表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/9

予感

 今夜は雪だ、と

 ブラウン管の向こうで

 見知らぬひとが告げた


 

 カーテンを開けてみると 既にそこには灰色の空


 泣き出しそうな風の震え


 微かな電線の揺れ



 それは

 雪が降る前の

 ざわめき…。




 窓ガラス越しの眼下

 街に人は溢れて

 だけど皆無口で

 襟を立てたまま

 通り過ぎてゆく

 足音すら立てずに…。



 

 

 あなたが居ないのに

 どうしたら

 雪を迎えられるの?


 こんな寂しい場所で…





 あなたがいなくなって

 もう季節が一巡りした




 今ごろ誰と居ますか


 雪のニュースに

 子供みたいにはしゃいでますか


 

 このコンクリートの街で

 まだ暮らしてますか





 …「友達になろう」って言ったのに



 何の連絡もくれないから きっと

 あれは嘘だったんだね

 優しい嘘



 だけどね

 嘘なんか要らないよ

 キッパリけじめはつけたかったの





 まだ信じてるよ

 あなたが友達だって

 恋人には戻れなくても

 友達だって

 


 だからバルコニーの

 あなたが植えた

 パセリの苗にも

 水をやって

 プランターも替えて

 待っているの

 また笑いあえる日を…。



 ───今夜は雪だ、と

 ブラウン管の向こうで

 見知らぬひとが告げた




 雪はまだ

 空にぶらさがっていて

 今にも泣きだしそうに

 あたしを見てる…。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ