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第2章ー14

 こういったワルシャワの苦境に対し、英仏等が何もしなかったわけではない。

 ノルウェーやスウェーデン、デンマークに対し、領土、領空を使用しての、ワルシャワ救援を英仏が行うのを認めるように、(日米とも連名で)申し入れを、何度かしている。

 だが、ノルウェー等は、この申し入れを拒否し、中立を保つ旨を宣言した。

 このために、ワルシャワを救うことはできなかったのである。


 そして、ワルシャワの抵抗は、決して無駄ではなかった。

 ポーランド戦の終結が11月まで掛かった結果、独軍の西部戦線への移動が完了するのは、年が明けてのことになった。

 更に、かなりの損害を被ったために、独軍の再編成の手間も掛かることになったからである。


 また、国際世論に与えた影響も、ワルシャワ攻防戦は、多大なものがあった。

 120万人以上(正確な数字が出せないのは、独軍の侵攻を受けて避難する途中、ワルシャワ攻防戦に巻き込まれて亡くなった難民が、数万人単位でいる、と見られるため)のポーランド人が、ワルシャワ攻防戦の際に亡くなった。

 生き残ったワルシャワ市民は、ワルシャワ攻防戦が始まる前に脱出した1万人程だった。

(なお、独軍の死傷者は、戦死者が約10万人、戦傷者(精神的なものを含む)が約40万人とされる。)

 そして、ワルシャワは、瓦礫の山と化し、建物は何一つ残らなかった。


 独宣伝省が、

「ワルシャワは、最早、全く存在しない」

 と宣伝する有様になったのである。


 米国のCBS放送のラジオレポートの一節によれば、

「これ程の殺戮と破壊による悲劇は、モンゴルによるバクダード破壊さえ凌ぐもので、史上空前のもの」

 と報道する程だった。


 このワルシャワの破壊に対しては、英仏米日等の連合国側の政府のみならず、中立国の政府でさえ、非難声明を出すことになった。

 だが、独政府は、このワルシャワの破壊については、ワルシャワ市民の武装抵抗等が原因であり、フォン=ボック大将等の、ポーランド側の降伏を受け入れなかったのも、そもそも、ポーランド側が降伏の受け入れを拒絶していた、として、全ての責任は、ポーランド側にある、と主張をした。

 そして、ソ連政府も、独政府の主張を支持した。


 この問題は、長きにわたり、後を引く問題となったが、直近の問題としては、ワルシャワ救援作戦を展開しようと、英仏米日等の連合国が、北欧諸国に対して、様々な働きかけを行った結果、連合国側、枢軸国側双方が、北欧諸国に重大な関心を寄せるようになったことが挙げられる。

 第二次世界大戦勃発以来、北欧諸国は、第二次世界大戦に対し、中立を宣言し、連合国側も枢軸国側も、それを尊重する旨の声明を出してはいた。


 だが、連合国側は、第二次世界大戦勃発以来、北欧諸国、特にノルウェーの領海を、独ソの潜水艦隊が、聖域として活用しているのではないか、という疑惑を抱き続けており、また、スウェーデンの鉄鉱石が、独に対して提供されていることに不快感を覚え続けていた。


 それに対して、枢軸国側も、北欧諸国が、自衛できるだけの戦力を持っておらず、連合国が北欧諸国への侵攻作戦を行うと恫喝した場合、北欧諸国は、すぐに屈服せざるを得ず、それこそ、コペンハーゲンやヘルシンキ等に、連合国の戦略爆撃機部隊が速やかに展開するのでは、等々の懸念を持つようになった。


 この連合国側、枢軸国側、双方の懸念、疑惑等々が、絡み合った結果、連合国側、枢軸国側双方が、積極的な軍事行動を、1940年に入って早々、北欧諸国に対して起こすことを計画するようになる。

 そして、連合国側、枢軸国側双方の計画に対し、少ない戦力等を駆使して、北欧諸国は、懸命の抵抗を試みることになるのである。

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