」

「そうですね。それでもかつてに比べれば改善されています。ニーナさんの見方をセツカさん達に伝えればより改善されるはずです」

「本当に大変なんだなぁ」


「着いたわね」

「お疲れ様でした」

「ふふ、ニーナさん。まだ終わりじゃないですよ」

「あ、そうか。渡してないし、報告に戻らないといけない」

「そうです。役場にいるとのことですのでそちらを探しましょう」

「役場ならきっと中心か奥の方ですかね」

「看板でもあればいいんですが」

「こんにちは、もしかして荷運びの人かしら」

「はい、ターナさんですね、遅くなりました。」

「いえいえ、ご苦労さま」

「受け取った証としてサインを」

「はいよ。そっちの子はサポーターかい?若いね」

「いえ、この方は査定同行していただいています」

「へー、査定か」

「ええ。彼女らのおかげで私達の暮らしも楽になってます」

「そうかい。それはよかったね。この子のようなには沢山いるのかい?」

「残念ながら彼女が第2号となるようです」

「第1号は、どうにかなっちまったのか」

「健在ですよ。ご多忙だとかで。この査定問取り組みが上手くいっているのでしょう」

「ははは、そうかい。それは実に結構。ふふ、そうか」

「では私達はこれで」

「ああ、助かったよ。2号さん、1号さんによろしく言っといておくれ」

「わかりましたけど、わたしはニーナです」

「ニーナか、覚えておくよ」

「はい」

「では失礼します、ターナ殿」

「帰りも気を付けて行きなよ。ふん、行ったか。あの感じ好きになれないね。どうせ元騎士だろう。にしても、あの子は元気にやってんだね。よかった」


「終わりましたね」

「ええ。あとは帰るだけです。思ったより遅くなりました。ごめんなさい」

「いえ、道中でにブルバラさんの判断はわたしは正しかったと思ってます」

「ニーナさん、査定する人はあまり評価を口にしないほうがいいかと思いますよ。それが私達の評価だと思えてしまうとよくないでしょう。期待させて結果が相反するものであったり贔屓しているように見えてしまってはあなた方にとって不利なことになりかねない」

「そうですね、軽率でした」

「でもありがとう」

「はい!」

「帰りましょうか」

「はーい」

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