第三話
テンテンとミミミは子ウサギの兄妹。
優しいお母さんと一緒に元気いっぱい暮らしています。
ある日、二人はハラハラドキドキな冒険にでかけます!
世知辛い世の中なので、とにかく優しい世界を表現したいと思いました。
読んだ方が暖かい気もちになってくれたら幸いです。
冬童話2022に応募しました!
「ああ、目を覚ましてくれたのね!坊やたち!」
お母さんの顔、今にも泣きだしそうです。
「ど、どんなに心配したことか!」
「ぼ、ボクたち・・どうなっちゃったの?」
テンテンがおそるおそるたずねます。
「谷まで行っちゃったんでしょ?」
お母さんが急にこわい顔でにらみます。
「そうだった・・」
テンテンは反省します。
「ごめんなさい・・」
ミミミは泣きだしてしまいました。
妹が泣きじゃくるのを見て、テンテンの目にも涙があふれてきます。
「運がよかったのね」
お母さんがしんみりと話します。
「うん?」
テンテンが涙をぬぐいながらたずねました。
「たまたまってコト」
お母さんは答えます。
そっと二人の涙をぬぐいました。
「えへへ」
テンテンとミミミの顔がほころんできました。
安心したとたん、ミミミはなんだか不思議な気がしてきました。
「でも・・どうやっておうちに帰ったんだろう?」
お母さんはそんなミミミの顔をジッと見ています。
そして口を開きました。
「おっきな白いお友だちよ」
「白いおともだち?」
テンテンが聞きかえしました。
「オオカミさんだっ!」
ミミミが大声をだしました。
「オオカミさんが連れてきてくれたの?」
テンテンもビックリしています。
笑いたいような泣きたいような──お母さんは不思議そうな顔をしていました。
「ほんとに運が良かっただけなんだから・・」
お母さんはまじめな顔で二人を見ました。
「約束してね・・危ないところには行かない、お母さんの言いつけを守る──オオカミさんがいつも優しいとは限らないんだから」
「うんっ!」
兄妹は元気いっぱいでお返事しました。
その夜、テンテンとミミミはお母さんのおなかにくっついて寝ました。
あったかくて、干し草の匂いのするお母さんのおなかの温もり──二人は大好きです。
「いつまでも甘えん坊さんたちなんだから」
お母さんの優しい声が巣穴にひびきます。
冒険をいっぱいした二人は疲れて夢心地です。
ウトウトしながらテンテンは思いました。
もしかしたら──あのお空にあらわれた光の線の正体はオオカミさんだったのかも──。
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