洗濯屋娘 共通① コロムビーナの選択
――私の家は小さな洗濯屋だ。
「おはよーセレン姉さん」
弟のハンスがあくびをしながら階段を降りてきた。
「おはよう」
今日はよく晴れて心地のいい日差しが出ている。
「あ、昨日ピュエルグさんが洗濯を頼みにきたよ」
私は母と父を亡くし私は店を継いだ。
そのせいか向かいのパン屋の息子で幼馴染のピュエルグ=パントルーネと疎遠になっている。
「そうなの?」
あとで彼に渡しに行こうかしら。久しぶりに話すきっかけになるかもしれない。
「ピュエルグさんって暗いよね。太陽みたいに明るい姉さんの幼馴染とは思えないくらい」
私は楽観的な面があり、あまりくよくよ悩まない。だからといって太陽なんて大袈裟だ。
「セレン=パルマン~」
まだ営業前なのに誰かやってきた。
「あら、フォラルスじゃない」
服屋の息子で二つ年上の幼馴染だ。服を買った客がこちらへ来る為、定期的に会話をしている。
といっても彼は道楽息子なので、どの服が人気か、生地は丈夫だったか?という服屋らしい会話はない。
「今日はなんの用?」
「仕事が始まる前にカフェにでもいかないか?」
今から服を届けにいこうとしていたのだが、せっかく奢ってくれるのなら断れない。
「じゃあ先にピュエルグの家に寄っていいかしら?」
「仲直りしてパンでも買うの?」
――私は意地を張ってパン屋にいかずパスタを食べていた。
「それもあるけど、仕上がった服を届けに」
「え、姉さんどういう風のふきまわし!?」
「行こうとしてたわ。いつも仕事の早いハンスが届けてるから機会がないだけで」
「じゃあ今日も僕がいくよ!配達は僕の仕事だし」
「すぐだから留守番よろしくね」