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第6章ー7

 私なりに史実の英海軍を調べて、空母の数や艦載機の質を確認したのですが、調査が甘かったら、本当にすみません。

(この世界の英海軍の空母の数や艦載機の質については、史実と同じです。)

 感想欄等で指摘されたら、修正を考えています。

 とはいえ、2月21日のこの時に、ファルケンホルスト大将が作成したのは素案である。

 実際の作戦案となると、より細かく詰めないといけない点が多々出てくる。

 ファルケンホルスト大将は、第21軍団司令部の幕僚を督励して、実際の作戦案作成に大童となった。

 独海軍が予め検討していたノルウェー侵攻作戦の図上演習等も参考にし、更に、陸海空三軍と参加兵力等の協議を行い、ファルケンホルスト大将率いる第21軍団司令部が、実際の作戦案を完成させたのは、2月28日の事であり、ヒトラー総統が、それを正式に裁可したのは、3月1日のことだった。


 様々な準備の都合から、4月9日にノルウェー侵攻は行われることになり、また、確実を期すために、デンマークも、同日に侵攻されることになった。


 だが、このノルウェー侵攻の動きは、徐々に英仏米日(の軍情報部)に掴まれることになった。

 この当時、独のエニグマ暗号は、少しずつ破られていた。

 更に独三軍が行う無線通信量は隠しようがない。

 独海軍が中心になって、何か大きな動きがある。

 それは、何か、鵜の目鷹の目で、各国の軍情報部は、それを探り出そうとした。


「しばらく、スカパ・フローに駐留してほしいと」

 3月初め、日本第三艦隊は、ブレスト港に入港し、人員、物資等の揚陸をし、その一方で、燃料等の補給を受けていた。

 その最中に行われた英仏海軍の依頼に、小沢治三郎中将は、困惑する羽目になった。

「ええ、独海軍に大きな動きが見られます。警戒のために、暫く、日本第三艦隊には、スカパ・フローに駐留していただけないでしょうか」

「日本本国とも、連絡を取ったうえで、回答させてください」

 英仏海軍の依頼に対し、小沢中将は、回答を一旦、保留した。


 吉田善吾軍令部長らは、小沢中将からの連絡を受け、困惑した。

 軍令部としては、海兵隊の要望もあり、一刻も早く、日本からの二回目の航空機輸送任務に、第三艦隊を投入したかったのだ。

 だが、英仏海軍から、独海軍に大きな動きがあるという情報を提供され、暫く、第三艦隊をスカパ・フローに駐留させることにした。


 スカパ・フローに駐留した第三艦隊と、その艦載機群は、英海軍から注目の的となり、多くの英海軍軍人が視察に来た。

「よちよち歩きの子どもが、ここまで大きくなっていたとは」

「20年程前には師匠に、あれが欲しい、これが欲しい、とおねだりばかりしていた弟子がなあ」

 視察した後の暖かい皮肉を込めた英海軍軍人達の言葉に、小沢中将達は苦笑いをせざるを得なかった。


 約20年前の第一次世界大戦時、日本海軍は、師匠の英海軍に、爆雷や対潜聴音機等を提供されることにより、地中海において、独の潜水艦群と戦い抜いた。

 そして、日本海軍が、最初に大量に装備した軍用機は、英国製だったのである。

 それが今や。


 日本海軍の艦上機は、英海軍の艦上機を、性能で圧倒する有様だった。

 対潜聴音機等も、英海軍に、そう引けを取らない物を国産している。

 弟子の成長に、師匠として、英海軍の多くの軍人が、目を細めた。

 もっとも、目を単に細めるだけでは、英海軍は済まさなかった。

 更に米海軍も、空母を集中運用して、「シェーア」を撃沈したという情報が入ってきた。


「我々も、空母を集中して運用しよう」

 英本国艦隊の第二部隊として、英海軍が保有する空母7隻を集中運用する第一機動艦隊が、1940年3月末、急きょ編制された。

 もっとも。


 英本国艦隊司令長官であるチャールズ・フォーブス提督は、英本国第二部隊として編制された第一機動艦隊の内実を見て愚痴をこぼした。

「布に応じて外套を裁断せよ。日本人が言うところの、鵜の真似をする烏だ。全く、情けない師匠になってしまった」

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