変なお嬢様
長期にわたる休暇、誠に申し訳ありませんでした。
正直に申し上げますと書き出しがどうしても思い浮かばなくて諦めかけてました。
しかし、今日からまた書きます!頑張っての言葉をいただいたからには!というわけで、今話もお楽しみください。
僕と川端が友達になった後、僕達はメアドと携帯番号、後は携帯アプリのIDを交換してそのまま帰路についた。
そして僕は今、扉も窓も全て締め切った自分の部屋てベッドに潜り込んでいた。
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!」
なんて恥ずかしいことを言ってしまったんだろう…
『もう後悔したくない…』
現在進行形で猛烈に後悔している。
『僕と友達になってください』
下手したら告白にも聞こえるだろう。
自分でも分かる程に顔が熱く、とてつもなく胃が痛い。明日学校に行きたくない…
そんな事を一通り考えて一度頭を冷やした。そうだ、これで川端の依頼は完了した。彼女の願いを叶えたのだ、だから恥ずべきことではなく、むしろ誇ることだ。
そう自分に言い聞かせてキッチンへ向かう。
そこで僕はまた後悔することになった。一人で悶えている間に奏がまたご飯を作ってしまっていたのだ。
御察しの通りキッチンは荒れ、少し見栄えの悪い夕食がテーブルには並んでいた。それを自慢げに見せてくる妹の姿を見て、僕はため息をつくしかなかった。
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翌日、目を覚ますと携帯に一件のメールが届いていた。
川端が初めてのメールだと送って来ていた。内容は今から迎えに行くと…
「……え?」
僕が硬直していると部屋の扉がゆっくりと開いた。
そこにいたのは坂戸だった。
「け、健兄…」
「どうしたの坂戸?今日は大人しいね?」
いつもなら部屋に入ってくるなり飛び蹴りをしてくるはずだが今日に限って何故か大人しい。
「…お客さん…来てる…」
「え?」
まさかと思い、僕は坂戸を一度部屋から出してすぐに制服に着替えてリビングへ向かうとそこには川端がいた。
「川端さん…?」
「おはようございます大城君、今日はとても天気がいいですよ」
「うん、そうだね。今日はシーツを干そうかな」
いや、違う僕は何を言ってるんだ。
というかなんでこんな普通にこの人は僕の家の食卓にいるんだ!?
「川端さん…なんでここに?」
「漫画で読んだ知識では、異性の友達の家ではこのように朝ごはんを一緒に食べるとあったので…」
「それなんて漫画!!?」
少なくとも常識が通じる漫画ではない。きっと異世界のハーレムモノだ…現実世界じゃありえない。
その後も色々とあって川端のかなりズレた知識と対面しながら僕は学校へ行くことになった。
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「そ、れ、で!説明してもらおうじゃない大城!」
現在、僕は「生願部」の部室にて尋問を受けていた。
鬼の形相で問い詰める星宮、心配そうな視線を向ける神崎、呆れたように頭を抱える仔猫先輩に、ニマニマと笑う将吾…それを満足気に見守る川端。
ああ…地獄とはこうも近くにあったのだと、僕は高校2年の夏に初めて思い知らされた。
「な、ん、で!今日あんたら二人とも一緒に登校してきたの!?」
「か、川端さんと偶然会って…」
「大城君の家で一緒に朝食をとったからですわ」
「なんでこの女があんたの家で一緒にご飯食べてんのよ!」
「な、なんででしょう…」
「それは私と大城君の仲だからこそですわ」
「なによ!あんた達の仲って!」
「そ、それはもちろん友達で…」
「お友達ですわ、今のところは…」
「川端さん?ちょっと少しだけ静かにね?」
「はい♪大城君」
ピキッ←(茶飲みが割れる音)
ダメだ…完全に鬼となっている…今まで見たこともないような顔をしている。悪鬼羅刹とはまさにこのことよ…
そんな中、僕はこの現実から逃れようとふと気付いたことがあった。川端はどうやら機嫌がいい時にしか「ですわ」と言わないらしい。いつもなら「です」と言い切る彼女が楽しそうにそう言っているのを見て気づいた。
「お、お、し、ろ?」
「は、はい!」
あぁ…現実だ。これが現実なんだ。僕はそう思いながら時が過ぎるのを待った。とても長い、長い地獄が早く終わるようにと願いながら割れた茶飲みのヒビを眺めていた。
最後まで読んでくださりありがとうございます。
駄文に懲りずに読んでくださる方々に感謝です。これからも頑張らせていただきます。




