31. 大事な手紙
「こんにちは」
「大臣さんこんにちは。セツならいませんよ」
「おやそうなのかね。ではこちらを渡しておいてくれませんか」
「わかりました。何か伝言はありますか?」
「いえ、特に何も。ああ、ただ今日中に渡してもらえますかな」
「うーん、帰ってくるかわからないのですが」
「そうですか。では頼みましたよ」
「え、はい。もー勝手だな」
「やっぱり帰ってこなかったか。どうしよう。家にいるかな」
「セツー、いますかー。もしもーし。いないのかな?もしかして寝てるとか。あれ、鍵開いてるじゃん。もう不用心だなセツは。うーん、渡せばいいのよね、じゃあ部屋に置いてあと書き置きしておけばいいか。勝手に部屋にあがってたらまた怒るかな」
「おじゃましまーす。前来たときよりちょっと散らかってる、やっぱり忙しいのかな。まあこの辺においておけばいいか。メモってどこかに、あ、これ。わたしが描いた手配書、こんな額に入れて飾ってたのか。こんな大事に。セツ、まだ怒ってるかな」
「だれ!ってニーナ、何してるの」
「そ、その、大臣に頼まれて、今日中に渡せって。偉い人からのお願いだったからその」
「いえ、いいわ。ありがと」
「うん、じゃあ、帰るね、お邪魔しました」
「うん。ねぇ、えっと、大臣さんに会った時、ローさんのこと何か聞いた?」
「何も聞いてないよ」
「そっか」
「うん。早く、戻ってきてほしいね」
「そうだね」
「わたし所長さんに酷いこと言ってた。あの人いつも受け流してくれてたから、つい好き勝手に」
「わたしもだよ、所長さん甘えてたと思う」
「わたし、わたしはセツにも、セツにいつも、わたし」
「ニーナ、ちゃん」
「うぅ、ごめんなさい」
「あ、ニーナ!まって、ニーナ。はぁ、行っちゃったか。追うべきだったかな。もうこんなのばっかり」
「こんにちはー」
「こんな時に、でもこの声。こんにちは、大臣さん」
「取り込み中かな?」
「いえ。わたしの家知ってたんですか」
「それは仕事上どうしてもね」
「何か御用でしょうか」
「ええ、ニーナ殿にお渡ししたものがどうなったか気になりまして」
「受け取りましたよ。結局来るなら自分でお持ちになればよかったのでは」
「それでは意味がない」
「なんでですか」
「さてね。では私はこれで」
「え、ちょっと、何しに来たんですか、ちょっとー。ったく、これそんなに重要なものなの?えっと、なにこれ、白紙じゃない!もう、なんなのよ!」




