アメリカ合衆国憲法[22] 第2条
第2条[市民権条項、逃亡犯罪人・奴隷の引渡し条項]
[第1項]各々の州の市民は、他州において、その州の市民が享有するすべての特権および免除を等しく享有する権利を有する。
[第2項]いずれかの州において反逆罪、重罪その他の犯罪につき告発された者が、裁判を逃れて他州で発見された場合には、その逃亡した州の執行部の要求があれば、当該犯罪につき裁判権を有する州に移送するために、この者を引き渡さなければならない。
[第3項]1州において、その州の法律によって役務または労務に服する義務のある者は、他州に逃亡しても、その州の法律または規則によってかかる役務または労務から解放されるものではなく、当該役務または労務を提供されるべき当事者からの請求があれば、引き渡されなければならない。
伊野上は続けて桃子に話している。
「それぞれの州の市民というのは、とある州の市民と同じ待遇にしなければならないんだ」
「どういうこと」
桃子が伊野上に聞く。
「例えば、Aという州とBという州があるとするよ。この時に、Aの州民が甲という罪を犯したような場合に、Aでは懲役3年だったのに、Bでは懲役10年を最低刑にするようなことがないようにという意味になるんだ。州ごとに法律が決めれるから、必要な規定だね」
「日本じゃ、都道府県ごとに条例という形で決められるけど、刑については法律で上限が決まっていたのよね」
「そうだったね、地方自治法だったかな」
(作者注:地方自治法第14条第3項『普通地方公共団体は、法令に特別の定めがあるものを除くほか、その条例中に、条例に違反した者に対し、二年以下の懲役若しくは禁錮、百万円以下の罰金、拘留、科料若しくは没収の刑又は五万円以下の過料を科する旨の規定を設けることができる。 』
なお、http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S22/S22HO067.html より抜粋)
「なるほどねー」
「それに、州を越えて犯罪者が逃げたとしても、管轄しているところから要求があれば、そこに引き渡すことになるし、奴隷についてもこの第3項で規定されている通りに、逃げても役務や労務から解放されることはないんだ」
(作者注:奴隷制に関して著名な判決として、ドレッド・スコット対サンフォード事件があります。参照 http://ja.wikipedia.org/wiki/ドレッド・スコット対サンフォード事件)
「なるほどねぇ」
桃子が伊野上を見ながらつぶやいた。
「じゃあ、次行ってみようか。次は、新州および連邦財産条項についてだね」