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第4章ー19

 1940年3月下旬、日米両軍の最初の反攻は、画竜点睛を欠く結果にはなったが、奉天以南の南満州を回復し、朝鮮半島から中国本土まで陸路でもつながる等、一応は成功裏に終わっていた。

 そして、米軍には、更迭されたフリーデンダール将軍に代わり、クルーガー将軍が着任して、部隊の立て直しに奔走することになっていた。

 とはいえ、米軍の立て直しが終わるまで、日米満韓軍は前進できない。


 一方のソ連軍も、かなりの打撃を被っていた。

 日米両軍の反攻により、20日に満たない戦いで、ソ連兵、10万人以上が死傷したと日米満韓側は見積もっていた。

 ちなみに、日米側の死傷者は約4万人(内、米軍が約3万人)といったところだった。


 1940年3月26日、日米両軍により奪還されたばかりの奉天で、日米満韓軍首脳の顔合わせの会議が行われていた。

 今後の作戦について、各国の軍首脳の意見のすり合わせを行うためであり、また、マッカーサー将軍が、太平洋方面における陸空軍に関して、連合軍総司令官に就任することのお披露目でもあった。

(日満韓の一部の軍人は、マッカーサー将軍個人に対する反感もあり、作戦全体は成功したとはいえ、米軍は敗北したのに、面の皮が厚いことだ、等の陰口を叩いた。)

 ちなみに、小畑敏四郎大将が、連合軍副司令官に、関東軍司令官を兼務する形で就任している。

 ここに、日米満韓軍の指揮系統は、表向き統一が為されることになった。


 小畑敏四郎大将は、目の前にいる日米満韓軍の将官たちを眺めながら、改めて思った。

 これだけの各国の将官が集まっているのを見るのは、自分は初めてかもしれないな。

 日本の軍人でも、第一次世界大戦時のベルギー解放軍司令部にいた面々(皮肉なことに秋山好古将軍以外は、皆、海軍の軍人だったが)しか、いないだろう。

 そして、これだけの各国が協調しないと、世界大戦に勝ち抜くことはできない。


 ソ連を倒すにしても、まずは、イルクーツクまで、我々が本当に進撃できるのだろうか、と不安がこみ上げる有様だ。

 更に、満州国と共産中国が不倶戴天の仇である以上、共産中国まで倒さねばならないのだ。

 日本単独では、到底、無理、日米満韓が緊密に連携せねばならないだろう。


 実際問題として、この場に遥々駆けつけている中国派遣軍司令官である岡村寧次大将から、ソ連からの要請もあったらしく、中国本土における共産中国軍の蠢動、ゲリラ活動が活発になっているという情報が、直に小畑大将に提供される有様だった。

 このままでは、満州国軍は、中国本土の治安維持任務に釘付けになりかねない、という懸念を、岡村大将は小畑大将に示している。


 ソ連軍にしても、短期間で約10万人と推定される損害を被ったのは、それなりに痛手にはなるだろうが、スターリン等、ソ連政府首脳は(内心はともかく)、こんなの損害に入らない、と強気らしい。

 後方からの補給、補充が到着次第、反攻を試みようとしているという情報が入っている。

 そして、最大の問題は。


「おい、本当か」

「間違いありません。ソ連政府は、誤爆である、と主張していますが、東京の皇居を目指した爆撃機が、大阪や名古屋を空爆する訳がありません」

「確かにな。そんな誤爆あるものか」

 日本空軍本部からの情報に、小畑大将は絶句した。


 日米軍の反攻により、遼東半島を奪還されたソ連は、暫く行っていなかった日本本土に対する空襲を再開した。

 だが、昼間、大規模編隊を組んでの空襲は上手く行かないことを、ソ連空軍は学習している。

 その為、彼らが行っているのは、夜間、10機程を投入した小規模なゲリラ的空襲だった。

 日本空軍は、いわゆる夜間戦闘機を保有していない為、対処に苦慮していた。

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