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02. 旅立ち前にニーナと

「決まっちゃったね」

「うん」

「成功させて王子様の心をゲット」

「いらん」

「そうね。お勤めがんば」

「他人事だからって」

「セツならやれるって」

「ニーナちゃんでもいいじゃない。王子に気兼ね無く質問する度胸があって、いつも仕事ちゃんとやってくれて、たしか新体操とかやってたよね?運動もできるだろうし。というかむしろニーナちゃんの方がいいんじゃ」

「いやいや。わたくしめには荷が重い」

「あー!そうか、わたしを目立たせて隠れ蓑に使ったな」

「ばれたか。セツならきっと色々言うだろうから」

「もー!あ、ほら機転もきくじゃない。わたしより適任なのに」

「だって、これを機に王子様とセツが結ばれる未来を想像したら、もう」

「笑いが止まらんと」

「うん」

「ニーナちゃんって」

「そういえば魔王ってイケメンらしいよー」

「興味のない話題で話を反らせると思うな。いいわ。討伐が成功したら魔王の首持ってきてあげる」

「イケメンは鮮度が大事よ」

「鮮度低いイケメンってどんなよ」


「おはよ」

「おはよー」

「はぁ。今日で最後か。わたしの業務誰が引き継ぐのかな」

「大丈夫。セツの仕事くらいやってあげるよ」

「わたしの仕事ってそこまで簡単じゃないんだけど」

「安心して。あなたは明日を信じて進めばいいのだ」

「その明日がいつ果てるかもしれない旅路にでるんだけど」

「勇者セツカよ、魔王城へ向かうのだー」

「簡単に言いおって。なんでわたしが勇者になってんの」

「ついでになっちゃいなよ」

「なれるか!ていうかあの、わたし事務なんですけどなれると思うの?」

「そうだった。セツの前職は事務だったね。過ぎ去りし昔日の日々」

「まだ現役よ。ああ、ただの事務員でいいのに」

「たるんだお腹。いつも軽いお財布。一発逆転狙って魔王を討て。目指せ玉の輿。わたしを待っててショウ王子」

「わたしをいじめるの楽しい?」

「それがわたしのモチベーション」

「満足気に言うことか!」


「ところで準備はできてるの?」

「旅の準備?とりあえず必要そうなものはまとめたけど」

「そっか。これあげる」

「なにこれ」

「靴ずれにいいお薬」

「あら、ありがと」

「セツは普段運動しないからね。歩き詰めできっと、ね」

「そうね、始めは付いて行くだけで必死よね」

「がんばってね」

「うん」

「明日出発だっけ」

「うん」

「そっか。セツの席は絶対そのままにしてもらうから。ちゃんと帰ってきなよ」

「うん。ありがと」


「セツ?じっと見てどうしたの?」

「いや、オチが用意されているのかと」

「そんなことわたしがするわけないじゃない。もう、いくらなんでも死地に向かう友達をからかったりなんてしないよ。まったくもう、セツとの友情疑っちゃうよ」

「そうよね。ごめん。じゃあ、帰るね」

「うん」


「うーん、さすがのセツも勘が良くなってきたか。あーあ、せっかく用意した勇者セツカの張り紙。別れ際に背中押して貼り付けるつもりだったのになぁ。無念」

「ほらー!やっぱりなんかたくらんでたじゃない!」

「あ、あれ、セツいたの、てっきりもういないかと」

「ニーナちゃんがさらっと引き下がるわけないと思ってこっそり戻ってきたのよ。ていうかなんでウォンテッドって書いてあるのよ」

「目立つからいいかなって」

「自分の手配書背負って歩く奴がいるか!」

「あはは、でもわざわざ戻ってくるなんて、わたしのことわかってくれてるよね。さすが親友」

「死地に赴く友人にイタズラしようとした人が親友?」

「そうそう。最後に楽しい思い出を作っておくのもいいかなって」

「最後っていうなー!」

「ふふ、いってらっしゃい」

「まったくもー、いってきますー!」

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