Rhapsody in blue for love with you ~君と奏でる愛のための憂鬱な狂想曲~ 7曲目
書いていて
愛のままにわがままに僕は君だけを傷つけない
という歌を思い出しました
なんだかそんなイメージです。
いつの間にか昼代わりのバスケットまで付けられるようになり、執務室の一角でルーシェと食すのが日課になった。
物心付いた時から独りで食事をしていたアルフラインに取って、他愛の無い会話をしながら過ごす時間はかけがえのない大切なひと時になった。
一緒の時を過ごす程、彼女に惹かれていく。
ルーシェは服装には無頓着なようだった。ある物をそのまま着ている。
唯一、首のチョーカーだけは常に身に着けていた。
サイフォスが男物だと話していた装飾品で、もしかしたら過去の男に貰ったものかと考えると面白くなかった。
(俺が贈ってもつけてくれるかな?)
誰かに進んで贈り物などした覚えのないのに、随分な変わりようで。そんな風に考える自分が可笑しかった。
ルーシェだけが特別で。
毒でも盛っていたらどうするのかと訊かれても。
君が助けた命だから、君に殺されるなら本望だった。
現実感のなさに笑ってしまったけど、道具ではないと怒ってくれたのは、君だけなんだよ。
君だけが。
君がいてくれれば。
薄汚れた世界を洗いながすように優しい雨が降る。
離れたくない。離したくない。ずっと共にいて欲しい。
狂おしいほどに君だけを求めてしまう。
この気持ちを何と言うのだろう。
「もうすぐ紋章が仕上がるみたいだから、それはちゃんと、身につけて欲しいな」
答えが解らないままに、離れられないように外堀だけを埋めていく。
装飾品や贅沢に興味を示してはくれないなら。
専属のメイドにして。
妃に迎えて。
立場で縛れるなら幾らでも。
手段を選んではいられないくらいに、乾いた心は何かに飢えていた。




