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新人教育



「ーー本日ここ東京墨田区の「ゆめみやぐら」には開業25周ということで多くの人が訪れています!この「ゆめみやぐら」は世界最大の電波塔として建設され、610mもの高さを誇り現在まで利用されています。周辺施設では25周年を記念してーー」


 2階会議室。下鴨はついているテレビを消す。

 六城がその後ろで扉を閉めた。


「急な呼び出しですまんな」


「大丈夫です。こちらも用件がありましたので」


「うむ。例の鳴瀬という新人だな」


「えぇ。新人ですが既にC級、しかも12人委員会からスカウトされたとも聞きました」


「極めつけはこれだな」


 下鴨、六城に送られてきた連絡。そこには鳴瀬沙耶の素性を秘匿し、六城と共に行動せよとの内容が書いてあった。


「俺が報告書を書いたすぐ後にきたんですよコレ。しかも破った場合が恐ろしい第2階級命令」


「どう考えても後ろ暗い存在だな。委員会が何の意図を持っているのかがわからん。しかも神殺しをしたそうじゃないか」


「本人曰く低級神らしいですがね……。それでも俺の攻撃は通らなかった上に体の自由を縛るだけの力はありましたよ」


 コンコンコン


 その時、誰かが扉をノックする。


「誰か呼んだのか?」


「いや、誰も呼んでないですけど?」


「失礼します」


「うわっ!出た!」


 扉を開けて現れたのは鳴瀬だった。

 李世は慌てて叫んだ口を押さえる。

 下鴨は六城の頭を叩いた。


「出た、とは?」


「いや、丁度お前さんの話をしていたところでな」


「そうでしたか。お二人共ここにいらっしゃるとアンジェリカさんから聞いたので」


「そうか。それで何の用事だ?」


 下鴨が尋ねる。


「任務内容等の説明をお聞きしたいと思いまして」


「任務内容?お前は新人教育を受けたんだよな?」


「いえ、ここに来てからすぐに派遣されたので。異世界に拉致された人を連れ戻すとしか……」


 李世も下鴨も顔を見合わせた。

 そこに鳴瀬が紙を差し出す。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


追記・彼女は初期教育を施していないためエージェント・六城が責任を持って行うこと


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「はあぁぁぁ!?」


「いきなり人を押し付けておいてこれか……」


「あの……?」


「いや、すまない。大丈夫だ」


「まぁ上からの命令だ。仕方ない」


 叫ぶ六城を下鴨が宥め、呆れた顔をする。


「じゃあ今日は鳴瀬に新人教育ですかね……」


「うむ。だがお前さん一体何者だ?12人委員会にスカウトされてこの一匹狼に付き従うように言われるなんて」


「一匹狼は余計ですよ」


 鳴瀬は下鴨の質問に首を横に振って答える。


「それは私を連れてきた人(12人委員会)が言うなと」


「むぅ……そうか」


「仕方ない、追求はヤメだ。俺は鳴瀬に基礎知識を教えますが師匠はどうしますか?」


「帰るとしよう。もう第一線を退いて久しいからな」


「いや、あなた現役のS級エージェントでしょ。重要責任者になったから戦わないだけで戦闘訓練にはよく来るじゃないですか……」


 下鴨が扉から出て行き、六城が説明を始めた。

 ホワイトボードに文字を書き込んでいく。


「さて、じゃあ丁度いいからエージェントのランクの話からするとしよう。エージェントは7つのランクで分けられている」


「A級〜F級までの実力順。別枠にS級だな。F級は訓練を受けた熟練の兵士、E級は特殊部隊の実力者、D級から人間を辞め始めてS級は……バケモノだな。それ以外に言葉が無い」


「バケモノ、ですか?あの下鴨さんも?」


「あぁ。下手に逆らうなよ。俺は昔ボコボコにされたし今も師匠には勝てん。戦闘力だと俺はA級最弱だしな」


「そうなんですか?」


「流石にC級には勝てるがな。というかお前神殺しをしておいてC級なんだな。新人には十分すぎるが」


「えぇ、対神に特化しているだけで対人はあまり得意じゃないんです」


「ますます何者だよお前……」


説明は続く。


「次は機構がなぜ人々を異世界から連れ戻しているかだな。ただ……これについてはどこから説明したものか……」


「?」


「そうだなここから説明しよう。この世界には絶対的な「神」がいた。ただ、その「神」は西暦元年を最後にその姿を消した。そして時が経つにつれ人間は魔法が使えなくなり代わりに科学を手に入れた」


 鳴瀬の表情は堅い。

 理解出来ていないのだろうと思って六城は話を続ける。


「異世界にも神はいる。しかしそれは「神」が創った世界のリソースを利用して世界を管理し、魔法で自分を崇めさせる小物だ」


「この世界は全ての世界を生み出した「神」の管轄下にある。だからこの世界の人間は異世界の人間よりも力を持つ」


「この世界で生きてると実感はないがな。例えばあらゆる力を受け入れることができる、とかだ。異世界神がリソースを利用しチート能力を作り上げる。しかし異世界人にはそれを受け入れる器がない。だからこの世界の人間を召喚する」


「なぜそんなことを?」


「神は人々の信仰心で存在している。そして信仰心が増えれば増えるほど神は様々な権能を行使できる。それが目的だろうな。神から力を得た人間が自分達を救ったらそりゃあ神を崇めるだろうしな」


「それとこれが重要でな。人間は魂を持っていて死んだら世界に還元される、それが循環して世界は一定数のリソースで維持されている。ただ、異世界召喚されてその世界で死ぬとその世界に魂が還元される。その結果リソース不足で世界の維持ができない。それがEX案件・世界崩壊シナリオだ」


「だから人々を連れ戻すということですか」


「そうだ。しかも異世界転移やら転生やらする連中はどいつもこいつも無駄に魂の質がいい」


「魂の質がいいとどうなるんですか?」


「リソースを大量に持っていく。世界滅亡まっしぐらだ」


「それに気づいた我々は早急に事態を解決する為前身組織を解体し、大幅に人事異動を行なった。それがこの"カルネアデス"だ」



 その時2人に連絡が入る。


「A級エージェント・六城、C級エージェント・鳴瀬の2名は30分後に第1会議室へ来て下さい。新たな異世界案件が発生しました」


「おいおい……話の途中なんだが……。まぁいい。行くぞ」


「はい。よろしくお願いします、先輩」


「おう……先輩?」


「ええ、先輩です。駄目でしょうか?」


「あぁ……いや、今まで1人だったからな。少し違和感が。そうか、先輩か」


「なるほど。ボッチだったと」


「そうじゃねぇ!いや、そうか……サラッとダメージ来ること言いやがって……」


「すみません」


 鳴瀬は笑顔で謝る。

 六城は何故彼女が笑顔なのか分からなかったが、その顔に既視感を覚えた。


 

閲覧ありがとうございました。投稿が遅れてすみません。

ごちゃごちゃした説明ですが簡単に言うと異世界に人が行ってこの世界がヤバイということです。

よろしくお願いします。


追記・5月13日改稿しました。

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