アメリカ合衆国憲法[52] 修正第25条:大統領の地位の継承
修正第25条[大統領の地位の継承][1967年成立]
第1項 大統領が免職され、死亡しまたは辞任した場合には、副大統領が大統領となる。
第2項 副大統領が欠けたときは、大統領が副大統領を指名し、指名された者は、連邦議会の両院の過半数の承認を経て、副大統領の職に就く。
第3項 大統領が、上院の臨時議長および下院の議長に対し、その職務上の権限および義務を遂行することができない旨を書面で通告したときは、その後大統領が権限および義務を遂行することができる旨を書面で通告するまで、副大統領が臨時大統領としてかかる権限および義務を遂行する。
第4項[1号]副大統領、および行政各部の長または連邦議会が法律で定める他の機関の長のいずれかの過半数が、上院の臨時議長および下院議長に対し、大統領がその職務上の権限および義務を遂行できない旨を書面で通告したときは、副大統領は、直ちに臨時大統領として、大統領職の権限および義務を遂行するものとする。
[2号]その後、大統領が上院の臨時議長および下院議長に対し、職務遂行不能状態は存在しない旨を書面で通告したときは、大統領はその職務上の権限および義務を回復する。但し、副大統領および行政各部の長または連邦議会が法律で定める他の機関の長のいずれかの過半数が、4日以内に、上院の臨時議長と下院議長に対し、大統領がその職務上の権限および義務を遂行できない旨を書面で通告したときは、この限りでない。この場合には、連邦議会は、開会中でないときには48時間以内にその目的のために集会し、問題を決定するものとする。連邦議会が、大統領が職務上の権限および義務を遂行することができない旨を通告する書面を受理してから21日以内に、または、連邦議会が開会中でないときは、集会の要請があってから21日以内に、両議院の3分の2の投票により、大統領はその職務上の権限および義務を遂行することができない旨を決議したときは、引き続き副大統領が臨時大統領としてかかる権限および義務を遂行する。かかる決議がなされなかった場合には、大統領はその職務上の権限と義務を回復するものとする。
伊野上と桃子は、図書館でさらに続きを読んでいた。
「アメリカには大統領が職務を執れなくなった時の方法が書いてあるけど、日本じゃどうなの?」
桃子が伊野上に聞く。
「日本だと、例えば日本国憲法第70条のように『内閣総理大臣が欠けたとき……は、内閣は、総辞職をしなければならない』というふうに、総辞職をすることとなっているんだ。但し、新しく内閣総理大臣が任命されるまではそのまま以前の内閣が職務を継続することになっているんだ。そして、もしも首相が欠けたとしても、内閣法第9条によって、予め指定をしている国務大臣が臨時に首相の職務を行うこととなっているんだ」
「へぇー。ちゃんと考えてあったんだね」
何とも言えない口調で桃子はつぶやいた。
それを気にせずに、伊野上は続ける。
「大統領の場合は法で定めている機関長の過半数が大統領が職務遂行をすることができないとした場合、副大統領が直ちに臨時大統領となることになっているんだけど、日本の場合はここで国会の決議が必要になるんだ。内閣不信任決議の可決あるいは内閣信任決議の否決のどちらかをきっかけとして、10日以内に衆議院解散をしない限りは総辞職となるんだ。日本国憲法第69条にのっている通りにね」
メモを取っている桃子を眺めつつ、それから伊野上は続きへと進むことにした。
[作者注:以下のサイトを参考にしました。
・e-Gov>内閣法(昭和二十二年法律第五号)
https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=322AC0000000005
・e-Gov>日本国憲法(昭和二十一年憲法)
https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=321CONSTITUTION
また、以下の条文を参考にしました。
・内閣法>第九条
内閣総理大臣に事故のあるとき、又は内閣総理大臣が欠けたときは、その予め指定する国務大臣が、臨時に、内閣総理大臣の職務を行う。
・日本国憲法>第六十九条
内閣は、衆議院で不信任の決議案を可決し、又は信任の決議案を否決したときは、十日以内に衆議院が解散されない限り、総辞職をしなければならない。
・日本国憲法>第七十条
内閣総理大臣が欠けたとき、又は衆議院議員総選挙の後に初めて国会の召集があつたときは、内閣は、総辞職をしなければならない。
・日本国憲法>第七十一条
前二条の場合には、内閣は、あらたに内閣総理大臣が任命されるまで引き続きその職務を行ふ。
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