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14. モンスター交通課

「モンスターは急には止まれない。よく知られた標語だな。そんなモンスターと人間が衝突しないよう、治安組織の一員として交通整備を担当している。それがモンスター交通課」

「へー」

「互いの往来を整理するため主に結界を使って人間に通るのを待ってもらったり、逆にモンスター側を待たせたりしている」

「なるほどー」

「そういえば遠征の帰りに見かけたなぁ」

「モンスターも様々で血の気の多いものは早くどけと抗議の声を上げたりするし、どうもどうもと人間の行くのを待ってくれる者もいるのだ」

「今回はそこのお手伝いに行くのね。セツ、がんばって」

「たまにはニーナちゃんが行きなさいよ」

「うっ、古傷が痛んで歩けそうにない」

「ああ、それならこのエリクサー使いなよ。よく効くよ」

「まだ持ってたんだ。でもそれでも治せないの」

「病は気から」

「根に持ってる?」

「こらこら、ちゃんと聞きなさい」

「はーい」

「よろしい。今回行ってきてもらうのにはちゃんと理由がある。王子からの依頼でね。ちゃんとした査定表を作りたいから参考になるものを見てきなさい、とのことだ」

「別に行かなくても使ってるフォーマット写させてもらえればいいのでは」

「だめよ。そんなのだめ。現場でちゃんと見てちゃんと理解しなきゃ。戦いで疲れたみんなが楽しみにしてるお小遣いに偏りが出ちゃうかもしれないのはよくないわ」

「つまりわたしがモンスターとバチバチしてるのが見たい、と」

「ニーナくん、せめて報酬と言いなさい。雀の涙とはいえその言い方では戦士諸君が悲しむ」

「まっとうなこと言ってるはずなのに」

「さて、確かにセツくんのいう通りでもある。しかし現場でどうやって表を使っているか知ることはとても大事なことだ」

「それさっきわたしが言った」

「言いたかったのよ。きっと」

「ニーナくん、ちゃんと聞きなさい」

「なんでわたしだけ」

「ふふん、普段のおこないがものをいうのよ」

「むー、セツのくせに生意気だ」

「きみらと話しているといつも脱線するな。とにかく行ってきてくれ。王子はセツくんを指名されている。ではよろしく頼むよ」

「よかったね、王子様胸キュンじゃん。ついに射止めたか。そっか、普段のおこないがいいからだね」

「ほんとに射抜いてやろうかしら」

「まかせて、準備なら出来てるわ。ついにウォンテッドの張り紙を使う時が来たのね」

「いらん!ったく、嬉しそうに言いおって」


「こんにちは」

「はい、こんにちは」

「モンスター交通課ってこちらであってますか?」

「ええそうよ。お手伝いで来てくれた派遣の事務さんかな」

「はい。セツカといいます。お世話になります」

「こちらこそ。今日はよろしくね。私はアンダークよ。早速だけど交通整理に出るから付いて来てちょうだい」

「承知しました。何か必要なものありますか?」

「そうねぇ。度胸かな」

「度胸ですか。まさかコワモテのモンスターと激突するとかですか」

「いい勘してるじゃないの」

「そりゃ交通課に来て度胸ときたらね。ってそうじゃなくてあの、わたし事務なんですけど。なんでわたしがそんなところに」

「あら、何言ってんのよ。あなた魔王城遠征に参加して無事帰ってきたモノノフって聞いたわよ。しっかり取締するからね。ちょっと荒っぽくなるから気を引き締めてちょうだい」

「モノノフって誰がそんなことを」

「そちらに出向いた時に案内してくれた子が自慢げに話してたわよ?」

「ああ、なるほどね。ニーナちゃんか。すでに手を回しているとは抜け目がない」

「さ、出発よ!」

「はーい」


「はいはーい、モンスターのみなさーん、ちょっと待ってねー」

「アンさーん、違反切符ってこれでいいんですかー?」

「そうそう、それでいいわ。おい、そこの牛っぽいモンスター!私の前で2度と横断結界を無視するんじゃないぞー!あ、こら!そこの人間、モンスターからかってんじゃない!セツ、あのアホに早く行けっていってきて!」

「はいー!そこのアホおにーさぁぁぁん!早く渡ってくださーい!」

「ったく、早く行けって言ってるのに。グダグダ言ってんじゃない!さっさと行かないとぶっ飛ばすわよ!」


「つかれた、すごく」

「お昼時はみんな移動するからね。ごくろーさん。助かったわ」

「アンさんたちはいつもこんなことしてるんですか」

「そうよ」

「エネルギーの消耗が激しすぎです」

「そのうち慣れるわ。それにお昼以外はのんびりしたものよ。場所にもよるし」

「そうなんですか。今日は査定表の参考にフォーマットの使い方を伺いに来ただけだったのに、まさかこんなことに付き合うことになるなんて」

「とっても助かったわ。ありがと」

「はいー、どういたしましてー」

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