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第6章ー14

 最も、壮絶な戦いを生じさせ、大戦果を挙げたのが、オスロに向かった独軍への攻撃隊を放った角田覚治少将率いる第1航空戦隊だった。

 第1航空戦隊を構成する空母「伊勢」、「日向」、「龍驤」が搭載している航空隊は、世界で最も航空攻撃を行った経験を誇る世界最精鋭を集めた部隊と言っても良かった。

 そして、首都オスロへと侵入する水路は、最も狭い所では幅800メートル以下しかなく、独艦隊が空襲に対して、回避行動を執るのは、極めて困難な話だった。

 そこを通航中の独艦隊に、第一航空戦隊の攻撃隊は襲い掛かったのである。


 淵田美津雄少佐率いる第一次攻撃隊約80機は、装甲艦「リュッツオー」に対して、まず集中攻撃を加えて撃沈した。

 更に、重巡洋艦「ブリュッヒャー」は、航空攻撃に加え、オスロを護る水上要塞からの砲撃による被害もあり、轟沈した。

 更に他の独海軍の艦艇にも、第一次攻撃隊は、空襲を加え、幾つかの艦艇は損傷した。

 こうした状況から、生き延びた独艦隊は、一旦、ソンス入江まで逆戻りしての上陸作戦を展開するしかない、と判断するしかなかった。


 そして、独艦隊が、ソンス入江での上陸作戦を展開している最中に、高橋赫一大尉率いる第二次攻撃隊約80機が襲い掛かったのである。

 独艦隊は、残存する軽巡洋艦「エムデン」以下の14隻の艦艇全てが座礁しての揚陸作戦を敢行した末に、第二次攻撃隊の攻撃を受けて、炎上し、撃沈と判定される損害を出した。

 オスロ侵攻に投入された独海軍の全艦艇が、祖国に生きて還らぬ覚悟を示して、散華したのだ。


 そして、投弾を済ませて、母艦に帰投しようとしていた第二次攻撃隊の目に入ったのが、首都オスロへの空挺降下作戦を断行しようと、独から向かってきていたJu52輸送機53機だった。

 彼らは、Bf110戦闘機8機に護られているだけだった。

 零式艦上戦闘機16機が、まず彼らに襲い掛かり、続けて、99式艦上爆撃機32機が続いた。


 高橋大尉は、回想録に書いている。

「一撃離脱に徹する、という大前提の上ではあるが、96式艦上戦闘機と99式艦上爆撃機は、互角に空中戦を戦うことができた。だから、はっきり言って、この時のJu52は、99式艦上爆撃機にとって、射的の的だった」

 そして、言うまでもなく、Bf110が半分の機数で、零式艦上戦闘機に勝てる訳がなかった。


 この時点で独空挺部隊の隊員は、僅かな生の可能性に賭けた、命懸けの落下傘降下を試みるしかなった。

 何しろ、相次いでJu52は、日本軍機の攻撃の前に火を噴いているのだ。

 実際、高橋大尉は、未確認ながら3機のJu52を、この日に撃墜したと主張している程である。

 落下傘降下に賭けた方が、まだ生の可能性が高かった。

 最終的に、日本軍機各種12機(この中には、独艦隊の対空砲火による被害も含む)と引き換えに、独軍機は61機が全機撃墜された。

 そして、空挺部隊の隊員の過半数が、この落下傘降下の際に戦死し、生き残りの大半も負傷した。


 海と空からの第一次のオスロ占領部隊約2400人は、この時点で2000人を切る有様になっていた。

 更に重装備の全てを失ったといっても過言ではない状況だった。

 それでも、彼らはオスロを目指すしかなかった。

 オスロ近郊の空港と港湾を制圧し、後続部隊を迎え入れねば、独のノルウェー占領は成らないのだ。


 だが、これは彼らの苦難の始まりに過ぎなかった。

 ノルウェー政府は、このような状況を見て、速やかに軍の総動員体制を発動し、独ソに対して宣戦を布告すると共に、英仏米日に対して同盟を呼びかけ、英仏米日はこれに応じた。

 更に、ノルウェー救援のために、日本海兵隊もノルウェーへと急行しつつあった。

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