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友達のあり方

更新一週間以上空けて申し訳ありせんでしたぁぁ!!


クリスマス編とか考えてたら手が止まっちゃって…気づけば聖夜は終わっていたよ…普通の月曜日だったな…(遠目)


ま、そんなこんなで本編頑張ります!

「それで、ご用件とはなんですか?」



川端の放った声はあのお昼休みの時に聞いた暖かい声とは反対に、凍った感覚に陥るような冷たさを含んでいた。

聞いただけで背筋に寒感がする。とても無機質な声だ。



「川端さんに心配させた事を謝りたいんだ」



僕はそう切り出した。今回の件、まずは謝罪から入るのが一番いいだろう。川端に心配をかけたこと、川端を不安にさせたこと、それで川端を泣かせてしまったこと。そこから謝罪しなければきっと話にならないだろうから。



「…謝るもなにも、私が勝手に心配していただけです。大城君には非はございません」


「いや、あの時は川端さんに話しておくべきだった。友達ならあの時に話しておくべきだった」


「そんな事はありません。大城君なりに気を遣ってくださったのですから」


「それは違うんだ川端さん」



僕が否定したことに川端は注意していなければわからない程であったが、彼女の目の奥が少しだけ揺らいだ。

そんな彼女を見て僕は言葉を続ける。



「あれは…僕の自己満足だった…川端さんがどう思っていたか、何を感じていたかも考えずに、僕が勝手に判断した結果だ」



そう、あれは僕自身の傲慢だ。よりによって竜胆達に放ったあの一言が自分にも当てはまっていた、なんとも皮肉な話だ。



「僕は川端さんを傷つけた…心配させて、その心配すらなかったことにしようとした」



あの時、もっとうまく言えたはずだ。竜胆の名前を出さずにもっとうまく、川端を傷つけないように…



「だから僕は….」



謝りたかった。この後悔を川端に伝えたかった。しかし、その感情も彼女の苦しそうな目を見ると言葉に出せなかった。



「川端…さん?」


「私は…気にしてません…私と大城君はもう友達ではない…のですから…」



川端は瞳に涙を浮かべそういった。そんな彼女はどこか辛そうで、いつもの芯の強い姿とは打って変わり、風が吹けば折れてしまいそうなほど脆く見える。



「友達同士でもないのに、謝罪なんて必要ないでしょう?…だからもうこれで結構です…もういいんです…」



川端はそういうと視聴覚室から出て行こうとした。

彼女の震えた声が頭の中で何度も響いてクラクラする。あの時流した涙が再び脳裏にフラッシュバックしてくる。胸の奥がドロドロとした何かに覆われていく感覚が夢の中にいるようにあやふやに感じ取れる。


ここでまた手放すのか?逃げるのか?


足が震える。口の中もカラカラでうまく話せる気がしない。手は指先まで冷たくなっている。

結局、僕じゃ何も川端の助けになることは出来ず、願いを叶える事が出来ないのか?それが叶わないというのか?


そういう事なら…そうだというのなら…僕は、僕自身の願いを叶える。

僕自身がやっと出した願い。川端と友達になりたいという願いを僕が叶えればいい。

そう考えると、氷のように冷たい指先がカッと熱を帯びた。その手を川端に伸ばし、捕まえる。

「川端梓」には、僕の願いを叶えるためにここで逃げられるわけにはいかないから。



「ま、まだ話は終わってない…!」



川端は僕に掴まれた腕を見て酷く驚いているように目を見開いていた。僕が掴んだ川端の腕は「氷華姫」らしく氷のようとても冷たかった。



「わた…しは…」



川端が何か口にしようとするが、僕はそれを遮るように言葉を放った。



「僕は…もう後悔したくない…ここで君を逃したらきっと…僕の願いは叶わない、僕は叶えたいんだ…僕が持てる限りの多くの願望を、その一つが君とと友達になることなんだ…だから…お願いだ、僕と…」



自らの願いを伝えるというより、まるで子供の駄々だ。この言葉は彼女の気持ちを考えてなどいない、僕の願望から溢れ出た言葉なのだから。それでもこれを言いたかったんだ。ずっと喉に引っかかっていたような違和感がこの瞬間だけ消えた気がしたから…



「…私は、私は川端梓…なんですよ?」



川端は僕から顔を背け震えた声でそう言った。



「うん」


「色々な女の子達の中心にいて…ほかの男の子達からは遠巻きに怖がられてます…」


「うん…」


「また友達になればきっと…私は大城君を頼りすぎてしまいます…それは必ず大城君にいろんな迷惑がかかってしまいます…」


「そうだね…けど、川端さんはその時僕の隣にいてくれるんでしょ?」


「っ……!?私…は…」


「友達ってそういう事だったんだよ」



そう、友達の形は色々あり、そんな形も存在するのだろう。友を頼り、共の隣に立ち、共を支えて支えられる。そんな関係だって友達として成立してくれる。僕は掴んでいる彼女の腕を離し、手を差し伸ばした。



「だから川端さん、僕の友達になってくれませんか?」



その言葉に、川端は何も言わず、ただ嬉しそうに涙を流してその手を取ってくれた。

最後まで読んでくださりありがとうございます。

クリスマス編は今年中に更新しますので、御容赦下さいませ

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