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解決策その二

今回はかなり予定していた内容と変わりました…


放課後、僕たちは「生願部」の部室に集まった僕達は順番に神崎への誤解を解くための作戦を発表することになった。最初は将吾からだった。


「では、まず俺からだな。まあこれでこの案件は解決しちまう…だから神崎ちゃん!もしこれで上手く行ったら俺とデートに…」

「いいから早く言えゴミ」


神崎をデートに誘おうとした将吾に仔猫先輩が最後まで言わせまいと切り捨てるように注意する。

それに将吾がブツブツと文句言うと仔猫先輩が鋭い視線を送り黙らせる。まるで猫に睨まれたドブネズミだ。


「はぁ…それじゃあ神崎ちゃんデートはまた今度で…俺が考えた作戦は「スキンシップ作戦」だ!」

「「「却下」」」

「なんで⁉︎」


下心が丸見えの作戦だった。あわよくば神崎と触れ合いたいという欲望がだだ漏れである。星宮も仔猫先輩もゴミを見る目から殺意を込めた目に変わっている。


「ちょっ、ちょっと待って!違うんだって!今回は真面目なんだって!スキンシップって言ってもせいぜい肩をトントンってするぐらいでそれが出来たら握手したり肩組んだり抱っことか…あ…」


考えていた事を一つ残さず言ってくれた将吾は無言のまま椅子を持ち上げた星宮と仔猫先輩によって保健室ゴミ箱に突っ込まれたまま保健室送りになった。








「じゃあ次私ね!初香ちゃんのために真剣に考えてきたんだから…」


そう言うと星宮は鞄からノートを取り出した。ノートの表紙には「友達作り隊」と書かれていた。随分と安直でありふれた名前だ。


「私が考えてきた作戦はね…「ローラー作戦」!」

「どう言った作戦だ?」


星宮が出した作戦に仔猫先輩が内容を聞くと星宮はふふんと自慢気にノートを広げた。


「簡単よ?他の子達に話しかけていってここに来てもらって誤解を解いてくの。一人ずつちゃんとね」


たしかにそれは1番確実なやり方ではある。だが、クラスの女子だけでも26名、男子を含めれば50名いるのに一人ずつ話せば時間がかかりすぎでしまう。それに、今の神崎だと話す事自体もハードルが高いだろう。


僕は星宮にそう伝えると星宮は撃沈した。


「むぅ…いいアイデアだと思ったんだけどなぁ…ごめんね初香ちゃん…」

「う、ううん!考えてくれた事だけでもとても嬉しかったから…」


机に突っ伏して落ち込む星宮は拗ねた子供みたいに頭をグリグリと机に押し付けている。すると次は僕が意見を求められた。


「えーと…僕が考えたのは…神崎さんがこの部活に入ることかなって」

「え?」

「あっ、嫌なら別にいいし他に入ろうとしてる部活があるのならそこに入ればいいと思う」

「なんで神崎がこの部活に入ることによって誤解を解くことになるんだ、大城?」


仔猫先輩にそう聞かれて僕は昨日思いついた事を説明する。


「まず、今回の件で注目したのは神崎さんと星宮が周りから見て接点が無いように見えた事なんです。だからみんな憶測で話して誤解される。なら憶測で話されないように現実的は関係をみんなに教えればいいんです。そこで考えたのが二人は部活仲間だってことです。同じ部活に行ってるなら二人が一緒にいてもおかしくないし、それにここの部活って他の生徒たちから謎が多いので話のネタにもなって他の生徒たちと話せるかも…なんて上手くいけばですけど」


説明し終わるとパチパチとまばらな拍手が聞こえた。なんだかこっぱずかしい気分になり顔が熱くなるのを感じる。赤くなっているのではないかと思い机に突っ伏してしまった。拍手が止むと落ち着きを取り戻してやっと顔を上げられた。すると目の前に仔猫先輩の顔があった。


「うわっ」

「失礼な反応だな。いや、ウブと言うべきか?」


そう言うと仔猫先輩はニヤつきながら席に戻った。そして真剣な顔つきに戻るとこの場での意見をまとめ始めた。


「今現在でやれる事は星宮と大城の案だが…より確実性があるのは星宮の案だ。しかし大城の案だって馬鹿にできない。だから神崎にどちらをやってもらうか決める。元は貴様の案件だからな」


仔猫先輩はそう神崎に言った。神崎が考える時間が欲しいと言ったので仔猫先輩が一人で考えるならと保健室をと勧めてあげた。


















「そんで、どうよ?神崎の依頼は解決できそうか?」


神崎と入れ違いに将吾と部室へ入ってきた原柴先生がそう聞いた。今までどこにいたのかわからないモジャヒゲ先生は偉そうにソファで横になっている。

それを仔猫先輩が汚物を見るような目で見つめる。


「おい原柴。貴様の居場所はここにない。早く帰って缶ビールでも飲んでいろ」

「お前本当に俺の事先生って思ってないよね?泣くぞそろそろ、先生泣いちゃうぞ?」

「ヤッベェ!柴っちょ哀れ!」


げっそりとした顔の原柴先生を将吾が笑うと次は仔猫先輩がうるさいと言って黙らせる。


「…大城、何故神崎をこの部活に入れるという案を出した」


仔猫先輩は思案顔で僕にそう聞いた。何故神崎をこの部活に入れようとしたかの説明は既にしていたにもかかわらずもう一度聞いたのは、多分この先輩のことだから僕の本当の考えに察しがついたのだろう。

正直話してしまえば少し恥ずかしい事なのであまり言いたいことではないが、それでもこの人達にだけは言っておいた方がいいのかもしれないと思い、僕は理由を話した。


「神崎さんに、安心できる場所を作ってあげたかったんです。神崎さんって転校してからずっと気を張り続けてるでしょ?それって良いことってわけでもないだろうし、一つでも安心できるような場所があればきっと友達作りも上手くいくと思うんです。だから、転校してからよく来ているこの部活をその場所にできたらなって」


実際、転校してから2日目以来、神崎がここへ毎日のように来てくれている。そして星宮と話したり、仔猫先輩に世話をしてもらったり、将吾に絡まれたり、その時の神崎はとても楽しそうに見える。


それに、僕にとってのもう一つの心休まる場所。家以外ではここしかない。そう思えたから僕はここが良いのではと思ったのだ。


僕が理由を話し終えると寝ている原柴先生を除いた三人が変な目で僕を見て来る。


「な、なんですか…」

「「「いや、別に?」」」


そんなこと言いながら彼らの口元は少しだけ綻んでいた。理由を問い詰めようとした矢先、部室の扉がゆっくりと開いた。


扉の先にいたのは神崎だった。

神崎は何か真剣な顔つきで、部室に入らずにその場でお辞儀をした。


「1-D神崎初香です。今日から「生願部」に入部します!」


…どうやら、神崎なりの覚悟が決まったようだ。

真剣に、まっすぐを見つめるその瞳から僕はそう感じた。







最後まで読んでくださりありがとうございます!

あぁ…毎日更新…間に合うか?


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