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第6章ー13

 トロンヘイム、ベルゲンへの独軍上陸部隊に襲い掛かったのは、ハルゼー、フレッチャー両提督率いる米海軍空母部隊だった。


 最初は、ハルゼーがベルゲンを、フレッチャーがトロンヘイムを担当する筈だった。

 だが、独巡洋戦艦2隻の存在が、それを逆にさせた。

「シャルンホルスト」と「グナイゼナウ」が、ナルヴィク、トロンヘイム攻撃の支援任務に当たることを知ったハルゼーは息巻いた。

「今度こそ、わしが本物の戦艦を航空攻撃のみで沈めてみせる」

 そう叫んで、フレッチャーと話し合い、自分がトロンヘイム攻撃に向かうことになったのである。


(ちなみに、その話し合いの場に立ち会ったフレッチャー提督の幕僚の一人は、戦後、あれは話し合いではなく、ハルゼー提督の長い演説に辟易させられたフレッチャー提督が譲っただけ、と回想録に書いている。)


 そうは言っても、ハルゼーとて、自分の第一任務を忘れることはない。

 最初にハルゼーが攻撃を加えたのは、トロンヘイムに上陸作戦を展開している独軍部隊だった。

 2回に渡り、延べ200機以上の空襲を受けた重巡洋艦「ヒッパー」と駆逐艦4隻は、トロンヘイム沖合で全艦撃沈され、上陸部隊を含む独軍の軍員は、総員戦死した。

 この戦果に気をよくしたハルゼーは、その攻撃の矛先を「シャルンホルスト」、「グナイゼナウ」等に向けることになる。


 一方、フレッチャー提督は、ベルゲンへ上陸作戦を展開する独軍部隊を攻撃した。

 なお、ハルゼー提督が、空母「ヨークタウン」、「エンタープライズ」、「ワスプ」を基幹とする部隊を率いていたため、ベルゲン攻撃に向かったのは、空母「サラトガ」、「レキシントン」、「レンジャー」を基幹とする部隊だった。

 こちらの独艦隊は、軽巡洋艦2隻、練習艦1隻、補給艦1隻、魚雷艇等7隻から成っていたのだが、米海軍の航空隊の空襲によって、軽巡洋艦2隻、練習艦1隻、補給艦1隻が沈められ、魚雷艇等は全て沈むか、海岸部に座礁して沈没を免れる羽目になった。


 ベルゲンに上陸する予定の独軍の陸上兵力は、1900名だったが、この米軍の空襲によって、600名余りが溺死して、1200名程に兵力は減少した。

 更に、例によって、上陸部隊から、重火器類はすべて失われ、食料、弾薬も不足してしまった。

 艦隊が失われた以上、援軍が届く見込みは、絶望的だった。

 勿論、空輸によって、物資が届かない訳ではない。

 しかし、最も必要な重砲や戦車は、空輸では運ぶことはできない。


 これだけの兵力で、戦艦2隻等の艦砲射撃の支援を受けながら、逆上陸作戦を展開する日本海兵隊を迎撃せねばならない。

 ベルゲンに上陸した独軍部隊は、悲壮な決意を固めて、防御陣地を築かねばならなかった。


 クリスティアンサン、アーレンダール、エーゲルスンに向かった独軍部隊の攻撃は、山口多聞少将率いる第二航空戦隊が受け持った。

「蒼龍」、「飛龍」、「雲龍」から発艦した二波に渡る延べ160機余りの攻撃に晒されたのは、軽巡洋艦1隻、補給艦1隻、魚雷艇等13隻だった。


「急降下爆撃隊は、魚雷艇等を狙わされたため、ろくに当たらなかった。多分、命中率は良くて4割といったところだった。軽巡洋艦や補給艦を狙えた雷撃隊が羨ましかった」

 とこの攻撃に参加した江草隆繁大尉は、この攻撃を回想している。

 とはいえ、魚雷艇等にしてみれば、500キロ爆弾1発でも命中すれば、ほぼ轟沈であり、乗員はほぼ全員ヴァルハラ行きが約束されたようなものである。

 全艦艇が撃沈され、辛うじて生き残った乗組員や兵達は、ほぼ着のみ着のままで、クリスティアンサン、アーレンダール、エーゲルスンに上陸して、他の上陸部隊との合流を策すことになった。

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