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あの、わたし事務なんですけど  作者: Tongariboy
第3部 伝承の勇者 3−1.変わりゆく時代

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115/124

115. 狂気、バケモノの宴

「ここか」

「ヴァーレ殿」

「おおブンドウ殿。奇遇、ではないようだな」

「はいぃ。お待ちしておりました」

「聞こう」

「ではこちらへ。人目につきますので」

「重要な案件か。わかった」

「と言いますか、まぁ、一旦横槍が入らないようにですぅ」

「うん?そうか」



「暗闇坊主か」

「さすが、もう耳に入っていましたか」

「中々面倒な相手のようだ」

「現状、人なのかモンスターなのかも定かではありません」

「特定できるものがないと?」

「はい」

「足取りも掴めないのか」

「ええ、まるで影のような存在です」

「まるで魔法にかかっているようだ」

「ははは、それも考えました。この村に滞在しておる魔法学者も幻惑の魔法を使うそうです」

「幻か。だとしたら厄介だな」



「あー!パンダ3号とゼブラ1号じゃん!どうしているの?はっ、この子たちがいるってことは」

「セツちゃん」

「それにしても2人とも久しぶりだよねー。2人って人称は違うか」

「ちょっと?師匠を無視して何を和んでんのよ」

「ゼブラもパンダ3も相変わらず白黒ねー」

「当たり前でしょ」

「パンダ3、なんかやつれてない?」

「ここまで全力疾走させたからね」

「なんで!」

「だって、早く会いたくって」

「しまったよ。応えてしまった。存在を認知したことになってしまった」

「つれないわねぇ」

「もー」


「こんにちは。何しに来たんです?」

「先生に会いに来たのよ」

「先生?リーメさんですか?アンさんが今更魔法に何の用が」

「誰か知らないけどその人じゃなくて。ねえ、騎士って来てない?」

「来てますよ」

「ほんと!どこにいるの!」

「えーっと、さっきあっちでピカピカしてたからあっちにいると思うけど」

「ありがと!ピカピカ?」



「栄光の光よ、わが道を照らさん。ライトアップ!」

「いいわ、ピカさん!その長い口上、もっと教えて!」

「ふふっ、まさかリーメ殿が理解を示してくださるとは。いいでしょう。おお、それなら我が友ハモンをご紹介せねば。きっと気が合いますぞ」

「ハモンさんというのはあなたと同類の騎士なのね?」

「ええ。そして言葉を魔法に変える天才と言えましょう」

「素晴らしいわ!是非会いたいものね。今度報告がてらお城にお邪魔しちゃおうかしら」


「なんだ、名物騎士だったか」

「ん?あなたは、アンダーク殿ですな」

「あら、私を知ってるなんて意外ね」

「我が友ハモンがあなたを気にしていたことがありました。相当な実力者ではないかと」

「気のせいよ。ねぇ、騎士ヴァーレを見てない?」

「ヴァーレ殿ですか?まだこちらには見えておられないようです。私もお会いしたくここで待っているのですが。探してみましょうか」

「そう。見つけたら教えてもらえるかな」

「いいでしょうとも」

「ありがとう」



「ではヴァーレ殿ぉ、私はこれにて失礼しますね」

「ああ。次は城か?」

「はい。一度情報を整理しようかと」

「そうか。必要なら言ってくれ」

「ははは、あなたに連絡などどうすれば良いのですか」

「そうだな。所定の位置に箱を置いてそこに手紙を入れるとか」

「ポストですか?うーん、機密情報も含まれるとなると不用心ですね」

「ふむ。何かいい案がないか考えておこう」

「ええお願いしますぅ。では」

「ああ」


「あっ!ブンドウ殿!」

「うぅ、厄介な人に見つかりましたねぇ」

「も、もしやこちらの方が騎士ヴァーレ殿でしょうか」

「ああ、俺がヴァーレだ。君は騎士か?」

「はい。騎士ピックァリィンと申します。以後お見知り置きを」

「ああ例の。ブンドウ殿、待たれよ」

「おやぁ、まだ私になにか御用で?」

「ああ。もう少しお話しようではないか。そうだ、お茶を淹れよう。待っていなさい」

「これはまいりましたなぁ」

「ヴァーレ殿!数々の武勇伝を耳にしては貴殿に憧れて」

「これは長くなりそうですねぇ」



「そして私は遂に光の魔法を手に入れたのです!」

「おおそれはすばらしい。それで現在に至ると」

「そう、そうなのです」

「それは良かった」

「そうだ、そういえばあなたに会いたいという方がいましたよ」

「俺に?」

「はい。元騎士のアンダーク殿です」

「アンがここに来ているのか」

「ええ、会いに来たとおっしゃっておりました。そうでした、お呼びせねば」

「いや、その必要はないよ。彼女は私の弟子でね。用があるなら捕まえてみなさいといつもいっているからな。呼ぶ必要はない」

「そうでしたか。弟子ですか。羨ましい」


「おやぁ、これで終わりですな。ではではぁ」

「あっ!」

「またですかぁ」

「先生!」

「おおジニスじゃないか。今はこっちにいるんだな」

「はい!先生来ていたなら言ってくださったら良かったのに」

「すまんな、あまり長居する気はなかったんだ。それに戦士は皆我々騎士をあまり好いていないようだからな。隅の方にこっそりといた方がいいのだよ」

「こっそり入ってきたらむしろ余計嫌がられますよ」

「はっはっはっ、そうだな」


「先生は何をしに来られたんですか?」

「ちょっと旧友に会いにね」

「トラドさんですか、それなら今は食堂にいますよ」

「そうか。じゃあ出てくるのを待つか」

「行かないんですか?」

「ああ」

「そうですか。ここの食堂美味しいんですよ」

「ヴァーレ殿ぉ、行ってみてはいかがかな」

「ほう、どうにも先ほどからここを離れたがっているようだが、何かあるのか?騎士ブンドウ」

「いえいえぇ、最近処理しなくてはいけない仕事が増えてきまして、早々に戻らねば他の者達に申し訳が」

「貴殿がそんなに勤勉だったとは知らなかった」

「おやご存知なかったのですか。まいりましたねぇ」

「ふふっ、まぁいい。ショウ王子によろしく」

「ええ、では」

「先生、来てくれないんですね」

「目立つのはあまりな」

「仕方がない。先生」

「ん、ちょぉ、ちょっと少年、そのボールは!まちなぁ」

「バレーやりませんか?」



「なんだなんだ?」

「やけにさわがしーじゃねーか」

「騎士らしいぜ」

「騎士だぁ?」

「それがよ、あの放浪騎士様だって話だ」

「まじか!そりゃ気になるな」

「だろ?んでよ、これからバレーやるらしい」

「は?」

「チーム騎士とチームデッシーズで勝負するらしいぞ」

「へー、なんで?」

「さあ?」



「それでは両チーム前に」

「ジニス。覚悟は出来ているだろうな」

「はい先生。僕が勝ったら一緒に食堂に行ってくださいね」

「いいだろう。俺が勝ったらそのまま何も言わずに立ち去る。いいな?」

「う、うん。だいぶ騒ぎになってるけど」

「よし。2人とも、全力で取り組みなさい。いいな?騎士の誇りを見せる時だ」

「おお、このピックァリィン、必ずやご期待に添えてご覧にいれましょう!」

「私はぁ、こういうの苦手なんですけどねぇ。はぁ、もっと早く立ち去ればよかった」


「すみません、お2人を巻き込んでしまって」

「いいのよ少年。聞けばあなたも先生の弟子だとか。つまり私の弟弟子ということ。気にすることはないわ」

「ありがとうございます!」

「わたしは関係ないんだけど」

「弟子の弟子。同じ流派なのだから関係あるわよ」

「セツカさん、お願いします。僕、先生ともっと過ごしたくて」

「もー、そんな顔されたら断れないじゃん。まったくもー」

「えへへ、ごめんなさい」


「ではー、審判はこの哀れなシモザが引き受けることになりましたのでー、皆さん卑怯な手を使ってもいいのでささっと終わらせちゃいましょー」

「ちょっと審判!ちゃんとやりなさい!」

「審判に口答え。マイナス1ポイントー」

「おまえー!」

「嫌なら僕を審判から外してくださいよー、その方がいいと思いますよー」

「くぅ、いいわ、そのかわり最後までやりなさいよっ!」

「はーい」

「なんかあの人、他人に見えないわね」



「トラドさん、こっちです」

「ジョーがこんなに慌てるなんて。おいおい、なんだこの騒ぎ、ってヴァーレ。ああ、いいや。わかった」

「大丈夫でしょうか」

「全然問題ない。ふーん、騎士3人とあの組み合わせは、なるほどな。へぇ、面白そうじゃないか」

「いいんですか?」

「ああ。どうなるか楽しみだな。さてさて、この中で一番活躍するのは誰だろうな」

「あのおじさんは、あ!風の騎士」

「なんだ見たことあるのか。珍しい」

「ええ、以前ショウ王子に会いに来ていましたから」

「そっか」

「皆さん、あの生きた伝説に勝てるのでしょうか」

「はははっ、ジョー。あそこにいる3人はその伝説の弟子だぞ。あいつらの実力は知っているだろ」

「ジニス君は知ってますけど、セツカ先輩と、あちらは元騎士のアンダークでしたか」

「そうだ。メイの双子だ、只者じゃないだろ?」

「確かにどうなるかわかりませんね」

「あとセツカのポテンシャルは地味にすごい。ま、見てからのお楽しみだな」



「ブンドウ、ピックァリィン!今こそ騎士団の団結の力を見せる時。行くぞぉ!」

「おお!かの伝説、風のヴァーレ殿と共に戦える日がくるとは。このピックァリィン、感動で前が見えません!」

「おりゃあ!よそ見するなこの名物騎士が!一打入魂!バシッとアタァァァック!」

「ぐはぁ」

「騎士ピックァリィン!おのれアンめ!」

「よぉし、1人撃破!」

「そういうゲームじゃないでしょ。ていうかアンさんがよく名物とか言えるわね」

「ほらほら、どんどんいくわよー!」

「はぁー、私はぁスポコンとか向かないんですがぁ」

「ブンドウ!気を抜くな!相手に隙を与えてはいかん!もっと腰を落として!」

「はいぃ」

「ヴァーレ殿!このピックァリィン、まだまだいけますぞ!」



「カオスだ。これの審判ってどうすればいいんだよ。はぁ、北の整理に行ったドンさんが羨ましく思えてきた。誰か変わってくれないかなぁ。あ、あれって確かトラド村長じゃなかったけ?あの人に、むぅ、目を逸らされた。あれ?こっち見てニヤリと笑ってる。くっ!つまり僕の状況わかってるってことか。はぁ、誰か助けて」



「アン、弟子の成長を嬉しく思うぞ。だがな、俺は負けを譲ってやる気はない!ことバレーにかけてはな!いくぞっ!ふぉぉぉぉ!」


「なぁジョー」

「はい?」

「あれ見ていると誰が誰の弟子なのかよくわかる光景だな」

「そうですね」


「ふぉぉぉぉ、この必殺の一撃を受けよ!」

「受けちゃったらよくないんですがねぇ。コートに落としてくださいよぉ」

「うわっ!ちょっと!レシーブに殺意込めないでよ!」

「ちっ、ボールに近づけない。先生の鋭い一撃、相変わらずですね」

「ふはははは、もういっちょー!風・圧・殺!きえぇぇぇ!」

「あ」

「ぶえ」

「セ、セツカちゃんがまともにヒットするなんて。めずらしー。顔、大丈夫?」

「ふぅぅぅぅぅ。油断しました。セツカ、今回は本気で参ります」

「そ、そう。この子が本気になるとどうなるのかしら」

「うーん、かなり混沌としてますね。言い出したの僕だけど、やめといたほうが良かったかな。でも、楽しいからいいか」


「まだまだいくぞぉ!ふっ、ここだ、もらった!」

「あまいっ!セツカレシーブ!」

「なんだと!あの距離で打ち上げただと」

「ふん、本気の私からすれば見え見えなのよ!」

「王国最速が遅いと。この子ってほんと」

「ほらジニス君、ぼさっとしない!」

「は、はい!」


「アンさん!いきましたよ!」

「ええ、わかっているわ。まかせな、さいっ!」

「おぉっとっと。ふぅ危ない危ない、あんなものを受けたら痛そうですねぇ」

「ブンドウ殿!ちゃんと取ってくだされ!」

「いやぁ、下手な戦場よりこわくてもう」

「ふむ。ならばこちらも本気でゆくぞアン!必殺1人フェイントアタック!」

「あ、しまった!ていうか先生、今の反則でしょ!手で打つと見せかけて風で打ってくるなんてずるい!」

「ふははは、問答無用!」

「これが私が憧れた騎士の姿か。聞き及んだ姿とはちょ、ちょっとイメージと違いますなぁ」

「だからやめた方がいいと忠告したのですよぉ」



「さすがアンさんの師匠ね。審判あれどうにかしてよ!」

「どうにかって、僕にどうにか出来ると思います?」

「うーん、でも審判としてこうバシッと言うだけでも」

「そうよ、シモザ君もたまにはビシッと言いなさい」

「はいはーい、シモザジャッジにはひっかからないんで大丈夫ですー、そのままどうぞー」

「あいつ、覚えてなさいよ」



「仕方がない。先生、あなたはすごい。だけど時代は変わったのよ。新時代の到来を受けよ!くらえ!巡る因果の果てに紡がれる一撃。受けよ灼熱、轟け疾風!熱炎烈風、火の玉タイフーン!」

「おのれアンめ!やってくれる!だがまだまだぁ!」



「ジョー!今の聞きましたか!素晴らしいわ!あの人!ああいう口上がいいのよ!どこの方なのかしら」

「あのー、なんでリーメ先生まで興奮してるんです?」

「だってご覧なさいよ、あんな文句を恥ずかしげもなく叫んでいるのよ?しかも強力な魔法を行使している。見事と言わざるを得ません。ああいう方が増えれば皆さんももっと魔法の、そう、これは詠唱よ!魔法の詠唱がずっと言いやすくなるに違いないわ!」

「あんな人がたくさん。わたしは今のままがいいなぁ。トラドさん、これどうするんですか?」

「え?俺がどうにかするの?」

「他に誰が」

「ほかっとけばいいんじゃないか?皆楽しそうにしてるし」

「このままだとそのうち村が壊滅しますよ」

「でも俺が入ると余計ややこしくなると思うけど」

「確かに」

「ヴァーレのあれはいつものことだ。そのうち終わるから大丈夫だよ。それよりあいつらの魔法っておもしれーな」

「そうよね!さすがトラドさん!」

「リーメさんまで。もうどなっても私は手伝いませんからね。食堂でお茶飲んできます」



「はぁ、誘拐された挙げ句こんな猛烈バトルに巻き込まれるなんて。だけどこの村の人達はすごく楽しんでる。どういう神経してるんだ。それにしても、これってどうやって採点したらいいんだろ。コートは穴だらけで原型とどめてないし。そもそもボールはとっくに大破して横たわってるし。南無三。もうただの魔法合戦になってるよ。もういっか。あ、そういえばあっちに食堂があるんだっけ、行ってみよっと。コーヒーでも出してもらえたらいいなぁ。しまった、お金、は全部アンさんが払ってくれるか。なーにたっべよっかなー」

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