プロローグ
連載小説を始めました。拙く、ご都合の良い部分がありますがよろしくお願いします。
頭が痛い。ここはどこ?どうして私は横たわっているの?
『サラ! しっかりして!』
遠くから親友の声がする。そうだ、思い出してきた。久しぶりに親友とその子供に会いに行ったのだ。親友がトイレに行っている間に子供を抱いていたら、急に視界が歪んで。
夢を見ているように、様々な光景が映る。
親友の赤ちゃんが生まれた時、自分が昇進した時、学生を卒業した時、初恋の人と勉強した時。どんどん自分が幼くなり、様々な出来事が走馬灯のように巡る。
しかし、自分が赤ちゃんとなって祖父母に抱かれたところから場面が変わった。
アニメ調な雑誌が山のようにある、見知らぬ部屋。ベット、テーブル、テレビ。脱ぎ捨てられたレディーススーツに、女性の部屋だとわかる。そして手元の通信機械の画面には初恋の人が映っていた。
何故、画面の中に彼がいるの?!
盗撮か、だとしたら許せない!憤りを感じたが、それは写真でなくイラストだとわかるとすぐに落ち着いた。
イラストに被るように書かれた文章と、画面から発せられる彼の声を聞くまでは。
『サラ……お前は、俺の妹だ。』
ドクン、と痛いくらい大きく心臓が跳ねる。
『お前の気持ちをわかっていながら、黙っていてすまない。本家の意向……いや、言い訳にしか聞こえないだろうな。』
嘘だと言って欲しい。
『だから、お前の想いに応えることは永遠にない。』
「あ、あああああぁぁぁぁぁぁぁああッ!!!」
初恋の彼に何度も失恋したことはある。その度にまた恋をし、振り向いてもらおうと努力した。好みでないならば、彼が好む女性になろうと。
なのに!なのに!!
恋する立場にすらなれない!ならば今までの努力はなんだったの?!
心の慟哭は止まらず、残酷な事実を流した通信画面は更なる絶望を淡々と映していくのみ。
見たくもないのに、私の脳はそれを記憶していった。いや、思い出していた。
――これは私の前世の記憶だ。