【フリーシナリオ】ずっと友達だと思っていた同居相手が彼女になった日。
(玄関の扉が開く音)
あぁ、おかえりなさい。
そう言えば帰ってくるの今日だったね。一年間の海外出張お疲れ様。
えっ? 僕が誰かって?
何言ってるのさ。僕だよ、僕。君の友達の真琴だよ。
高校を卒業してからずっとルームシェアを続けてきた仲じゃないか。忘れてしまったのかい?
まぁ、確かに君がいない一年間のでだいぶ髪も伸ばしたし、胸も大きくしたからずいぶんと女性らしくなったでしょ?
本当に女の子っぽくて可愛かったからびっくりした。
本当? そっか、そう言ってもらえて嬉しいよ。君に褒めてもらいたくって僕頑張ったんだ。
あっ、ごめんね。久しぶりに君に会えたことが嬉しくて、君は海外出張から帰ってきたばっかりで疲れているのに立ち話させちゃったね。
荷物は僕が預かるから君は着替えて来なよ。
(着替えをする時間)
じゃあ改めてお帰りなさい。海外出張疲れたでしょ?
? どうしたの? 変な顔してるけど何か仕事で嫌なことでもあった?
そうじゃない? 僕の変化に戸惑ってる?
そっか、そうだよね。急に変わったら君も戸惑うよね。
違っ! これは別にドッキリとかそういうのじゃないんだ。
ただ、僕は昔から自分の姿が好きじゃなくて、小さい頃からコツコツお金を貯めていつか自分を変えようと思ったんだ。
それで、君が出張に行ってる間にお金が貯まったから手術したんだ。君に相談も連絡もできなくて驚かせてしまったのは悪いと思ってる。本当にごめんなさい。
実は小さい頃、僕の両親にコンプレックスを相談したんだ。そしたら凄く反対されて……
「お前は親からもらった身体に傷をつけるのかっ?」
って、だから、誰にも相談できなかった。
本当はね。本当は僕がやってることは、本当はいけない事なんじゃないかって思ったりもしたんだ。だけど、高校の時に君は僕に言ってくれたでしょ?
「誰になんと言われようと自分が好きなことを否定したらいけない」
って、君がそう言ってくれなかったら僕はきっと本音を押し殺して変わることを諦めてたと思う。
あの日の君の言葉がなかったら僕は、僕が嫌いな、受け入れたくない自分のままで一生を過ごしてたと思うんだ。
だから、君にはすごく感謝してる。高校を卒業するときに一緒にルームシェアしないかって誘われたときは心臓が止まりそうなくらい嬉しかったんだよ。
俺はそんなこと言ったか。って?
覚えてないのかい?
ほら、僕って高校の頃イジメられてたでしょ? 僕は料理や手芸が好きでそれをらしくないってクラスメイトたちがからかってきてその度にいつも君が庇ってくれた。
僕は僕の好きなことをやっているだけなのにそれを周りが否定して、そんな時に君が僕を励ますようにそう言ってくれたんだ。
それがすっごく嬉しかった。
本当はねあんな高校行きたくなかったんだ。でも、両親があの高校に行けって言って僕の意見には全く耳を傾けてくれなかった。
両親やクラスメイトたちが僕のことをバカにしてくる中で、唯一君だけが僕をバカにしなかった。僕のことを受け入れてくれた。
僕を庇ったせいで君は高校の三年間僕以外の友達が出来なかったのに、それなのに最後まで僕を見捨てなかった。
僕ね。お金を貯めて変わることが出来たらずっと伝えようと思ってたんだ。
君のことが好きですって。
僕はね。僕は君に助けられたあの時から君のことがずっと大好きだったんだよ。
でも、今のままだったら絶対に受け入れられないって分かってたから、僕は変わることにしたんだ。
だけど、君は僕のことを可愛いって言ってくれたからちゃんと変わることはできたんじゃないかな?
それで、どうかな?
何が、って。はぐらかさないでちゃんと答えて欲しいかな。確かに、急に告白されてびっくりするのは分かるよ。でも、そこで分かっているのに分からないふりをするのはよくないよ。
ちゃんと……。ちゃんとはぐらかさないで君の気持ちを聞かせて欲しいな。
俺たちは……何?
俺たちが通ってた学校は男子校だぞって?
知ってるよそんなの。だって僕もその学校に通ってたんだから。
えっ、うん。そうだよ。
胸だけじゃなくて――その……今は完全に女の子の体になってるよ。
見たい? 君にだったら見せてあげてもいいけど……。
あぁ、でもその前に僕の告白の返事を聞かせてもらいたいかな。
ねぇ、聞かせて、君の気持ちを……。
《お願い》動画サイトなどでシチュエーションボイスを投稿している活動者の方へ、シナリオを使用する際は出来るだけ連絡ください。