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刻んで書く

作者:

BWV 826 - Partita No.2

を 聴きながら


**


今までの書き方が無理になって、試行錯誤するうちに、刻んで書くという手法を見つけ出していっているかもしれない。今はまだ途中だけれど、刻む。これ面白いです。文と文の間に、スタッカートが、刻むように挟まれる感覚。文章には、どのようなものであっても、リズムがあり、空気感がある。気づけないうちはその空気感を掴むことは出来ないが、つかめたように思えたころには、そのリズムや空気感に取りつかれたようになり、ずっとそのような空気感とリズムでしか文章を綴れなくなる。自覚したままそれを行うことが出来るならそういったこともないだろうに。難しいです。どうしたら、美しい文章を描けるようになるのだろう。空気感。私には未だに掴みきれないそれ。そのように書けたら気持ちよいだろうな、と思えてしまう空気感のある文章たち。右足と左足が交互に出てしまっているようにそれらは美しくぼくを惹きつけてうっとりさせてやまない。……そういえば、今までこのような書き方になりたいと強く思える文章の空気感に出会ったことはなかった。だから、文章を真似したこともない。ぼくは、まだまだ沈めていない。沈めていなかったのだ。否、おぼれていなかったのだ。ぼくは、おぼれていない。


泡のようになりたい。泡のようになりたかった。クラムボンはどのような生き物だろうか、ぼくはそういったものを夢想しよう。いつかそれにおぼれてしまうように。おぼれてしまいたい。










【改稿】



今までの書き方が無理になって、試行錯誤するうちに、刻んで書くという手法を見つけ出していっているかもしれない。今はまだ途中だけれど、刻む。これ面白いです。文と文の間に、スタッカートが、刻むように挟まれる感覚。文章には、どのようなものであっても、リズムがあり、空気感がある。気づけないうちはその空気感を掴むことは出来ないが、つかめたように思えたころには、そのリズムや空気感に取りつかれたようになり、ずっとそのような空気感とリズムでしか文章を綴れなくなる。自覚したままそれを行うことが出来るならそういったこともないだろうに。難しいです。どうしたら、美しい文章を描けるようになるのだろう。空気感。私には未だに掴みきれないそれ。そのように書けたら気持ちよいだろうな、と思えてしまう空気感のある文章たち。右足と左足が交互に出てしまっているようにそれらは美しくぼくを惹きつけてうっとりさせてやまない。……そういえば、今までこのような書き方になりたいと強く思える文章の空気感に出会ったことはなかった。だから、文章を真似したこともない。ぼくは、まだまだ沈めていない。沈めていなかったのだ。否、おぼれていなかったのだ。ぼくは、おぼれていない。


泡のようになりたい。泡のようになりたかった。クラムボンはどのような生き物だろうか、ぼくはそういったものを夢想しよう。いつかそれにおぼれてしまうように。おぼれてしまいたい。



□歪んだものなど、そうした危ういものなど、維持し続ける意味があるだろうか、無い。歪んで維持されているものなど、維持し続ける必要性は、無い。

あそこに多く咲き誇っている白百合の花。あの白百合の花に纏わり付くように微睡むようにきゃっきゃっと跳ね回る子供たち。時計は、止まったりはしない。子供たちも白百合も、今のまま立ち止まったりしない。左右されないで、左右されないで、この手の平に掴み取れる分だけで。その分だけで良いのです。真摯に向き合って、生きることに精一杯絶望しても、精一杯まっさらで、真っ白な白百合の花を掴み取るように、何度でもやり直せるよ。やり直せる。まっさらで真摯に向き合う気持ちを忘れなければ。絶望したあなたを迎えにいこう。迎えにいこう、きゃっきゃっとまっさらで真っ白な白百合の花に群がる子供たちが、ないたら駄目よ、とあなたに叫ぶね、迎えにいこう。迎えにいくよ。あなたの初めのまっさらで真っ白な気持ちを。まだそこに残されてるのだから。だから、ありがとう□



 ぷわぷわぷわ。おぼれてしまいたい。ぼく。ぼくは。


あの切れ端を、あの、檸檬の切れ端をソーダ水に差し込む。ぶわぶわした泡におぼれる。



  スタッカートスタッカート。靴音だけでそこかしこに跡をつけてならす。




 どちらにせよ、ぼくは、まだ歩みの途中。


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