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暖かい場所

今回はちゃんとかけた気がします!

では是非お読みください!

家に帰るとリビングで奏と坂戸が宿題をしていた。

彼らはいつも僕がいない時はリビングの明かりしかつけず、そこで僕の帰りを待ってくれている。それが中学の頃の僕にとっては帰る場所があると教えてくれる心の支えでとても嬉しかった。


「ただいま」

「「おかえりなさい健兄!」」


僕が帰ってきたのに気づくと坂戸が僕の方へやってきた。奏ではパタパタとキッチンへ向かっている。


「ねぇねぇ健兄」

「ん、どうした?」


坂戸が耳を貸せと手をこまねいているのでしゃがんで目線を合わせる。坂戸はうんと満足そうに頷くと小さな声で語りかけてきた。


「二週間後にお母さん達帰ってくるって、それでね、奏でがお母さん達に料理を作ってあげたいから教えてって」


僕はそれを聞いてキッチンを見た。そこでは奏でがいそいそとピーマンや玉ねぎを冷蔵庫から出しているのが見えた。坂戸は手を合わせて僕にお願いするようにポーズを取っていた。


普段は僕がご飯を作るが奏は父さんと母さんに自分で作った料理を食べて褒めてもらいたいのだろう。それがとても可愛らしく感じて、そして兄として応援したくなってしまう。


「うん、いいよ。けど坂戸は?料理教わらなくて大丈夫?」

「うん!俺は飾り付けとかやる!豪華にするから楽しみにしてて!」


そう言って坂戸は自分の部屋へと駆け足で向かった。二人とも両親が帰ってくるのをとても楽しみにしているようだった。


キッチンへ向かうと奏は色々な食材を冷蔵庫から出していた。それを止めると早く教えてくれというので僕は苦笑しながら奏の今日のリクエストを聞いた。


「オムライス!」

「じゃあ今日はオムライス作ろうか」










晩ご飯を食べ終わると奏も坂戸もすぐに部屋に篭ってしまった。奏は今日やったことを忘れないようにお料理ノートを書くといい、坂戸は先程鶴の折り方を聞いてきた。

二人とも熱心に二週間後に向けて色々と取り組んでいる。そんな二人を見て僕は心が穏やかになるのを感じた。


これが家族といること、安心できる、心が穏やかになる場所。そう思うと、ふと神崎のことを思い出した。


彼女も家ではゆっくりとできているのだろうか、学校ではいつも気を張っていて星宮と話すときぐらいしかあの笑顔を見ることはない。彼女が今の状況で心安らげる場所があるとすれば恐らくは彼女自身の家と星宮のところだけだろう。


そこが今の教室になって欲しいと願っても周りがそれを受け止めない。とても歯がゆく腹が立ってしまう。


神崎が笑える場所を作りたい、神崎が

楽しめる場所を作りたい、そして、神崎が喜べることを…


(…なんで僕はこんなに神崎のために何かしようと思ってるんだ?)


それを考えてみたが分からず、喉に魚の小骨が引っかかったようなもどかしさを覚えた。しかし、それは別にいい。今は神崎に向けられた誤解を解くことを考えろと、そのもどかしさを無理やり飲み込んだ。


神崎が誤解される理由。まずどう誤解されているのか?教室でクラスメイト達が話していたことを思い出す。


『おい…神崎さんなんで隣のクラスの星宮とつるんでるんだ?』

『あいつら何か共通点あったか?』

『もしかして神崎さん…いや、新女王は…』

『『『星宮を従えて新勢力を作った⁉︎』』』


その内容を思い出し、一つの違和感を覚える。


(共通点…)


たしかに神崎と星宮は部室で何度も会っていた。しかし、他のクラスメイト達はそれを知らない。


(ならそこでの話をする?いや、それはリスキーだよね…)


そんなことを考えていると一つの答えをはじき出した。


(そっか、初めからそうすればよかったのかも)


僕は一つの解決案を出したことにスッキリして、そのまま今日はソファで寝てしまった。










翌日、坂戸からのおはようの飛び蹴りに対応できなかった僕は、坂戸と一緒にソファから転げ落ちてしまった。

最後まで読んでくださりありがとうございます

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