誤解
六城達はそのままエルフ達と共に進み森を抜ける。
突如視界が開けたと思ったら、崖と崖の間に数十mもの壁と門が立ちはだかっていた。
入国手続きを済ませる。
シルヴァの知り合いだと入国許可が下りたが、そんな雑さで大丈夫なのかと六城は思った。
「シルヴァァァァァ!!!帰ってきたのねぇぇ!!」
審査が終わり、国に入ると叫びながら1人の女性が
叫びながらシルヴァに抱きついた。
「シルヴァ様!?どなたですかそちらの方は!?」
ジュリエッタは慌てふためきシルヴァに詰め寄る。
「シルヴァ様。言って下さればよかったのに……。そうしたら王都で若奥様なんて呼ばれて舞い上がりませんでした。確かにシルヴァ様は素晴らしい人ですし、好きな人がいるのかと聞いてもいつも生返事で……でも! でも奥様がいらっしゃるのなんて……!」
「違う!違うんだジュリエッタ!誤解だ!」
次第に泣きそうになるジュリエッタを必死で宥めるシルヴァを尻目に、
「修羅場だなぁ。怖い怖い」
と面白そうに煽る六城がいた。
「先輩……」
「他人の痴話喧嘩ほど面白いものは無いだろ?」
「いつか同じ目に会いますよ」
「そんときゃそん時だ」
「最低ですね。こんな人でしたっけ……?」
「ん?」
「いえ、何も」
こうして六城に出来たばかりの後輩の好感度は一気に下落していった。
少し経ってシルヴァが話し始める。
「さて。誤解を解こう。この人はペトラ。私の母だ」
「「「はい?」」」
「エルフ族は人間より長い寿命を持つ。成長も人のそれとは違う、20歳までは普通に成長してゆっくり歳をとるんだ」
「えぇ。ちなみに私は230歳よ。ところでこの方達はどなた?」
「まぁ……旅の仲間?みたいなものだよ。そこの彼女は助手のジュリエッタ。彼らは……」
ジュリエッタを指した後李世達を見る。
「私は鳴瀬と申します。こちらのくたびれた男は先輩の六城です」
「くたびれたは余計だ。シルヴァさんとは森で賊に襲われているのを…助けてもらいましてね」
「あらそうですか!シルヴァは腕っ節は強くないと思っていましたが、良かったです。皆さんお昼ご飯は?よろしければウチで食べていきませんか?」
「母さん!彼らとは色々話があるから!」
「あらそう?貴方が何をしていたのか色々聞きたかったんだけど……」
「そんな訳だからまた後で!さぁ私の家へ来てくれ!」
そう言ってシルヴァは歩き出し、李世達はそれについて行く。
李世はシルヴァに言う。
「昼飯くらいよかったが?」
「こっちがよくない。母さんの話は長いからな。私の家まではそう遠くないから10分ほど歩けば着く」
「……また走るか?」
「頼むからやめてくれ」
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追記・5月13日改稿しました。