テストと単位と友情と

　いや～、テスト勉強した？全然してないわ～。そういう人ほどちゃんとやってるよね～。

学生なら一度はしたことがあるであろう会話が繰り広げられている。この時期はテストや課題としてのレポートが重なり学生にはかなりつらい時期である。・・・というのは教員もまた同じである。問題作成やどのようなレポートを求めるのか、自らの研究やその他仕事と同時並行で成績付けをするのはなかなかに大変なものだ。テストの時はいつも以上に学内がにぎやかになるような気はする。この時だけくればいいだろうという考えの持ち主は少なくない。もちろん毎回出席して話を聞きつつメモを取る子もいるのだが。私が持つ授業にもテストだけくればいいという学生はいる。私はそのあたりをうるさく言わないので学生からしたら楽と思われているだろう。資料も講義後ネットにあげているからだとは思うが、本心は楽と思われたいからではない。その本心を明かしてしまっては面白くないのでここでは伏せておくことにする。テストと同じくらいに悩まされるのは単位だ。これが足りなければいくら人格者であろうと進級・卒業は難しい。あと何単位必要

だから・・・と考えながら相談している姿はよく見かける。教員からすればまぁ大変だろうが頑張ってくれとしか言えないのでどうすることもできない問題だ。

　「今日のテストどうだったよ？」ファミレスで学生三人がテストお疲れ様会を開催していた。「まあまあかけたよ。持ち込み可だったのは助かったわ。」仲良し三人は単位が取れるかどうかのギリギリで一人じゃ勉強しないからとここに集まった。「テストはもちろん大事だし、単位も欲しいけどさ友情も大事よね。」一人がぼそっと二人に言った。「うまいこと言うね。」と二人は笑いながら返した。三つ全部追っかけるのは欲張りかな？なんて楽しそうに笑う三人。ひとしきり話した後、三人はそのうちの一人の家へ勉強会をしに行った。

テストも単位も友情も全部追いかけられるのは大変だがきっと楽しいだろう。学生だからこそできることをたくさんしなさいといつもいう先生がいる。そんなん言われても時間だなんだと足りないと思っていたが、それでは後々後悔するのかなとも思えてきた。勉強会へ向かう途中一人はそんなことを考えていた。

　学生としての大変さと楽しさを一度に体感しているところに私は居合わせていた。偶然ではあるが聞こえてきた会話は楽しさと青春が詰まっていたように感じる。成績は大事だがなによりもその時にしか体感できない気持ちを味わえるかが大事なのではと一人考えた。

　テストと単位と友情と。さて、三人は無事に全部を追いかけられたのだろうか？数十年経った今でもふと気になることである。