第一話
〜♪♪
「はい、今日はここまで。絆ちゃん、上手になったじゃない! これなら、発表会、どんな曲でも大丈夫ね!! ってことで、発表会の曲、決めておいてね。じゃあ、また今度」
「はーい!!!」
やった! 先生にほめられちゃったよ〜!超頑張って練習したかいがあった・・・!!
あ、そんなことより!!
早く発表会の曲、決めちゃわないとね。
さてと、自主練習室でも行こうかな〜?
あ、自主練習室っていうのは、狭い部屋にピアノとエレクトーンがひとつずつ置いてある部屋のことで、だれでも自由に使える部屋のこと。
そこに行けば、楽譜がけっこういっぱいあるから、曲を決めるには最適の場所なんだ。
そして私は、自主練習室へ向かった。
〜♪
あれ?
私は足をとめた。
自主練習室のほうから、音がする・・・・・。
めっずらしいなあ。めったに使う人、いないのに・・・。
自主練習室の前までいくと、やっぱり、人がいた。
どうしよう。いきなり入って行くのは、失礼だし・・・。
仕方がないから私は、そばにあったイスに腰かけた。
〜♪♪
・・・よく聞いてみると、すっごくキレイな曲だなぁ・・・。
これはピアノの音だけど、エレクトーンでも弾けたらいいな・・・。
でも、弾いている人も上手だな。なんか優しい感じがする。
って、感心している場合じゃないよ。どうしよう。静かに入っちゃおうかな・・・。
・・・カチャ。
・・・!
私はちょっとだけビックリした。ピアノを弾いていたのは、男子だったからだ。
別に、男子がピアノを習っているのは全然めずらしくないけど、弾き方とかからして、優しい感じだから、なんとなく女の子かなぁ? って思ってたから、意表をつかれた。
何はともあれ、私はエレクトーンのそばに、持っていたカバンを置いて、楽譜のある棚へと歩いた。