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比較憲法私的解釈  作者: 尚文産商堂
アメリカ合衆国憲法 前文
2/56

アメリカ合衆国憲法[1] 前文

[作者注:以下のアメリカ合衆国憲法[正式名称;Constitution of the United States]の日本訳は、http://tokyo.usembassy.gov/j/amc/tamcj-071.html[2010年4月1日閲覧]より抜粋します]


・前文

われら合衆国の人民は、より完全な連邦を形成し、正義を樹立し、国内の平穏を保障し、共同の防衛に備え、一般の福祉を増進し、われらとわれらの子孫のうえに自由のもたらす恵沢を確保する目的をもって、アメリカ合衆国のために、この憲法を制定する。


図書館は、わずかなざわめきの中にあった。

桃子はその中で小声で伊野上に聞いた。

「そういえば、アメリカって連邦制だったわね」

「ああ、前文にも書いているように、個々の州が独自の法、軍、警察等をもっていて、それらが集まってアメリカ合衆国が構成されているんだ。これを連邦制というんだけど、日本で話し合われていた道州制も、この連邦制の一つだね」

「アメリカがいつも言っている、"自由のための戦争"というのは、ここから来るのかしらね」

「さあ、ただ、"自由のもたらす恵沢"という文言自体は、日本国憲法の中にも入ってるよ。アメリカの歴史は、解放の歴史とも言われていて、独裁主義や社会主義は"自由ではない"ということだね。それによって、個人主義が発達をしていったんだ。個人で稼ぐことも自由だし、クスリ漬けになるのも自由。ただし、そのことは全て自分の責任だということ」

「それを国レベルで確保をするっていうことね」

桃子は伊野上に話す。

「そういうこと。それらを守る国であるということを、前文で宣言をしているんだ。植民地から独立する際に、"自由"であるということをことさら強調したかったんじゃないかな」

「アメリカの場合はそういうことになるけど、日本の場合は?」

「第2次世界大戦太平洋戦線、日本では大東亜戦争とか太平洋戦争とか言われている戦争で、軍国主義に突っ走った結果、日本はアメリカに対して白旗を上げた。その時の国民は、軍という大きなくくりの中で自由がない状態だったんだ。当時から個人主義だったアメリカは、人種差別云々を横において考えると、そういう状態の国民は不自由である、不自由であることはアメリカの国是に反する、そのような国があれば、我が国の子孫に対して自由の恵沢を守ることができなくなる恐れがある。だとすれば、潰しておく必要があるということかな」

「なんというか、自己中だね……」

「個人主義は、突き詰めれば自己中心的な人のことだからね。国がそれを宣言している以上、国もそうなるんじゃないかな。なにせアメリカは大統領を国民が選ぶことになっているからね」

[作者注:正確には国民が選挙人を選挙し、選挙人による投票で大統領を決定します。詳細は第二条の際に行う予定です]

桃子は、なんとなく納得できていないような顔をしている。

伊野上は続けて言った。

「正確なニュアンスは、正文である英語版で知る必要があるんだ。俺が今しているのは、日本語版で各国の憲法を見て、それを日本国憲法と比べてみるということだから、正確さを期すのは多少仕方がないことだよ」

ムリに納得させようと伊野上は桃子にそう言った。

「じゃ、次に行ってみようか」

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