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1.新しい朝(改)

はじめての投稿です!

よろしくお願いします!


青春デザイア

プロローグ.



ーまた来年もきっとー

もう居なくなってしまう彼女に向けて、勿論と僕は応えた。


そんな約束は叶わない。叶うわけがない。ただの片思い、相手の気遣い、社交辞令の一言。

そんなものに心動かされ続けている僕がいて、その心は蝋燭の炎みたいにゆるりゆらゆらと不安定に存在し続けている。


ーこんなに苦しく、哀しみに溢れ続けるのならいっそー


そう言って僕は、揺れ続ける炎を握り潰した。




1.うるさい平常


冴えている。寝起きとは思えない程に、今ならベランダから見える電波塔のてっぺんに登っている作業員さんの腕時計を確認できる程に目が冴えている気がする。


いつもは起きては寝て起きては寝てを繰り返し、口うるさい弟と妹に蹴られるまでは起きないはずなのにだ。

原因はなんとなくだがわかる。内容は覚えていないが、つい先ほどまで自分で見ていた夢のせいだと。手をぐぱぐぱと開いたり閉じたりしてみる。そこに火傷の傷などありはしないのに、ヒリヒリと染みる痛みを感じた。


「悪夢だな…」


そうぼやきながら僕、大城健はベッドからゆっくりと起きる。まるでゾンビ映画みたいだな、なんて変な想像をしたことで口元が少し緩んでしまった。

それをすぐに手で隠す。別に誰が見てるわけでもないのだが、クラスメイトの女子から「笑顔、怖いよ?」と言われてショックをうけてからはずっと隠し続けてしまうようになった。


その時唇に触れて気づいた。

やたら乾いてチクチクする。

外を見てもジメジメと暑そうな晴れ渡る青空しか見えない。


ーこんな天気なのに唇が乾燥するなんてな…ー


気づくとやたらと喉が渇いてしょうがない。ベッドから降りてキッチンへと水を飲みに立つとドタドタと力強く廊下を駆ける音が聞こえてきた。


「「お〜き〜ろ〜!…ぉ?」」


足音の犯人達は扉を勢いよく開け、そのまま僕のベッドへと飛び込むと違和感を感じたのか最後に間抜けな声を漏らした。


「おはよう、奏、坂戸」

「うげっ!健兄起きてる⁉︎」

「あれ?いない?」


弟の大城坂戸は驚いた様子でこちらを指差し、妹の奏は毛布の中に入ってしまっていて朝の獲物を見失っているようだった。


「なんで起きてるんだよ!ちゃんと寝てろ!」

「あ、健兄ちゃんおはよう!」

「ならたまには普通に起こせよ坂戸。ほら、朝飯行くよ」

「「はーい」」


キッチンでは片付けられていない調理器具が散乱しており、テーブルに不恰好な朝食が用意されていた。

その惨状をみて頭を抱えたくなるのを我慢してこれをやった犯人を捜す。

犯人はすぐに見つかった。テーブルの席にいち早く座り、そわそわしている奏だ。


「今日は奏が朝ごはんを作ってくれたのか?」

「うん!健兄ちゃんも早く座って!」

「…うん、食べよっか」


普段作り置きがあるはずなのだが、最近料理に興味を持ち始めた奏は自分の腕を見せたかったらしい。こういう無邪気なところをみる実に小学生らしいと思う。


「…まあ作り置きしたやつは弁当に入れとけばいいか…」


誰に言ったつもりでもないがそんな言い訳をこぼしてしまう。奏でには次から調理しながら片付けもするんだと教えておかなければならないことを教えておこう。


「「「いただきます」」」


三人で同時に手をつけた朝食は少ししょっぱかった。




「「行ってきまーす!」」

「いってらっしゃい」


奏と坂戸は俺より先に学校へ行ってしまった。

誰もいなくなった家で僕も支度を整える。父と母は仕事の関係でよく海外に飛び、一年のうち200日は向こうで過ごしている。


正直海外に引っ越した方がいいのではとも思うのだが、せっかく買ったマイホームを手放すつもりはないと言って、僕達を残している。

両親が海外に仕事へ行ったのは奏と坂戸を産んでからで、双子のあの子達は母の面影を残している。

二人とも整った顔立ちで、小学生でありながら既にラブレターをもらったことがあるらしい。…別に羨ましいなんて思ったことはない。


家のなかの鍵が全て閉まっているのを確認して電気を全て消す。朝なのに少し仄暗い家の中を見ていつもの様に行ってきますを言って僕は学校へ向かった。



学校が始まって3ヶ月が経っていた。入学式の時には既に散ってしまった桜の木には青々とした葉が風に吹かれてざわめいている。その音に紛れて小さく蝉の鳴き声も聞こえてくる。


後半月もすれば初めての高校の夏とやらが始まる。特に友達が多いわけではない…むしろ少ない僕でも少しだけ浮き足立ってしまう。クラスのみんなで海に行ったり、いつものメンツで誰かの家に泊まるのも悪くはないだろう。


そんな事を思いながら校門までの坂を登る。僕の通う学校は山の中にあって、普通なら親の車や、学校の前の駅まで路線バスを使う。それができなくともせめて自転車で登校する。僕のように歩いて登校する生徒というのはあまり多くはない。


「まあわざわざこんな坂、歩いて行こうだなんて思わないよな…」


そんな事をぼやいていると後ろから誰かが来ているのに気づいた。

周りの木々が揺れる音に紛れて気づかなかったが、後ろからキツそうに息を上げる女の子の声が聞こえる。息遣いだけ聞くと随分お疲れのようだ。

普段からこの坂を登っていない人だろうか?少しだけ興味が出てチラリとその女子の方へ目を向ける。

「わぉ…」

彼女の姿を見て僕はつい声を出してしまった。その女の子は肌がとても白く、長く真っ直ぐとした綺麗な黒髪がよく映えていて顔もモデルのように綺麗に整っていた。

まるで人形だ、そう思っていると僕の声が聞こえてしまっていたのか彼女はキツそうに俯いていた顔を上げて僕を見た。


「え…?」

「あ…」


彼女はまるで「いたの?」と言っているかのように僕を見ている。彼女が僕を見て、そして僕も彼女を見ているのだ。必然的に目が合ってしまい僕達はお互いに固まってしまった。


「………」

「………」

「あの…」

「はっ、はい!」


なんとか沈黙を破り話しかけてみると彼女は大きな声でそれに応えてきた。正直ビックリしてこちらも声を出しづらくなってしまう。


「…だ、大丈夫?辛そうだけど…」

「あ、うん大丈夫だから!」


彼女はそう言って苦しそうな表情から無理に笑顔をつくってみせた。その表情を見て少しだけ心が痛む。初対面でも女子に無理をさせるというのはあまりいい気分ではない。

ふと、彼女がつけている校章を見えた。三日月と星、夜を表すエンブレム。これは僕達の世代の一年生がつけているエンブレムだ。代毎に変わる校章に描かれるエンブレム、今年の一年は夜、2年は昼、三年は朝を表している。


(同級生?まだ見た事がないけど…)


僕は友達はいなくても校内にいる同学年の人達の顔はほとんど覚えている。それでも彼女の顔だけは見覚えがなく、不思議に思ってついじっと見つめてしまう。すると、彼女はいきなり前のめりに倒れてきた。


「えっ!?ちょっと!」

「…」


僕は倒れてきた彼女を咄嗟に抱きしめるかたいで受け止める。暑い天気の中彼女の身体は周りの気温よりも高いと制服越しにかんじだ。少し力を入れたら折れてしまいそうな肩を掴むと汗でびっしょりと濡れていた。よく見ると顔も赤くなっており、本人は視点があっていないように見えた。彼女が吐き出している息は乾いていて、とても大丈夫のようには見えない。このまま学校へ一人で行けるかも怪しいだろう。


(もしかして初めてここから登校したのか?慣れない事はするものじゃないだろうに…)


おそらくいつもは親に送ってもらうかバスで登校していたのだろう。初心者にこの坂道は少々きついから、こんなにバテてしまうのだ。


「……」

「はっ…はっ…」


このままほっとくわけにもいかない。僕は彼女にごめんと一言告げて背負っていた鞄を茂みに隠し代わりに彼女自身を背負った。その際に触れた彼女の肌は女の子特有の柔らかさを持っていて、少しばかり躊躇した。彼女は驚いた様に足を動かしたが、それは弱々しく力が入っていなかった。


「このまま保健室まで連れて行くから、少しだけ我慢して」

「……っ!」


何か言おうとしてるのだろうけど声になっていない。

僕は少し暴れる彼女を無視してそのまま坂を登り始めた。ただでさえきつい坂道を人1人背負って登るのだ。キツくないわけがない。それでもあのまま放っておくこともできないし、何より彼女は驚くほど軽かった。女の子ってこんなに軽いものなのかと思い僕は黙々とその坂を登って行った。

彼女は恥ずかしそうに僕の首元に顔を埋めたまま、途中から眠ってしまっていた。






まだまだ足りなく、駄作ですが、これから頑張ります!

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