アメリカ合衆国憲法[15] 第1条後半:第5項―第8項
[第5項]出生により合衆国市民である者、または、この憲法の成立時に合衆国市民である者でなければ、大統領の職に就くことはできない。年齢満35歳に達していない者、および合衆国内に住所を得て14年を経過していない者は、大統領の職に就くことはできない。
[第6項]大統領が罷免され、死亡し、辞職し、またはその職権および義務を遂行する能力を失ったときは、副大統領が、大統領の職務を行う。連邦議会は、大統領と副大統領がともに罷免され、死亡し、辞職し、または執務不能に陥った場合について、法律により、いかなる官吏に大統領の職務を行わせるかを定めることができる。この官吏は、執務不能の状態が解消される時または大統領が選出される時まで、大統領の職務を行う。
[第7項]大統領は、その職務に対して定期に報酬を受ける。報酬額は、その任期中増額または減額されない。大統領は、その任期中、合衆国または州から他のいかなる報酬も受けてはならない。
[第8項]大統領は、その職務遂行に先立ち、つぎのような宣誓または宣誓に代る確約をしなければならない。「私は、合衆国大統領の職務を忠実に執行し、全力を尽して合衆国憲法を維持し、保護し、擁護することを厳粛に誓います (確約します)。」
「大統領というのは、生まれたのがアメリカであること、もしくは憲法成立時にアメリカ市民である者で、35歳以上、アメリカにすみ始めて14年以上であることが必要となるんだ。ここでは市民と憲法通りに言っているけど、国民と同意だよ」
「へー」
伊野上は桃子にゆっくりと言っていた。
「日本には、こういった規定はないよね」
「首相が国会議員から選ばれるということは、国会議員の制限が首相の制限だと考えることができるね。ということは、日本国43条による「全国民を代表する選挙された議員」の選任基準ということだね。基本的には、男女25歳以上で衆議院議員の被選挙権、30歳以上で参議院議員の被選挙権が発生するんだ。この年齢以上になると、立候補することが可能になるんだ。他の条件としては、供託金という、立候補の為に国へ支払うお金があるっていうことだね」
[作者注:供託金については、衆議院議員、参議院議員両方とも小選挙区で300万円、比例代表で600万円となっています。なお、立候補時に法務局へ届け出、一定の得票率で返還されます。基準得票率に達しない場合は、供託金は没収されます。]
「いろいろと大変なんだね…」
「そうだね。他にも、職務宣誓が必要だという点が、日本とは違うね」
「聖書に手を当てて、片手あげてやってるあれね」
「そうだよ。あれをすることによって、初めて大統領に就任することができるんだ」
そして、伊野上は次のページをめくる。
「次は、大統領の権限についてだね」