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あの、わたし事務なんですけど  作者: Tongariboy
第1部 ギルドが出来るまで 1−1.魔王討伐遠征隊

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12. ついにたどり着いた城にて

「無事森を抜け、草原を駆け、たどり着いた久々の宿!布団があるって感動ね」

「そうですね、引き返すことになった後も随分苦労しましたし」

「城に報告したらシロさんはどうするの?」

「そうですねぇ。いえ、城に入らず北の森あたりに行きます」

「そうなの?」

「はい。戻ってもどうせまたうるさく言われるだけですし。自由にのんびり研究に励みます」

「そういえばシロさんの研究ってなんなんですか?」

「私達は永遠の命を研究しています」

「また、壮大というか無茶な研究テーマですね」

「はい。よく言われます。無理とか禁術だとか。うるさいから実験の成果を体験させてあげたとこも、ああ、いえ、なんでも。ちょっとやって見せてあげたことがあるだけですよ」

「あの時の彼はモンスターもびっくりするぐらい元気になったね。僕も印象に残ってる」

「凝縮したモンスターエキスを混ぜた薬を投与しただけだったのですが」

「な、なるほどー。あー、あ!そうだそうだ、今の内に報告書まとめておかないと」

「それは大事なことですね。もっと話したかったですが」

「あはは、残念ね、時間って有限」

「だからこそ永遠の」

「じゃあそろそろ部屋に戻りますね!おやすみー!」



「おはようございます」

「おはよ。セツカちゃん、なんだか眠そうね」

「はい。ちょっと王子への報告書まとめてたらついのめり込んじゃって」

「ははは、あんたそういうとこ、ほんと真面目だよな」

「わたしはやることはちゃんとやるのだ。それにちゃんとした部屋で作業できるのって城に着くまでほとんどないし」

「えらいえらい」

「おはようございます。皆さんはもう出発されるんですか」

「ええ。シロ達は北に行くのよね」

「はい、これでお別れです。セツカさんお願いがあります。私達について魔法大臣宛に、戦いの最中私達は、ああいや。私達は激しい戦いの最中、皆を守るために戦死しました、とお伝え下さい」

「りょうかーい。私達は、激しく、戦死しました、と。よし、ちゃんと伝えるね」



「はー、無事到着ですね!」

「ええ」

「ああ、懐かしい街並み。帰ってきたんだなぁ」

「そうね。あなたはこういう旅には慣れてないから一層そう感じるんでしょうね」

「ですかね。あの、大丈夫ですか?一度休んでから城に行きません?」

「ありがとう。私はこのままいけるから大丈夫よ。あなたこそ大丈夫?報告なら私だけでも行けるからもう帰ってもいいのよ?後で詳細確認のために呼ばれることはあると思うけど、今日のところはもう」

「いえ、行きます。途中で戻ることにはなったけどみんなそれぞれ頑張ったんだもん。わたしもちゃんと最後までやらないと」

「そう。あなたが来てくれてよかったわ。ありがとう、セツ」

「えへへ。さ、行きましょ」

「そうね。あなたならきっといい戦士になれるわ」

「あの、わたし事務なんですけど」

「ふふふ」

「もー。あれ、ダグさんは?」

「彼は別のところに行ったわ。私達のボスに報告しに行ったのよ」

「ボスですか。ユミさんとダグさんは元から同じチームなんですね」

「ええ。さて行きましょうか」

「はーい」


「ユミさん、わたしたちこれから王様に会いに行くんですか?」

「いえ、報告する相手はショウ王子よ」

「えー、あの人かぁ」

「苦手なの?」

「だって、わたしをこの遠征に送り出した張本人だし」

「そういえばそうだったわね。我慢なさい。私達の報告をまとめて王様や他の偉い人たちへ伝えるのよ。今回の遠征によってどんな戦術を行えるか、とか遠征を継続し行うか、などなど今後の方針を色々考えないといけないことがあるのよ」

「へー、暇そうに見えてやることあるんですね」

「当たり前じゃない。ああいう立場の人って暇そうに見えて時間がないものなのよ」

「ふーん、だからと言ってか弱い女の子を騙した罪は重いのだ」

「ふふっ、じゃあ直訴してみたら?」

「うー、ちょっと考えておきます」

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