アメリカ合衆国憲法[19] 第2条
第2条[連邦裁判所の管轄事項]
[第1項]合衆国の司法権はつぎの諸事件に及ぶ。この憲法、合衆国の法律および合衆国の権限にもとづき締結された、または将来締結される条約のもとで発生するコモン・ロー上およびエクイティ上のすべての事件。大使その他の外交使節および領事にかかわるすべての事件。海事法および海事裁判権に関するすべての事件。合衆国が当事者の一方である争訟。2以上の州の間の争訟。
[第2項]大使その他の外交使節および領事にかかわるすべての事件、ならびに州が当事者であるすべての事件については、最高裁判所は、第一審管轄権を有する。前項に掲げたその他の事件については、最高裁判所は、連邦議会の定める例外の場合を除き、連邦議会の定める規則に従い、法律問題および事実問題の双方について上訴管轄権を有する。
[第3項]弾劾事件を除き、すべての犯罪の裁判は、陪審によって行われなければならない。裁判は、当該犯罪がなされた州で行われなければならない。但し、犯罪がいかなる州においてもなされなかったときは、裁判は、連邦議会が法律で定める1または2以上の場所で行われるものとする。
井野上と桃子が、図書館で静かに話している。
「ここでは、連邦裁判所が管轄している事柄について書かれているんだ。これ以外は、すべて州裁判所が管轄するという扱いになるんだ」
井野上が桃子に本を見せながら言った。
「そのあたりは、前やったね。アメリカは、憲法に書かれているもの以外は、全部州に権限があるって話」
「そうそう。それそれ」
井野上は、続けていう。
「日本の裁判所では、すべてが一つの最高裁判所の下に属しているという単一ピラミッドだけど、あめりかでは州と連邦という2つのピラミッド制だから、こうやって決めておかないといけないんだ」
「それで、聞きたいんだけど、コモン・ローとエクイティってなんなの。日本じゃ聞かない名詞だけど」
「まったく別の概念の2つだと思えばいいよ。ここでいうコモン・ローというのは、金銭による損害賠償という意味で、エクイティというのは、差し止め命令や強制執行についての規定だという認識でいいかな」
[作者注:コモン・ロー|(Common law)とエクイティ|(equity)は、それぞれ複数の意味があり、ここでは、私が憲法の条文を抜粋させていただいております駐日アメリカ合衆国大使館 アメリカ合衆国憲法仮日訳内第3章第2条第1項直下注釈を参考としました。
アメリカ大使館合衆国憲法ページ;http://aboutusa.japan.usembassy.gov/j/jusaj-constitution.html
同様に、Wikipediaコモン・ローおよびエクイティのページを参考しました。
コモン・ロー;http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B3%E3%83%A2%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%83%AD%E3%83%BC
エクイティ;http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A8%E3%82%AF%E3%82%A4%E3%83%86%E3%82%A3]
「それで、次は?」
桃子がせかすように井野上に言った。
「国に対する反逆罪についての条文だね」