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私はテオンハルトがいる宮までフィーを連れて急いだ。

テオちゃん、テオちゃんっと。

ルンルン気分でテオンハルトを探していると・・・ピコン!またしても私のセンサーが反応した。

ブン!

センサーが反応した方を思いっきり振り向くと、綺麗な色とりどりのお花が咲いている庭に、赤い髪の毛をした、小さな男の子らしき子供のしゃがみ込んで小さく丸まった背中を見つけた。

幸か不幸か植物に隠れて顔までは確認できない。


だけど私には分かるわぁ~、そうよぉ~。王家に伝わるあの、燃えるような赤い髪になんといってもあの愛らしい小さな丸まったフォルム。絶対テオちゃんに決まってるわ~。


私はテオちゃんを驚かそうと抜き足差し足で近づいた。

あと一歩踏み込めばテオちゃんに近づけるってところで、私は大きく体をテオちゃんの方に傾け、花が咲くような笑顔で声をかけた。

「テオたんみーつけた。」

「う、うわぁぁぁ。」

事もあろうか、テオちゃんは恐怖に顔を滲ませながら尻もちをついてしまった。

とても大きなクリクリのお目目をこれでもかと開ききり、私を凝視している。

「あ、姉上?」

「そうよぉ~。驚かせてごめんなさい、テオちゃんへのサプライズのつもりだったの。それが、ホラーになっちゃったかしら。」

私はテオちゃんに右手を差し伸べた。嫌われていたはずの姉から手を差し伸べられた事に一瞬の戸惑いを見せたが、テオちゃんは、素直に私の手を取った。


「急にどうしたのですか?姉上。」

「何って?今日はテオちゃんと遊ぼうかと思って。」

私は茶目っ気たっぷりに首を横に傾ける。

「あのクソ男のせいで、私達の関係は冷え切ってしまったでしょ?今日はそれを解かして、姉弟の親睦を深めようってわけ。」

私は今度は反対側に首を傾けた。ゴキッってなんか変な音がしたけど、気にしないわぁ~。

「僕も、姉上と仲良くなれるなら・・・嬉しいです。」

体の前で両手をもじもじさせるテオちゃん。

なんてかわいいのぉ~。そのぷにぷにした柔肌お肌をスリスリしたいわぁ~。

「じゃあ、決まりね!」

私達は手を繋いでルンルンしながらテオちゃんのお部屋に向かった。


私達はこれまでの距離を埋めるかのように沢山お話しした。

テオちゃんが今勉強している事、興味がある事、努力している事。特にあの舞踏会以来、メイク一つで私の印象がガラッと変わってしまった事をきっかけに、見た目が人に与える影響についてとても興味があるのだとか。


さすが私の弟ね!とらえている所が深いわぁ~。

特に笑顔はね、大事なのよぉ~。全てのプラスのエネルギーを取り込むことが出来るんだからぁ~。


私達は色んな事を話せてとても有意義な時間を過ごす事が出来た。


テオちゃんの楽しそうな笑顔を眺めていると、ピコン!また新たな私のセンサーが鳴った。

そぅ!ヴィオレッタちゃんは、孤児院を管理していた。

これじゃない~?まず私がしなければいけない事って。

善は急げって言うでしょ~?早速孤児院に行ってみましょう!


孤児院に向かおうとテオちゃんにお別れを告げて部屋から出ようとしたら、テオちゃんが私を引き止めてきた。

「待って!姉上!!」

小さな手が、私のドレスの裾をキュッと握っている。


あらやだ可愛いわぁ~。連れて帰っちゃうぞ。


「テオちゃんどうしたの?」

「そ、その・・・急に行くのは向こうにも失礼に当たるかと・・・そ、その、向こうも姉上を迎い入れる準備などがあるでしょうし・・・。」

しどろもどろになりながら私の過ちを正そうと必死に説明してくれるテオちゃん。優秀だわぁ~。本当に八歳かしら~。


「教えてくれてありがとう。一週間後に行くことにするわ。」

私はテオちゃんの頭を撫でた。

「はい!それがいいと思います!その時は、僕もご一緒してもいいですか?」

「ええ、もちろんいいわよ。」

私は、楽しみで仕方ないって言うように目をキラキラ輝かせているテオちゃんに微笑んでみせた。


ピタッ。

一瞬テオちゃんの表情が固まった。

不思議に思って声をかけようとしたところで、部屋の外から争うような女の声が聞えた。


あらなに、修羅場があたいをお呼び~。


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