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比較憲法私的解釈  作者: 尚文産商堂
アメリカ合衆国憲法 第2章「執行部」
18/56

アメリカ合衆国憲法[17] 第3条~第4条

第3条[大統領の義務]

大統領は、随時、連邦議会に対し、連邦の状況に関する情報を提供し、自ら必要かつ適切と考える施策について審議するよう勧告するものとする。大統領は、非常の場合には、両議院またはいずれかの一院を召集することができる。大統領は、閉会の時期に関し両議院の間で意見が一致しないときは、自ら適当と考える時期まで休会させることができる。大統領は、大使その他の外交使節を接受する。大統領は、法律が忠実に執行されることに留意し、かつ、合衆国のすべての官吏を任命する。

第4条[弾劾]

大統領、副大統領および合衆国のすべての文官は、反逆罪、収賄罪その他の重大な罪または軽罪につき弾劾の訴追を受け、有罪の判決を受けたときは、その職を解かれる。



「大統領ができる権利とか権限をこれまで見てきたけど、ここでは、義務や弾劾についての話になるんだ」

伊野上が桃子に言っている。

「弾劾って?」

「簡単に言えば、弾劾裁判所っていうとこで罷免させることだね。大統領だけじゃなくて、アメリカ合衆国のあらゆる文官の公務員は、弾劾の訴追を受けて、有罪が確定すると、その職を罷免されるんだ」

「あれ、日本にも弾劾裁判所ってあったよね。確か、国会に臨時であったような……」

桃子が伊野上に言った。

「そうそう。裁判官に対する弾劾裁判所のことだね。これは、国会議員によって構成される裁判官訴追委員会によって訴追を行うとされた人に対して、臨時で設置される裁判所のことなんだ。ちなみに、人事官に対しても弾劾裁判がおこなわれることはあるけど、こっちは最高裁判所で行われることになっているんだ」

[作者注:裁判官弾劾裁判所とは、日本国憲法第64条第1項「国会は、罷免の訴追を受けた裁判官を裁判するため、両議院の議員で組織する弾劾裁判所を設ける」という規定に基づいて、また同条第2項「弾劾に関する事項は、法律でこれを定める」という規定によって設けられた裁判官弾劾法によって設置される特別な裁判所のことです。

人事官弾劾裁判所は、人事官弾劾訴追に関する法律によって、国会による議決によって、衆議院議長が国会を代表し、最高裁判所大法廷が裁判を行う、特別な裁判所のことです。

一般的に弾劾裁判所と呼ばれるのは、前述した裁判官弾劾裁判所のことを指します。]

桃子が、伊野上に再び聞く。

「順序逆になっちゃってるけども、第3条のほうの、非常時における議会召集って、参議院の緊急集会と同じなのかな」

「日本の参議院緊急集会は、衆議院が解散している間の緊急事態に対処するための特別措置だからね。そういうことではあまり変わらないのかもよ」

「外交使節を接受するっていうのは、簡単に言えば、外交使節を受け入れるっていうことだよね」

「そうだね。アメリカでは大統領が国家元首としてこれを行うことになっているけど、日本では天皇が行うという規定になっているんだ。いわゆる国事行為だね」

「あれ、でも議会に対しては、施策の勧告しかできないんだね。なんだか面倒」

桃子が伊野上にいう。

「一般教書演説というのを、桃子は多分聞いたことあるだろ?あれが代表的なんだけど、あーいった感じの教書という形で議会に対して、大統領側の意見を通達することができるんだ。日本でいうとこの施政方針演説にあたるものだね。それに、議会が可決した法律案を一度は拒否できるしね」

「あれだ、三権分立が厳密に守られているっていうことでいいのかな」

「そうだね。議会は大統領に干渉しないし、大統領は議会に干渉しない。もちろん、司法に対してもね」

「そうなんだ」

「じゃあ、そろそろ次に行くね。次は、司法部について」

伊野上が桃子に言った。

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