その虹のような恋に誓って
キリスト教徒ではないですが、この宣誓は好きでほぼまんま使っています。
死がふたりを分かつまで
っていうのはアルフラインにぴったし来るなぁと思います
メザホルンに1棟のみ建つ、厳かな教会でルーシェの洗礼は行われた。
領主が迎えた妃を観ようと、沿道には多くの人が詰め掛けているが、教会内はあくまでも静粛な空気が漂っていた。
純白の百合が品位を保って並べられ、塵1つないスタンドグラスから陽光が差し込む。
百合に負けないくらい純白のドレスを纏った、当日の主役が醸し出す雰囲気は静粛というよりは清凉に澄み切っていた。
「ルーシェ・カユン・ルギナス。汝 健やかなる時も 病める時も 富める時も 貧しき時も 悲しみ深い時も 喜びに充ちた時も 妃として王子アルフライン・ハーク・ルギナスを愛し 敬う事を誓いますか?」
斎主の祈りに頭を垂れて静かに口を開く。
「……誓います」
「では、死が二人を分かつまで、五つの精霊の加護があらんことを。新しき生を迎えた二人に祝福のあらんことを。ここに洗礼の記しを」
隣に立つアルフラインが、幾重にも重ねられたベールをあげると藍色の髪と水色の瞳をしたルーシェが微笑む。
アルフラインも同じように微笑み返して、ゆっくりと唇が落とされる。
彼は右耳に涙型の宝石を付け、髪が耳にかかる左にはそれより小さい水色のピアスをしていた。シルバーブロンズの髪と共に光を弾き神秘的に輝いている。
夫婦の証として、両対の紋章の下にアルフラインの瞳の色と同じ琥珀で出来た月型のチャームが付けられ洗礼が済まされた。
沿道に出ると喧噪と共に祝福の声に包まれた。
屋根のない馬車に乗って手を振っていると、浮かんだ雲の間から光と共に雨が降ってくる。
「狐の嫁入りだね。珍しい」
「雨が光を弾いて綺麗ですね。空が贈り物をしてくれているみたい……」
パラパラと疎らな水滴も二人を祝福しているかのようだった。
「雨にまで好かれるなんて。俺の妃は素晴らし過ぎて逆に心配になるなぁ。何にも出来なくてもいいのに……そしたらもっと頼ってくれるでしょう?」
「アルフライン様ったら…………もう……いっぱい頼ってますよ? どこまで甘やす気ですか?」
すぐにあがった雨は更に贈り物を追加して、空に虹をかける。
「ん~? それは……どこまでも。ルーシェ、愛している」
「私も愛しています。アルフライン様」
虹は現在進行形で進んでいるルーシェの恋のように、突き抜ける空を繋いで、透き通る海まで続いていた。
まずは、ここまでお読み頂いてありがとうごさいました。
掛け値なしに今まで書いた小説で一番書いていて楽しかったです。
今の自分の推しと、過去から好きなネタを書いているからでしょうか。
作者もドキドキしながら書いていたので、読んでくださった皆様にも何か感じて貰えるところがあれば嬉しいです。
厳しいお言葉でも暖かい言葉でも感想を残して貰えれば、更に喜びます。
1章完結しましたが、ルーシェの育ての父や、産みの父、シンダルム王家の話なんかも書きたいと思っているのでまだ続きます。
番外編と1章の見直しをしたら2章に。
書く時間がもっと欲しい。遂に最後は仕事休んで書いてしまった。
今日は仕事だー! 明日も仕事……だ!




