目が合わない
すいません更新遅れました…
ここ最近あまり筆が進まずに投げ出したくなりましたが、一念発起、もう一度頑張り直します!
川端が意外な依頼を持ってきた翌日、教室で僕は周りから注目されてしまっていた。というのも原因は目の前の彼女達が原因だ。
川端、星宮、そして神崎。
美女三人に囲まれれば普通は喜ばしい事だが、今目の前にいるのは「氷華姫」に元新女王、隣のクラスのトップ女子…威圧感というか、面子が面子なだけにどうしていいものかわからない。
今日はいつも通りに将吾と昼食を共にするはずだったが、昨日の依頼の件で話したいからお昼を一緒にしてもいいかと川端に言われた。僕と将吾はそれを承諾して机を一つ動かして三人で座れるスペースを作っていた。そこに神崎も参加してくると星宮が様子を見に来てそのままここで合流した。
将吾はヘラヘラと笑いながらジュースを買いに行ったまま戻らず、星宮と川端は昨日の部室にいた時と同じように口喧嘩を始めていた。
周りのクラスメイト達はいつ二人が小さな戦争をおっぱじめるかハラハラしながら見守っており、いつも川端の周りに付いている女子達は刺すような視線を喧嘩をしている星宮ではなく僕に向けてくる。
そんな中、神崎だけは美味しそうにご飯を食べており、今までの様子と比べると意外と図太い神経をしているのだと思った。
「だからさ、依頼のことは放課後に、部室でやればいいと思うんだけどね?ここで話すのも川端さんには困っちゃう事になるんじゃないかなぁ?」
「心配はいりません。他の子達にここに誰も近寄らせないようにとお願いしておきましたので…しかしそれでもここに近寄れた貴女は大変力強いのですね?まるでゴリラみたいですわ」
「はぁ!?誰がゴリラよ!この女狐!」
「あら?ゴリラより狐の方が可愛げがあるものでしょう?ね?大城君?」
「はぁ?ゴリラの方が賢くて凛々しいでしょうが!大城はゴリラの方がいいと思うわよね⁉︎」
…何故ここで僕に振るのか分からないが、二人とも自分が動物に例えられてるのにそれを肯定するような聞き方は女子としてどうかと思う。
僕が助けを求めるように神崎に目を向けると、彼女は売店で買ってきたのであろうエクレアを幸せそうに頬張っていた。
その様子自体はとても可愛らしく、こんな状況でなければ癒されるのだが、目の前の二人から向けられる圧力のせいで先程口にした唐揚げが喉元まで戻ってきている感覚がした。
「あ…僕はどっちも好きかな?ゴリラは力強くて優しいし、狐は撫でるときっとつやつやとした毛並みが気持ちいいだろうし…」
自分で言っていて気づいた。この問いに対しての答えは絶対にこうではないと。そしてそれは二人の様子の変化を見ればすぐに思い知らされた。
「…ねぇ大城、今、私がゴリラって認めたのかな?」
「大城君、狐を怒らせたら痛い目にあう。そう昔からの常識を知らないわけではないですよね?」
先程までの凄まじい剣幕とは一転、怒りで触れれば火傷しかねないほど熱を持つ星宮。触れずともわかるほど向けられただけで身も心も凍えてしまうような笑顔を向ける川端。
熱いのか冷たいのか、それだけでも充分キツイ二人の怒りがどちらも近くにあることで冷や汗を一滴も垂らすことすらなく、僕はその場から逃げるように意識を手放した。
目が覚めた頃には放課後になっていた。傾きかけていた夕陽が薄暗くなった部屋に差す。目覚めたばかりの目にぼやけてうつる人影が見えた。
「おはよう大城。君達の学年はよく倒れる子達が多いようだね?」
そこにいたのは三河先生だった。呆れたように僕を見る先生の目はどこか楽しそうでもあった。
「すいません、けどまああんなのを目の前でやられると…」
「あっははは!質問にうまく答えられずに怒られるのは男の性だね」
先生はそういうとベッドに横になっている僕からシーツを奪ってさっさと出て行きたまえといった。
「ほら、ここで寝ている場合ではないだろう?早くあの子達に謝ってきなさい。それに、依頼の方も話し合わなければだろ?」
僕はこくりと頷き返すと部室へ向かった。忘れ物だと投げられた鞄はいつもより重く感じた。
部室の扉に手をかけるとまた騒がしい声が聞こえてきた。半分恐々としながら、そして呆れながら扉を開けると途端に部室は静かになった。
「え?あ、すいません遅れました」
僕は自分が何かやったのかと思い、とりあえず部活に遅れたことを謝った。すると、仔猫先輩と将吾がニヤニヤとしながら川端を僕の前に寄こした。再びあの笑顔を向けられるのかとヒヤヒヤしていたのだが、川端の様子が先程までとは違うものになっていた。
どこか恥ずかしそうに、そして申し訳そうに顔をうつむかせている彼女を見て僕はなぜか嫌な予感がした。
(ま、まずい…なんだか面倒くさくなる気が…)
「やあ親友、今回の依頼の最初の作戦だよ。頑張れ」
逃げようと後ずさる僕の肩を将吾が掴み楽しそうに笑っている。僕はこの笑顔を知っている。この笑顔をする時には必ず僕が一番苦労することを。
「あ、そういえば教室に忘れ物を…」
「大城、貴様に作戦内容を伝える」
仔猫先輩がそう逃げるなよ?と言ってきて僕は足を止めた。お昼の時のように再び神崎に助けを求めようと視線を送るが、彼女は苦笑いをしてただ目を合わせてくれない。
藁にもすがる思いで星宮にも目を向けたが、お昼のことをまだ怒っているのか睨み返されてしまい、僕の方から目をそらしてしまった。
そして、逸らした先で仔猫先輩と目が合ってしまう。
「友達になるのはまずは身近な奴から。そういうことで大城、貴様は今日から川端の[男友達一号]だ。友達らしく楽しくやれよ?」
仔猫先輩がそう笑顔で告げると将吾が拍手して、それに流されるように神崎も小さく拍手して、星宮だけはそっぽ向いていた。
「これからよろしくお願いしますわ。大城君」
僕と友達になることになった御本人、川端梓はそういうと少し頰を赤くして綺麗に一礼してきた。
この時の彼女の表情は上手く読み取れなかったが、それよりも僕はこれから先で自分の身に起こる面倒ごとを考えてしまい、今すぐに保健室のベッドに戻り潜り込みたいと思っていた。
最後まで読んでくださりありがとうございました




