プロローグ
唐突なのだが、俺は人類みな神であると思っている。
すまない。本当に突然すぎたな。これから、今行ったことについて説明することにしよう。
世の中には無数の運命が散りばめられている。僕らが生きているこの世界はその無数にあるうちの一つの道でしかなのだ。言い換えてみると、どの運命をとるのか、それはその人自身の行動によっていくらでも変えることが出来るということだ。ピンとこない人もいるだろうからここで例を挙げてみよう。君がもしも百万円を拾ったとしよう。するとそこには選択肢が生まれる。素直に交番に届ける、自分のものにする、ほっておく、持ち主を自らの手で探すなど様々な選択肢が発生する。君がどれを選ぶかによって、周囲の人間の運命が変わり、その変化によって別の人間の運命が変化する。このように、君の行動一つでこの世界に生きている人類に少しばかりの運命の変化の連鎖が発生するのである。つまり、人は間接的だが運命を変える力を持っているということになる。このようなことが出来るのは、私たち人類が知る中でひとつしかない。
そう、"神"である。
だから、最初に述べたように人類はみな神であるという話に戻るのである。
どうだろうか?君もそうとは思わないか?
君の行動一つで、世界がガラッと変わるのである。実に素晴らしいことではないか!この思想によって新しい宗教が生まれる、ということも無数にある選択肢にあるのかもしれない。
もしそんな宗教出来たとすれば、この素晴らしい思想を考えた俺様は一躍有名人になれるな…
実にいい!可能性は無限大である。
そう、まるでどら○もんの○次元ポケットのように、可能性は広がっているのだ!
フフフフ…
ハッハハッハー!
こんなこと思いつく俺って天才じゃね?いや、冗談じゃなくてガチの方で。
でもさ、これは俺の思い描いている世界であって、現実じゃないんだよな…
現実の俺はあんなウハウハな世界の住人じゃなくて、ただの普通(自称)の高校生。俺の行動で世界が動いているわけでもなく、ただ他人の運命の波にのまれ、クラスで空気のように扱われているような存在の俺。愛しの女の子に告白したら振られ、バイトを止めさせられ、高校受験で第一志望に落ち滑り止め校に、気づけばPCを開いてネトゲーやSNSに一日中浸る毎日。
いやー、ネット最高だわw
調子に乗っているリア充共をギッタンギタンにののしってやれるとかマジ最高じゃないか!しかも、匿名だからばれない!
おっと脱線してしまったみたいだ。話をもどそう。
すなわちさっきのあのすばらしい考えからすれば俺だって世界を動かせるはずなんだ!なのになん他人の流れに乗ってしまい俺の行為は藻屑の中に消えていくんだよ!
俺は神じゃないのか?なぜ、思った通りに世の中が動かない。俺の哲学からすれば、俺は世界を変えることが出来るはずなのだ。何故なんだ…
とかまあ、こんな考えていても現実はすぐには変わってくれるわけでもなく時は過ぎていくのである。この時、俺は思った。「俺だけなんか理不尽じゃね?」だったら、こうすればいい。俺が今から"神"になって理不尽を覆せばいいのだ。
そういえば、自己紹介を忘れていたな。申し遅れたが、俺の名前は神野虎太郎という。あだ名は"かみのこ"(自称であり周囲に認識されていない)で城之崎学院高等学校高校1年生である。趣味と言えば先ほども言ったがPCで遊ぶことであり、それ以外は特に目立った特技はない普通の高校生である。今、俺は城之崎学院高等学校の入学式に向かうため、和泉駅から学院まで続いている坂、通称ケヤキ坂を上っている真っ最中である。周りを見回してみると、いかにも高校デビューのために髪を金髪に染めている女子や、さっそく「あの娘、めっちゃ可愛い」とか言ってその娘の後ろを歩いている男子の集団など、新学年への進級の緊張感のないバカらしい光景が目に映る。
―さすが、底辺校と言われるだけあるな。見た感じいかにもバカしか見えないのだが…
そんなくだらない想いを抱きながら俺はケヤキ坂を上った。
「ふぅ…」
一人の少女が、城之崎学院の校門の前に到着した。
校門から流れてくる風に、髪がなびきいかにもお嬢様的な雰囲気を漂わせ、仁王立ちして立っている。
「さて、この学校でひと暴れしますか」
彼女は不敵な笑みをしながら、桜吹雪が吹き荒れる中、学院の中に一歩を踏み出した。
しばらくした後、新たな少女が学院の校門に着いた。
「こ、ここが城之崎学院なのですね…」
周りを見回すと、無駄にオシャレをしている生徒たちが次々と学院のなかへと歩みを進めていた。
「こ、これが新しくお友達になる人たち…みんなキラキラしてますぅ」
周りがキラキラしているのに対して、彼女の雰囲気はまさに陰のよう。誰も彼女のことを気に留めることなく通り過ぎていく。
まるで、そこに彼女の存在がないようなそぶりで
「うぅ…絶対にお友達を作ってみせるのですっ。見ててくださいよ、お母様!」
さっきから周りを見回すと、どこを見ても集団ばかり。それに対して、俺はたった一人で登校。言っておくが、別にぼっちというわけではない。ただ、自分と肩を並べるような存在がいないだけであり、それゆえ孤独なだけなのである。
―あ~、早く学校につかねーかな~
そんなことを想いながら坂を上っていくと両サイドにさっきからずっと続いていた住宅地が終わり、正面に城之崎学院が見えてきた。校舎は、見る感じとても真新しくついこの間工事が行われたと思われる。実のところ、この学院の敷地面積は約東京ドーム2.5個分の広さを誇っており、敷地の中には小中高と揃っている。学校の設備は、そこそこの神学校でありながらも最新設備が備わっており、カフェテリアが設置されている。
そんなことはさておき、ついに俺は学院に着いたのである。それは、俺の野望の一歩目であり、またこの時は知らなかったのだが俺の思いもよらなかった波乱の学院生活の一歩目でもあったのだった。
桜が咲き誇っている校門から校舎を見上げ。俺は覚悟を決めた。校門から流れてくる新鮮な空気を胸いっぱいに吸い込み、俺はある願望をもって城之崎学院高等学校へと一歩踏み出した。
「この学校で、俺は神に…」
「よう、かんちゃん。お前もこの学校に来たのか」
後ろから思いっきり抱きつかれて俺は倒れそうになったが、なんとか踏みとどまる。嫌な気配がするけど、深く一回深呼吸をして俺は抱きついてきた相手を確認した。
「やめろ、勝彦。俺になれなれしくするなと何度も言っただろ。そして、なんだかんちゃんとは。虫唾が走るわ」
こいつの名は、島崎勝彦。友達ではないが、中学で同じクラスメイトであった。性格は、誰とでもつるむ陽気な奴。俺からすると、そういう性格のやつほどうっとしいキャラはいない。俺が知りうるこいつの情報は以上だ。
「かんちゃ…じゃないかみちゃんつれないね~。俺たち友だちでしょ」
「はぁ…、言い返したいことはあるがやめておこう。とりあえず、なんでお前がここにいるんだよ!」
俺は事前に調べたのだ。前の学校のやつが一人も来ないところに高校は進学するために、陰でいろいろと工作し、その結果受験校を決めたのだ。俺の情報網にミスはない。よって、こいつがここにいることが不思議で仕方がないのだ。
「いや~、もともとはここじゃなかったんだよ。でも、学費とかその他もろもろ金銭面の問題で、比較的学費が安いここに変えたってわけ」
「なん、、だと、、!?」
頭のなかが真っ白になった。
―そんな…俺の野望が…
「てなわけでよろしくちゃん」
―嘘だ…こいつによって俺の野望は打ち砕かれるのか…?
「そんな…そんな…」
「ん?どうした、かみちゃん?」
「そんなバカなぁぁぁぁぁぁ!!!!」
さっそく、俺の思い描いていた学園生活と別方向の生活が始まってしまったのである。
なんか書いていてよくわからない方向にw
続きはかけるのかよくわからないですが、暖かい目で見てくれるとありがたいです