夜の夢
本当に
これは現実なのかしら
アリストテレスが
あたしを
抱き締めてくれている
『本当に、
あたしでいいの?
あたしは、
亡くなった奥さんには
なれないから…』
でも
アリストテレスは
静かにあたしを見た
『僕が好きなのは
君だから』
って…
『僕には子供がいる
それでも
君への想いは
我慢できない』
アリストテレスの
言葉に
あたしは泣いた
この
ガラスの都会で
あたしを
想ってくれる
人がいたことに
あたしが零した涙を
アリストテレスが拭う
幸せに
身を任せて
あたし達は
夜の闇に溶け込んだ…
今夜は家には
帰らない
ずっと
アリストテレスの
温もりを離さない
遊園地の近くの
お洒落なホテルに入って
あたし達は
温もりを伝えあった
アリストテレスは
真剣な顔で
甘い優しい眼差しで
あたしをふんわり
抱き締める
彼のまごころを知って
あたしは
涙がとまらなかった
あなたが去ってから
淋しくて
たまらなかったから
彼の気持ちに
本当に
感謝した
彼と一つになった瞬間
あたしの中から
あなたは消えた
あたしに見えているのは
アリストテレスの
優しい瞳
ただそれだけ
夜の闇は
あたたかくて
夢みたいに
過ぎてゆく…。




