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新しい風

だぁーーー!毎日更新がぁ!

十数分遅れました…


という事なので、今日は2話あげようと思います。

神崎が「生願部」に入って数日が経った。


神崎は今ではクラスでちょっとした人気者になっていた。

というのも、入った後から教室で、将吾がわざとらしく大きな声で神崎が「生願部」に入ったことを言って、「生願部」のメンバーの話を周りに聞こえるように声を出していたからだ。


それを聞いたクラスメイト達は一斉に神崎の元に話を聞きに行った。

星宮との関係性がわかったから安心したのもあったのだろうが、謎の多い仔猫先輩と同じ部活動に入っているということが思ったよりみんなの興味を引いたらしく、神崎だけでなく僕や将吾にも話を聞いてくる人達もいた。結局神崎さんが「新女王」という噂はほとんどなくなり、最近では人当たりの良さから「聖女」やら「女神」と呼ばれ始めている。

将吾を筆頭にしたそんな下心のかる男子から守るように女子達も休み時間では神崎について回っている。



そしてここ最近では休み時間に星宮が来ることもなくなり、二人が話すのはほとんどが今みたいに部室でとなった。


「原柴の宿題やばい…まじやばい…多い…」

「確かにちょっと多く感じるよね原柴先生の宿題って」

「普通、問題集4ページを1日の宿題にさせる?他の課題もあるってこと先生達って忘れてると思う!」

「それって結局、星宮が頭悪いから終わらないだけだろ?ダメだぜ?責任転嫁よくないよくない」

「はぁ⁉︎何よあんただってバカでしょ!このゴミ箱おばけ!」

「残念ながら俺は課題を提出しなかったことはない…というか誰がゴミ箱おばけだ!いつもゴミ箱被らせるのお前だろ⁉︎」

「ま、まあまあヒカリちゃんも墓月君も落ち着いて?ほらクッキー焼いてきたから」


そう言って神崎は二人の間に手作りのクッキーを置くと二人は喧嘩をやめて何も言葉を発さずに黙々とクッキーを食べ始めた。


この二人を手なずけられるようになるなんてすっかり神崎もここに馴染んできた証拠だ。


神崎は今はもう休み時間もお昼休みもほとんどを女子のクラスメイトと過ごして、出会った頃のような不安でいっぱいの顔はあまりしなくなっていた。

僕たちは彼女の「友達が欲しい」という願いは無事に叶えることができた。そして、新しい仲間を迎えることができた。これからどうなっていくのか、そう考えると少しワクワクする気持ちを抑えきれず、つい口元が緩んでしまった。手でそれをすぐに隠したつもりだったが、将吾に見つかってしまっていたようだ。


「あれぇ〜?健はなーにニヤついてるのかなぁ?」

「ニヤついてなんかいないよ」

「いや!ニヤついてたね!それはもう見事なまでにニヤニヤと!」

「うるさいゴミ箱おばけ、静かにしてよ!後、初香ちゃんのお菓子あんたは食うな」

「はぁ⁉︎んだとこのギャル娘!その頭墨汁で黒に染めるぞ!」

「上等よ!今日はちょうどゴミ箱いっぱいだから威力はいつもの倍よ!」

「ゴミの容量で威力かわるんだ…」

「お、落ち着いてヒカリちゃん、ほらまだいっぱいあるからクッキー」

「もう少し静かにできんのか貴様ら…あ、神崎、それ私も一つもらおう」


今日もこの部室は騒がしい。おちゃらけた親友に強気で友達思いの女の子。その二人をなだめる小心者のようだけど本当は優しい女の子に、いつも周りを見てる少し偉そうだけど世話焼きな先輩。



外の蝉の鳴き声が大きくなるにつれて、僕達の声もそれに応じて大きくなっていく。かつて一人だった僕達が今はこうして楽しく大切な仲間と共にいる。

そのことがどこか現実味がないように感じて、幸せな夢を見ているようにふわふわとしている。

けれど、ここにあるのは現実で、僕達は今ここで今日という日を過ごしてあく。


そして今日も依頼者がやってきたようだ。ガチャリと古い扉がゆっくりと開く。また新しい出会いか、それとも面倒事か。どちらでも彼らとなら楽しくやれそうだと僕は思える。そんな期待と夏草の匂いをのせて、新しい風が「生願部」の部室に吹いた。























時に人は予想外の事が起きると一度、時間が止まってしまったかのように思考が停止してしまう時がある。そう例えば、思いがけない来客が来た時とか…




「こちらが、「生願部」ですか?」

「氷華姫…?」





新しい風は、夏だとは思えないほど冷たい風だった。






最後まで読んでくださりありがとうございます

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