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倒れすぎじゃない?昭和のコントじゃないんだから、これは倒れ過ぎでしょ!

「たぁ君! 起きて!」


 ん? おふくろの声が聞こえる。

 あれ? 俺は一体なにをしていたんだっけ?

 急激に気を失う前の記憶が蘇ってくる。


「あ! 俺のデスワームはミクロじゃない!」


 バッと起き上がった。


「なんのこと!? たぁ君ゲームのやり過ぎは良くないと思うけど」


 俺は居間に寝かされていたようだ。

 おふくろが心配そうに俺を見ている。


「あ、ああ。大丈夫。ちょっとのぼせただけだから」


「それならいいんだけど。ちょっと待っててね。今、かぐやちゃんが夜ご飯作ってくれてるから。それまではゆっくりしといた方がいいと思うの」


「魔城木が?」


 そうだった。俺の家に魔城木が泊まりに来てるんだった。

 それはそうと、おふくろはいつ目が覚めたんだ?


「そうよ。あの子とってもいい子じゃない。礼儀正しいし。そうそう、ちいちゃんの事も王妃様って呼んでたわ。なんだかおとぎ話の世界に入ったみたいで、ちいちゃんもいい年なのに嬉しくなっちゃった」


「そ、そうか。それならいいんだけど」


 目が覚めたおふくろと、魔城木はうまくいっているらしい。それにしても、人の母親を王妃様と呼ぶなんて魔城木の中二病は一切のブレを感じさせないな。あっぱれだよ!


「あら? どうやら目が覚めたようね。やはり私の回復魔法べ○イミの効果は絶大だったらしいわ。この伝説の魔法使いレジェンド・マジックマスターに感謝しなさぁい」


 できた料理を居間に運んでくる魔城木がそう言った。

 おいおい! お前のせいでこうなってるんだけど!

 ゴキブリさえ倒せないマジックマスターのくせによく言うよ! それにべ○イミって......危ないよ! なんでここに来てゲームの魔法がでてくるんだよ! 謝れよ! ドラゴンがクエストするゲームに土下座しろよ!


「わあー! 凄く美味しそう! かぐやちゃんってお料理上手なのね。たぁ君にも負けてないんじゃないかしら」


「まあ、見た目は合格かな」


 魔城木が作った肉じゃがやサラダは、見るからに美味しそうだった。おふくろから言われたからではないが、少しジェラシーを燃やしていたのも否めない。


「そうでしょ? さすが私ね。感謝して食べなさぁい!」


「「いただきまーす!」」


 と言うことで、魔城木の作った夜飯を俺たちは食べ始めた。



「「....................................」」



 嘘だろ?

 お願いだから、これは嘘だと言って欲しい。

 魔城木が作った見た目150点の料理は、その見た目からは想像もつかないほどにマズかった。


「なんで? どうすればこの見た目でこんなマズい料理ができるんだ?」


「え? 嘘? マジックマスターの私の料理がマズいはずないわ。あんたの味覚が野良モンスターなだけよ」


 どういう味覚だよ! そして、マジックマスターと料理の上手い下手に関わりはないと思うぞ!


「まあまあ二人共落ち着きなさい。ちいちゃんはけっこう美味しいと思うけどな」


 そう言っておふくろは、無理やり肉じゃがを口に運ぶ。


 バタッ


「倒れた!? 大丈夫かおふくろっ!」


 本日二度目の失神である。無理するからだ。

 と言うか、人を失神させるほどのマズさだとは......

 魔城木月姫、恐るべし。


「魔城木も一口食べてみろよ!」


「嫌よ。私は凍える月の吸血鬼姫ヴァンパイヤクイーン・ジ・コールドムーンよ。一般庶民の食べ物なんて食べるわけがないじゃない。私は生き血トマトジュースだけで大丈夫よ」


 あ! こいつおふくろの反応を見て逃げやがった!

 なんて調子のいい中二病なんだ。そして、やはりお約束の料理下手だった!


「まあ、サラダだけなら食べてもいいかな」


 このやろう! 野菜を切っただけのサラダならまだ安全だと考えたな!

 魔城木はサラダに手を伸ばし、パクッと口に入れた。


「なんだ〜、けっこうイケるじゃない。あんたも、あんたのママも大げさな、の......」


 バタッ


「倒れたーーーーっ! サラダだよね? 今食べたのサラダだよね? なんで? 料理のしようがないじゃないか!」


 大変なことになってしまった。

 まさかヒロインまで倒れるとは。

 と言うかサラダまでマズいなんて、魔城木の料理下手はどこまでストイックなんだ!


 ーー後に残された俺は、もう一生この惨劇を繰り返さないよう、料理をゴミ箱へと封印したのだった。

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