エピローグ
「……で、どうだった?」
伊野上と桃子は、すっかりと夕日が目に眩しい時間になったころに、図書館を後にした。
「やっぱり自分の国以外の憲法って面白いと思うね。どんなふうにして国を作りたかったのかとか、こんな国を作りたい、こんなふうにしたいっていう思いがにじみ出てきているような気がしたよ」
桃子が伊野上に答える。
「アメリカはイギリスからの独立で国を作ったからね。まずは王政の否定というところがあったんだろうね。そのうえで、色々と試行錯誤もしてきていた。禁酒法とかはその際たるものかもね。一度したものでも、ダメだと思えばすぐ変えるという柔軟さは見習った方がいいような気がするなぁ」
伊野上も桃子に言った。
「それで、これからはどうするの?」
「他の国のも見たいと思ったけど、なかなか時間が取れそうにないね。とりあえずは次は自分で作ってみるっていうのも面白いかも」
「あ、それいいかも。憲法てのを作るってのも、理解を深めるためにはありかもね」
桃子も、伊野上の意見に賛成しているようだ。
どんなふうな国を作っていきたいのか、そのためにはどうすればいいのか。
まだまだわからないことだらけだ。
でも、着実に知識を身につけて、それを考える事ができるぐらいにはなっているのかもしれない。