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1-1 空想と現実

―― 空想と現実は交わらない ――



【ファイア】と唱えて炎を出せる人間はいるだろうか?

【サンダー】と唱えて雷を・・・・

【ヒール】と唱えて・・・・



 いわゆる-魔法-というものが存在したとして、【ファイア】が炎を生み出す呪文なのかは分からない。【フレイム】かもしれないし、【ブレイズ】かもしれない。少なくとも、詠唱だけで炎を生み出すことはできない。



 そういった事が可能なのは空想の世界。



 現実の世界では魔法なんてものは存在しないし、物理法則以上のことはできない。

 火が欲しければマッチやライターで充分だし、傷を治したければ医薬品で大体は事足りる。今後科学が進歩することで、さらに多くのことが可能になっていくだろうけれど、それはきっと魔法ではない。




 それが現実。




・・・・・・・と、思っていた。




――――――――――――――――――――――――


「・・・よし、インストール完了っと。」


 高校最後の春休みの日を、中崎 久太 (18)はベッドの上でダラダラと過ごしていた。もともとアウトドア系ではなく、おまけに今日は雨。当然、外出という選択肢はなく、久太は部屋で英気を養う(グータラする)ことに決めていた。



「にしても、暇だなぁ・・・。空から女の子降ってきたりしないかなぁ・・・。」


 昨晩夜更かしをして正午くらいまで睡眠、起きた後にお菓子を食べながらゴロゴロ・・・。具体的には、進学と卒業のお祝いに買ってもらった新しいスマホで延々ネットサーフィンをしていた。が、それもいい加減飽きてきた。そこで久太は気分転換にスマホで新規ゲームを探していた。



 久太はゲームが大好きだ。好きなジャンルはRPGで、気に入ったゲームにのめり込むタイプだ。それなりにゲームを楽しむタイプだった高校時代の友人からは、ゲーム(だけは)強い、という意味でつけられたあだ名が「ツヨシ」。全くもって失礼な。真のツヨシは全国に数多いるというのに・・・。



 久太は現在やり込んでいるゲームはなかった。あったらそもそもネットサーフィンはしていない。自堕落な生活であることは変わりはないが・・・。


 そんな久太だったが、あるRPGカテゴリのゲームが目にとまった。




―― 現実コネクション ――




 ゲームにはこんな感じの簡単な紹介があった。


『魔法を駆使して世界の謎を追い求めろ!!! リリース記念、現実コネクトイベント実施中』



「ふーん、リリースしたばかりのゲームか。こんなゲームの前情報なんかあったっけ?」


 リリース予定のゲームは時々チェックしていたが、このゲームが今日リリースということを久太は全く知らなかった。



「ま、毎日チェックしてるわけでもないし。まぁいっか。」


 久太も全ての新作ゲーム情報を把握しているわけではない。そのため、深く気にせず久太は現実コネクションをインストールしてみることにした。


 なんだかんだ新作ゲームというだけで興味はわいてくる。

久太は現実コネクションをインストールしてゲームを始めた。



――――――――――――――――――――――――



「酷すぎ・・・」


 久太は呆れていた。

 インストールは終わっているのにタイトル画面まで2分、やっと出てきたタイトルは一部文字化けしている上、音が出ていない。昨今のゲームには、いや、10年前のゲームですらそんなことあるのか怪しい。



 漂うクソゲー臭に、即刻アンインストールしてもよかったが、貴重なゲームな気もしたので期待半減ながらもゲームを続けていた。


 意外なことに、その後は特にバグめいた箇所はなく、久太はゲームの舞台となる世界観の説明テロップを眺めていた。そして、舞台説明が終わったところで、ゲーム利用上の注意・説明とユーザー名の入力画面が表示された。




「いつも思うけど、こんな注意事項をいちいち読んでるヤツいるのか・・・、ん?」


 久太は利用規約やら説明文は読まない主義だ。が、最初の数行くらいは嫌でも目に入る。そこには少し変わった内容が書かれていた。




―ご利用上の注意・説明―


・本ゲームに起因して利用者の方に如何なる問題が生じても開発元は一切の責任を負いません。

・睡眠をちゃんととりましょう。




「しっかり睡眠をとりましょうって、ゲームに熱中しすぎるなという意味か?そんなこと以前にまずはデバックをちゃんとだな・・・」


 ぶつぶつ文句を言いながらも、深く気にせず先に進める。すると、また変わった内容が表示された。




 本 当 に 構 い ま せ ん か ?

 二 度 と 変 更 す る こ と が で き ま せ ん。

 ・ は い       ・ い い え




「しつこい、もういいって。」


 落ち着いて考えると、怪しく見える念押し。しかし、いい加減早くゲームを始めたかった久太は、何も考えずに「はい」を選択した。



 その瞬間、スマホの画面が真っ黒になった。

 正確には、久太の意識は現実から離れていた。


お読みいただきありがとうございます。

今日はローファンタジー、明日はハイファンタジーという世界観の小説です。

Next→空想の世界

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